8月7日の米雇用統計を受けて、金の価格がようやく押し目を形成しました。
今回はその解説です。
なぜ金が押し目を形成したのか?
金が押し目を形成した原因を雇用統計の結果に求める方が非常に多いと思いますが、残念ながらそれは間違いです。
以下のドルインデックス、15分足の動きをご覧ください。
下の横軸の8辺りが米雇用統計の発表時間で、直後にドルが急騰した結果、金が急落しました。
しかし、その前からドルは上昇しており、結果として雇用統計が後追いしただけになります。
つまり、日本時間の8月7日から金価格が軟調だったのは、金の3つの価格変化要因【1】ドル、【2】金利、【3】GDPのうち、【1】のドルが上昇したからです。
補足として、8月6日もドルは若干の上昇でしたが、その日は【2】の金利が低下していたために金価格が上昇しました。
そして、ドルの下落と金利の上昇に見合わない以上の上昇を金価格は見せていたので、金も急激に落ちたのが顛末になります。
EUの金融緩和とユーロ実効為替レート上昇の相関
下記は日足のユーロ実効為替レートになります。
なぜ、ユーロの実効為替レートはこれほどの上昇をしているのかを考えてみましょう。
その要因はユーロの金融緩和にあります。
https://www.bbc.com/japanese/53484669
引用元:BBC
EUは7月21日にユーロ復興基金にて日本円で92兆円の緩和を決定しました。
7月1日からのユーロの実効為替レートを拡大した下記のグラフをご確認ください。
緩和が決定された7月21日から急騰していることがおわかりになるでしょう。
ドル価格を左右する米コロナ追加支援のゆくえ
今、アメリカで何が行われているかといえば、7月31日で期限切れとなった新型コロナ支援給付金の継続審議です。
端的に言えば、新型コロナ禍を理由に全アメリカ人に週600ドルの給付をしていた期限が7月31日まででした。
今回審議しているのは、8月1日以降の給付や支援をどうするかです。
共和党案は週200ドルの給付を提案しており、民主党はこれに反発して従前通り週600ドルの給付を提案しています。
ただし、議会と大統領が共和党なので共和党案が通るでしょう。
この共和党案は総額で1兆ドル(日本円換算105兆円)で、ユーロの92兆円より大規模になります。
こうした経緯を踏まえると、今後のドル価格はどうなるのでしょうか?
追加コロナ支援が決定したらドル価格はどうなる?
下記のグラフは7月1日からのアメリカの実効為替レートです。
7月末に安値を打った後、反転しています。
これはユーロもそうでしたが、協議の最中は安値探りをせず、若干上昇しながら推移しました。
ドルも同様にコロナ給付金が決定されれば、おそらく急騰することになるでしょう。
今まで【1】のドル安によって上昇していた金価格が、ドル高に転換したらどうなりますか?
下がると考えるのが妥当でしょう。
金の売り買いはどうすればよい?
上記の通り、ドル価格の推移をきちんとウォッチしていれば金の価格動向は読めただけの話で、金が今後も高騰するという主張は荒唐無稽すぎてお話しになりません。
参考までに、アメリカ議会は8月7日をコロナ支援給付金の決定の期限としています。
いまだ議会の承認さえもなされておらず、トランプ大統領は民主党が認めなくても署名するとできもしないことを騒いでいますが、8月7日までと明言した以上、近々決定されることになるでしょう。
どういう転換になるか定かではありませんが、審議中は金は買い、決定後は金は売りになるものと予測します。
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