[全5回/Week3]アンティークジュエリー入門「アジア編」

アジアのアンティークジュエリーも見逃せない!

アンティークジュエリーといえば、フランスやイギリスの西洋骨董をイメージする人が多いかもしれません。

しかし、お隣の中国や韓国、そして東南アジアや中央アジアにも魅力的なジュエリーがたくさん見つかります!

そしてヨーロッパ以上に当時の高い技術は失われる一方。

採算が合わないため、使われなくなった職人技に触れられるのはアンティークならでは。アジアのジュエリーも要注目!

中国ではどんなアンティークジュエリーが見つかる?

長い中国の歴史の中で残された遺物の中で、意外なほどジュエリーと呼べるものは少ないのが現実。

以下にご紹介するアイテムは貴重なジュエリーの一例として、歴史的にも価値の高いものです。

運よく出会うことができたらぜひ末永くコレクションとして手元に置きたいもの。

長命鎖

子供の無病息災を願う吉祥ペンダント「長命鎖」。

ちょうどクマの顔をかたどったようなパドロック南京錠のモチーフには、「(乳幼児の死亡率が高かった時代)子供のいのちを現世に繋ぎとめる」と言う意味が込められていました。

純度の高い銀で作られており、銀の鎖につるすか赤絹につるされます。

金線象嵌細工(フィリグリー)

細い純金のワイヤーと象嵌細工によるジュエリーは、長いあいだ中国の皇帝と貴族たちだけに許すされるジュエリーでした。

繊細で優雅な風格をもつ金線象嵌細工の歴史は紀元前までさかのぼります。

しかし真のアンティークはほぼ皆無といっていい幻のジュエリーです。

点翠(カワセミの羽)

中国ではカワセミを空飛ぶ宝石と呼び、その青い羽の色をヒスイに例えて「翠羽」と名付けました。

そして生きているカワセミから羽を抜き、ネックレスやブローチなどのジュエリーに仕立てたのが点翠です。

清王朝独自のジュエリー文化で、非常に人気の高いジュエリーです。

韓国ではどんなアンティークジュエリーが見つかる

おとなりの国である韓国が育んできた「新羅」「李朝」などの文化は日本人にはなじみが深いもの。

「贅沢禁止令」などの歴史の共通点も多く見受けられます。

ノリゲ

民族衣装チマチョゴリのスカート部分(チマ)や上位部分(チョゴリ)の結びひも。

宝石や銀細工で飾られたものは代々伝えられる家宝でした。

ピニョ チョッチ

髪につけるかんざしで銀でできたものが多く残されています。

身分によってモチーフが異なり、皇后は龍、王族の女性たちは鳳凰、貴族はカエル。

中央アジアではどんなアンティークジュエリーが見つかる?

トルクメニスタン「テケ族ジュエリー」

トルクメニスタンやアフガニスタンで暮らす民族の中でも最大の規模を誇るテケ族。

彼らの銀細工文化は目を見張るほどの精緻さ。

背飾りとして使用される「アシク」「サチュモンジュク」はその代表です。

全域「シールスタンプ」

カーネリアンやターコイズ、ラピスラズリなど中央アジアで採掘されてきた石は、古来東西貿易の重要な物資でした。

古代オリエント文明が栄えたエリアでは、これらの石を使って紋章を彫り商売上のサイン代わりの「印章」として使われてきました。

これらはかの大英博物館に一大コレクションがあるほど重要な文化財となっています。

またバンコクやシンガポールのアンティークショップ街でもよく見かけます。

そのほかのアジアのアンティークジュエリー

 

チベット ジー

「天珠」とも称されるチベットの人々の信仰の対象となっているのが「ジー」です。

白色メノウに模様を加工(「9アイ」など)して褐色に染めあげた長ビーズです。

現地の人々には紀元前からの歴史を持つ超自然的な力を持っていると信じられてきました。

現在も加工方法が分からないミステリアスなビーズですが、20世紀後半あたりから主に中国製のコピーが出回るようになっています。

スティングやジュリアロバーツ、リチャードギアなどの有名人が身に付けたことから、一般にもよく知られるようになりました。

インドネシア渡りのとんぼ玉

「ジャワ玉」と呼ばれるインドネシアのジャワ島を中心に発掘される大きなガラスビーズ。

アフリカのトレードビーズ同様に、イタリアのベネチアを中心にヨーロッパからもたらされたもののほか、現地で秘密裏に作られたものもあります。

その多くは現地の貴族たちが家法として代々受け継いできましたが、海や川から引き上げられる難破船からもよく見つかります。

また昔の墓地の後からも発掘されています。

山岳民族ジュエリー

タイやベトナム、ラオスなど山岳民族で暮らす少数民族たちのシルバーやブロンズ製のジュエリーも見逃せないアイテム。

古い時代のものは現地よりも日本や欧米のマーケットでみつかることが多くなっています。

アジアのジュエリーに会いに出かけよう!

古代オリエント博物館(東京)

http://aom-tokyo.com/

横浜ユーラシア文化館(神奈川)

http://www.eurasia.city.yokohama.jp/

国立民族学博物館(大阪)

https://www.minpaku.ac.jp/

「アジア」アンティークジュエリーのショッピングガイド

本物のアジアのジュエリーを国内で手に入れようと思ったら相当綿密なリサーチが必要です。

なぜならアジアのジュエリー、特に民族ジュエリーは欧米のコレクターたちに特に好まれるエスニックアイテム。

現地でも相当の高値で販売されていることが多く、コピー品も多く出回っています。

意外な穴場がリユースショップのオンラインサイトです。

コレクターや旧家からの大量買取が増えている昨今、時折ジャワ玉と呼ばれるインドネシア渡りのとんぼ玉などが流出することも。

タイミングが合えば掘出し物と出会えるかも!

参考文献

  1. 「楽しいジュエリーセールス 」 早川 武俊
  2. 「コスチュームジュエリー」 別冊太陽 
  3. 「 アンティークジュエリー美術館」 別冊太陽 
  4. 「コスチュームジュエリーの世界」 田中元子
  5. 「世界の伝統装身具図鑑―神々の宿る銀」 露木宏
  6. 「日本の宝飾文化史」露木宏
  7. 「日本装身具史」露木宏編著

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