アメリカは日本よりも倒産しやすいのか?

借金についての基本を2つ。

  1. GDPに対しての借金額が世界ナンバー1なのは日本

  2. 借金の総額ベースで世界ナンバー1はアメリカ

以上!

日本は約500兆円のGDPに対して約1200兆円。

アメリカは約2000兆円のGDPに対して約2200兆円。

今回はこの2大借金大国の中『借金総額で勝るアメリカが日本より倒産しやすいのか?』について考えていきましょう。

借金のリスクと金利

金利が高いことで知られるトルコの通貨リラ

アメリカも日本も借金大国として有名でウン千兆など、個人が引っくり返ったって手にすることの出来ない、即ち想像できないほどの天文学的な数字です。

借金は、お金を貸してくれる人がいて成立します。

借金をしたくても、借金まみれの人にお金を貸したい人はいません。

せいぜい、リスクが高くなるので金利を上げるだけの話ですが、金利が高くてもお金を貸したくない人は存在します。

金利は誰でも受け取れますが、高いのには高いなりの理由があります。

新興国の金利が高いのは、日米に比べてリスクが高いからお金を貸してくれるように促進しているのです。

つまり、借金が多くても貸す人には貸すし、貸さない人には貸しません。

誰が日米にお金を貸すというのか

アメリカで国民に支給されたコロナ対策景気刺激金

借金まみれの日本やアメリカに、皆さんはお金を貸したいですか?

貸したくないですよね。

その上に日本やアメリカの金利は、ともにゼロないしはマイナス金利です。

しかし実際、両国とも今回の新型コロナ禍対策としてさまざまな補正予算を組みました。

その原資は、借金で賄うほかありません。

誰がお金を貸すかと思うでしょうが、実際に皆さんの手元には10万円が届きましたよね。

それは誰かが日本政府にお金を貸したからです。

借金の上に借金を重ねて寄付をするという愚行

日本に住む人々に配られた10万円の特別定額給付金

今回の新型コロナ禍における特別定額給付金に際し、麻生副総理兼財務大臣が「手を挙げた人にしかあげない」と発言したことが反発を招きました。

これに対して評論家気取りの元モデルが「何でこんなことになっても国民に寄り添えないの?」と反発していました。

麻生大臣の意図を皆さんはおわかりでしょう。

借金の上に借金を重ね、その上に皆さんに寄付をするのですから、愚行中の愚行。

それを皆さんが要望したのですから、民主主義で成り立っている日本はその声を聴く必要があります。

ただし、できるだけ発行者としてはあげたくないと思うのが普通です。

幼稚な日本人

一見正しそうに聞こえる評論家のような考え方も、視点を変えれば物乞い精神のようなもの!?

前述の元モデルのような人間にはバランスシートの概念がありません。

「困っているから、みんなにお金をあげるべき」という主張は一見正しく聞こえますが、その原資を考えると借金しかあり得ず、その返済は誰が行うのかという発想が皆無です。

一次的に10万円をもらって喜んでも、将来必ず税金によって返済しないといけないのは誰でもわかります。

しかしコメンテーターの声が代表しているように、日本人の頭には短期的な利益しかありません。

そして、菅首相が「将来、消費税は増税しなければいけない」なんて言うと、皆一斉に「イヤだ!」と言います。

『自分の利益はすぐに確保して将来の損失は嫌だという。』

こんなことはあり得ないのにそれが可能だと思っている日本人は、残念ながら幼稚と言わざるを得ません。

重要なのはバランスシートの感覚

バランスシートの概念を前提に議論することが責任ある大人の態度

日本人・社会人であるのであれば、バランスシートの感覚、自分が何かのお金をもらったら、それは長期的には返済義務が生じるということを理解しなければいけません。

つまり、今の世界の人の認識は皆、短期的な利益に偏っており、皆がそれを求めるのです。

しかし古今東西、太古の昔から短期的な利益よりも長期的な利益の方がはるかに大きいもの。

そして、今回の場合は目先の利益を取ったのですから、長期的な損失のほうが大きくなります。

半沢直樹風に言えば、それも「倍返し!」です。

税金を払わなくてはいけないのに、みんなで「欲しい、欲しい」と言って増税には反対する、こんな世の中は成り立ちません。

これがバランスシートの考え方です。

日米で異なる借金の貸し手の構造

さて、何でこんなにも酷い考えがまかり通る時代なのに潰れないのか?

それは日本やアメリカは借金まみれ、その上にゼロ金利、マイナス金利なのにお金を貸す人がいっぱいいるからです。

何故なのだろうか?

その前に問題はアメリカと日本のお金を貸す人の違いです。

日本の借金は、かつて小泉元首相が「自分の資産は自宅と日本国債だけだ」と喝破していたように、日本は自国民や銀行、企業などによって賄っています。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO48616330W9A810C1000000/

引用元:日本経済新聞

一方でアメリカはその8割が外国人で、上記の日経新聞の記事にあるように、2019年6月時点で日本の保有額は約1兆1228ドルで首位、中国は1兆1125億ドルで2位となっています。

考えてほしいのはこの構造なのです。

そして倒産するのであれば金利が急騰するはずなのに、逆に下がっているのが現実です。

アメリカの借金明細

縁もゆかりもない人からの借金は情け容赦なく取り立てれるもの

日本とアメリカの借金の違いとは前述の通り、誰が金を貸しているかです。

日本は殆どが日本人。

アメリカでは殆どが外国人。

例えば、自分の家庭が借金まみれになったとき、大抵の場合は親などの親族に借りるか、銀行やノンバンクなどの金融機関に借金を申し込むでしょう。

この場合、返済ができなくなったとしても、親族であれば待ってくれるでしょう。

しかし、金融機関の場合は期日までに返済ができないと担保を取る、大抵の場合は自宅などの資産になりますが、それを売却して損失を避けようとするでしょう。

日本の場合は、日本人という親族に借りているのですから、多少損があったとしても自分の家族を守る感覚と一緒、返済を迫ったりしないことが通常考えられる行動でしょう。

一方でアメリカは他人、つまりは縁もゆかりもない商売のためにお金を貸している人たちにお金を借りるのですから、日本や中国に危機があれば、返済を迫られる可能性があります。

そういうときには、ドライに売却されるでしょう。

こうやって考えると日本とアメリカ、どちらが倒産しやすいか明らかです。

にもかかわらず大丈夫なアメリカ

バージニア州に位置するアメリカ国防総省、通称ペンタゴン

でも、アメリカは大丈夫。

その理由は世界一の軍事力です。

まるで達の悪いジャイアンです。

中国が「国債を売るぞ」と脅しかけてきたら「だったら亡ぼしてやる」と戦争を仕掛けて勝利すればいいのです。

とは言え、これは少々現在では現実的ではないかも…?と思うかもしれません。

だったらアメリカは何をするかと考えます。

経済世界一は最大の担保

年収の何倍もの額を住宅ローンで借りられるのは、住宅という担保があるから

アメリカの経済は、軍事力同様に世界一です。

衣食住を例にとってみましょう。

衣料の製造はパキスタンやバングラディッシュなどのほうが安いですが、販売はファストファッションに代表されるように世界的な企業がアメリカにはあります。

そして、食べるほうも穀物の生産は世界一、住むのは世界で一番住宅需要がある国です。

そのほか原油の生産も消費も世界一、ITもほとんどアメリカが基盤になっています。

つまり、アメリカに借金が増えても、徴税能力がきちんと機能していれば、毎年の収入が増える見込みがあるので心配がない、そしてその金額は世界一の経済大国なのですから半端ではないのです。

分かり易い話をしましょう。

年収500万のホワイトカラー・サラリーマンが仮に5000万円の住宅ローンを35年払いで組んだとしましょう。

35年の間、人生いろいろなことがあるでしょうが、銀行はお金を貸します。

なぜならお家という資産があり、取りっぱぐれが無いからです。

アメリカも同じように経済世界一という担保があるから、皆が低金利で貸すのです。

米中貿易戦争におけるアメリカの本気度

これからも中国は本気のアメリカの恐ろしさを体験し続けることになる!?

そのアメリカの経済力世界一を脅かす敵対者がいれば、徹底的に潰す。

それだけの話です。

だから今、米中貿易戦争が起こっています。

そしてこの戦い、アメリカが負ければお金を貸してくれる人がいなくなることを意味します。

故にアメリカは、勝たなければ国家運営がうまくいきません。

勝っても負けても半身の中国と、絶対に勝たなければいけないアメリカでは真剣度が違うのです。

おそらく2021年、バイデン大統領が誕生したとしてもアメリカの中国叩きは終わりません。

なぜなら、経済ナンバー1の地位を中国に譲り渡すことは絶対に有り得ないからです。

中国に負けるということは、アメリカの実質上の倒産を意味します。

アメリカと日中は一蓮托生

ワシントンDCのIMF本部。国連の一機関であるが、その実はアメリカの財務省が牛耳る

中国も日本もアメリカの借金を大量に抱えていますので、それが返済不能になるのは、自国の倒産を心配しなくてはならなくなります。

故に、お金を貸したくなくても最早貸さざるを得ないのです。

だからアメリカの借金が増えると、IMF(国際通貨基金)というアメリカ財務省の代理人が日本に増税を勧告し、中国には嫌がらせを続けるのです。

日本も中国も、アメリカが返済不能になることは自国の倒産を意味するので逆らえるわけがありません。

今後、アメリカの経済力を抜こうという国が出れば、理不尽だろうがなんだろうが、徹底的につぶされます。

日本も1980年代に半導体でアメリカを抜かそうとすれば、「富士通やNECの事業を韓国、中国、台湾に売却せよ」とアメリカに通達され、それに従っています。

『もっと貸せ』と、何度も言いますが達の悪いジャイアンですね、まるで。

中国はGDP世界一になれない

中国のByteDance社が運営するモバイル向けショートビデオアプリ、ティックトック

今のTikTok問題は昔の半導体と一緒です。

当時の日本の経済産業省はアメリカに言われた通りに、しかも額面通りに従い、経産省の地盤沈下が進行したのですが、安倍前首相によって復権したのです。

中国は体面がありますから、逆らうフリをしていますが、従うほかありません。

理由は、アメリカからの稼ぎがなくなれば中国も立ち行かなくなるからです。

日本は安倍前首相になって日米同盟死守という立場になり、今やアメリカを抜いて経済1位になろうという野望はなくなったように見えます。

こうやって考えると、日本がアメリカを抜くということは自殺行為というようなことがわかります。

経済で本当に勝ってしまったら、今度は軍事力の行使ですから、勝ちようがないのです。

中国も同じで、近い将来アメリカを抜いてGDP世界一になるということはあり得ません。

誰も逆らえない国アメリカは潰れない

アメリカの強さは盤石

そもそも、日本も中国も大量のアメリカ債券を抱えている時点で、アメリカに逆らいようがないのです。

アメリカが「返済をやめた」と言えば、すぐに日本も中国も倒産するでしょう。

なんとか持ちこたえる可能性もありますが、皆さんの稼ぎを全部税金で持っていかれます。

地位低下が叫ばれるアメリカですが、このような戦略で世界を牛耳っているのです。

故にアメリカの倒産なんてバカバカしいの一言。

この倒産が現実になるのは、アメリカが世界一を握っていることの一角でも崩れたときに本格的に考えるべきのことであり、現状でITで猛追している中国を蹴落としにかかっているだけです。

「インチキ!」とか「わがまま!」とか言われようと、守るために必死なのです。

この記事のまとめ

今回の記事では、アメリカは総額ベースで世界最大の借金大国であるが、通貨の信用度を測るバロメーターである金利は低いまま、しかも貸し手が途絶えることがない。

ただし、日本との違いは借り手の8割が日本と中国を筆頭とする外国人であるということ。

しかし、日中が「国債を売る」とおどしかけてきたとしても、最終手段として相手を滅ぼせるだけの世界最強の軍事力を有す。

そもそもアメリカに貸し手が多くつくのは、軍事力のみならず経済力も世界一という担保があったればこそ。

また逆に、この力を背景に「国債の返済をやめる」と宣言して相手を破産に追い込むことも可能。

アメリカはこの世界一という担保があれば破産することはなく、これを守るためにはなりふりをかまわない。

この経済世界一をおびやかす中国との貿易戦争も勝ち抜き、世界を牛耳り続けるだろう。

こういう内容の記事でした。


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