Gotoトラベルキャンペーンの予約サイトが一斉に35%引きから3500円引きになり、国民から戸惑いの声があふれています。
誰しもが、今まで最大で1万4000円引きだったものが、3500円になると割引率が魅力ではないと感じるでしょう。
今回は、こうした人間の特性と、金の値動きの秘密に関してまとめます。
知っておくべき絶対値と相対値の違い
数字には絶対値と相対値があり、その区別を厳密に行わなければいけません。
絶対値と相対値ではそもそもの数字の成り立ちが異なり、これを混同して物事を考えると結論がデタラメになります。
例えば、金価格7000円とドル円レート105円、これはそもそも数字が違うのです。
金の価格はグラム当たりの価格であり、グラム7000円出せば金を買えるという価格。
対してドル円レートは、この価格をドルと比較した数字であり、1ドルで105円買えるというレートです。
つまり、1ユーロや1人民元では105円の日本円はもらえないということになります。
価格原価コストを勘案して提示されているのが金の7000円という価格であり、ドル円はドルに対しての値段、つまり比較対象があって初めて成立する値段です。
前者を絶対値と呼び、後者は相対値といいます。
絶対値と相対値には親和性がなく、この数字をかけたり組み合わせたりしても正しい検証結果は得られません。
どこぞの学者様であっても…
ところが先だっての日本学術会議で任命を拒否された学者さん、日本のトップ科学者と言われる人であっても、案外に相対値と絶対値のすみわけを考えない人が数多くいらっしゃいます。
そんな人の研究成果などデタラメなのですが、それを素晴らしいとほめそやす人が数多くいるのが日本の学界の現状です。
つまり、えらい先生が言うことだからそれは正しいなんてことはなく、大抵の場合は半数以上の割合で、絶対値と相対値の概念の欠如によって間違ったものを正しいと言っているのです。
念のため書いておきますが、これは日本だけではなく世界的な傾向になります。
世界には論理的、ロジカルに考えることができなくない人が非常に多くなくなっているということです。
人間は相対性の生き物
絶対値の世界人口は76億人と増えているのに、ロジカルに考える人の絶対数は減っている、これでは世界の知的、インテリジェンスの世界がどうなっていくかは言わずとも知れています。
そしてこの論でいけば、75億人の時にロジカルにモノを考える人の割合いが10%であれば、76億人の今では絶対値も減っていますので、相対値でも減っていることになります。
本来、物事は絶対値ベースで考えなければいけません。
理由は、人間はGotoトラベルの割引率のように、直近の事象と現在の事象を判断するものと本能的に定められている、つまり直感というのはほとんど比較であり、絶対値を対象に物事を考えられなくなっているのです。
しかし、中には相対値で考えなければいけないこともあります。
相対値で考えなければいけないこと
下記はドル建て金価格のチャートです。
見慣れているので何も感じないかと思いますが、前年比で何%上昇しているのかを見てみましょう。
一番右端の線は2020年10月13日、一番左端の数字は2019年10月13日の数字です。
参考までに2019年10月13日は土曜日になりますので、それに対応する日付です。
去年の10月13日の価格に対して、今年の10月13日の数字は約30%上昇していることを示しています。
ここで全体を見ていきましょう。
最高値を出した時点には、前年比で40%高を示現していたことがわかります。
参考までに、当コラムが「金価格が高すぎる」と騒いでいたのは、30%を超えてしまったころからです。
つまり、通常のマーケットは前年比で30%を超えると反転して下がるということがわかります。
前年比30パーセントの法則
以下の原油価格の前年比チャートをご覧ください。
今年の前半に原油価格はマイナスとなりましたが、30%以上下がってしまったので、その後急速に戻しました。
その戻した値段は、前年比でチャートでは25%前後になっていますが、前年比で30%マイナスの近辺を目指して戻ったことは想像に難くありません。
原油の例から言えるように、前年比で30%の上下動で動いた銘柄は、その訂正に動くということです。
では、来年の同時期に原油価格は、このままの価格が続くとすれば再び30%高になってしまいます。
そうなると下げ圧力が働くということです。
金の価格はどうなるか?
金の価格がこのまま来年まで続くとすれば、前年比で変わらずになりますので動きようがなくなります。
原油の場合はマイナス価格になっても需要は必ずあり、さらに価格が安くなっているので需要は伸びると考えるのが自然でしょう。
先のGotoトラベルがいい例です。
金の需要はIT部品などにありますが少ないもので、その上に価格が上昇しているので需要は減ります。
需要の大半は先にETFの残高が過去最高を記録しましたが、これは別に持たなくてもいい需要であり、不安が回避されれば投資需要は一気になくなります。
言わばETFの残高などの投資や将来不安に対してのものは砂上の楼閣のようなもので、値段に大きく左右されるものです。
過半の人は、金によっておカネを儲けたいという人ですので当然と言えます。
価格が下がれば投資需要は減退し、ITなどの精密機器などの需要は増えることになりますが、投資と比較すれば僅少なものです。
ゆえに価格が落ちる可能性は高いということになります。
目先の金の選択肢は?
ところが、アメリカの中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長も日銀の黒田総裁も表明しているように、この新型コロナショックの影響は3〜5年は残る、つまりは不安は残るでしょう。
ゆえに投資需要は一時的には減退しますが、長期間にわたって届くということになります。
現在の金は去年に比較して30%高になりますが、これ以上の価格はなかなか望めないので、目先の選択肢としては売りしかなくなるわけです。
現在の価格1900ドルから30%減価ということは、570ドルになりますので、1230ドル近辺が安値の目途になります。
以前このコラムで「下がる時には1200ドル前後」と書いたのと一致します。
指値はどう設定すべきか?
言えることは、現在の金は30%高と25%高のレンジを行ったりきたりしており、結果として現在は30%の上限ですので、ここから5%安、つまり1920ドルの5%である115ドル安くらい、1805ドル近辺の数字が目標になるということになります。
しかし、これが間違いというのわかりますか。
上記で指摘しているのは、去年の価格と比較して30%高が現在の状態で、その値段は1920ドルのわけです。
25%高というのは去年と比較しての値段であり、去年の同時期の値段は1484ドルくらいでした。
ここに1.25をかけた数字は1815ドルになります。
つまり、目標を1805ドルにするのと1815ドルにするのでは全く意味が違うということになるのです。
指値をするのにも設定が違うわけで、例えば1810ドルに指値を出しても入りません。
これを1820ドルで出せば入る可能性もあります。
こういう計算は厳密にしなければいけません。
今後の金価格の展望
こう考えると、10月13日現在、今の金に対しては少なくとも30%を超えていますので、買いという選択肢はないということはおわかりでしょうか?
目先は5%安をめざして売りなのです。
そしてその前に、以前のテクニカル分析の解説で、日足の100が今度の下値の目途になると書きました。
現在、日足の100は1866ドルにあり、当面はそこが目標になるでしょう。
そして、30分足の3500はまだ若干の上昇を続けています。
その幅はどんどん鈍化はしていますが、いまだにフラットになっていません。
1866ドルまでに行ったときに、この30分の3500がダウントレンドを形成をしていれば、1815ドルを目指して下がるのではないかと思います。
このように考えていくと、金相場というのがある程度見えてきませんでしょうか?
この記事のまとめ
今回の記事では、絶対値と相対値は根本的に違い、混同して物事を考えてはならない。
人間は本能的に相対的に判断する生き物なので、基本的には絶対値で物事を考えることが重要。
しかし、中には相対的に考えなくてはならない場合があり、金をはじめとする市場は前年比で30%を超える値動きがあると、反転するという法則のようなものがある。
金の価格は前年比で30%高をとっくに超えており、下がるのが必定で目先の選択肢は売りしかない。
こういう内容の記事でした。
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