今のアメリカに金融緩和ができるか?

アメリカでは大統領選挙が終了し、新型コロナ対策に注目が移りつつあります。

なぜ「つつ」なのか。

皆さんもご存じのようにトランプ大統領が敗北宣言を出さないからです。

今回は、世界経済をはじめ金にも影響してくるこの新型コロナ対策の金融緩和の成り行きについて考えていきます。

背景にある大統領選挙後のドタバタ

ジョージア州タウンセンドのロードサイド、「神とドナルド・トランプのみがこの国を救うことができる」と書かれた大看板

11月20日、ジョージア州の選挙管理委員会はトランプ大統領の申し立てを却下しました。

そのほかの申請もすべて選挙管理委員会が却下する見込みです。

これで新大統領が正式に決定するのかといえばまだ楽観はできず、そうなる前にトランプ大統領が裁判所に選挙の不正を携えて審理を要求すれば、選挙結果の判明はまた長引くでしょう。

とは言え選挙は一応終了したので、アメリカ国民のみならず議会も政府も新型コロナ対策に戻っていきます。

ここで議会の誤算は、上下院とも民主党が過半数を取るという目算が、実際は上院は補選と決戦投票を含めて共和党が取る見込みである点です。

共和党と民主党のモノの考え方の違い

この新型コロナ対策は、共和党が小さな政府を目指して小さな予算を主張しているのに対し、民主党は大きな政府を目指して大規模な対策費を主張していることが対立の争点です。

以前、リベラルと保守の違いについて記しました。

金の価値を保守とリベラルの枠組みで考えてみる

リベラルというのは革新、つまり新しい考え方を導入する傾向があるので、より社会主義的な、すなわち左寄りの考え方を尊重します。

これが大きな予算の導入を支持する理由です。

対して共和党は伝統的な価値感、すなわち保守的な考え方ですので、社会全体を考えるよりも個人の尊厳などを重視します。

ゆえに主張の根本は自己責任や自助ということになり、予算の拡大は望まないことになります。

保守的な考え方とは『聖書』に書かれていること、ローマ法王の言うことが絶対という考えにも通じるものがあり、昔から人間は自分自身のことを中心に考える生き物ですので、個人を重視するのです。

対して進歩的な民主党は、社会全体で落ちこぼれを出さないという新しい考え方を重視します。

米民主党の誤算

2020年11月14日、ロサンゼルスのロサンゼルストレードテクニカルカレッジで講演するバイデン次期大統領

ここで問題になるのは、大統領も上下院も民主党という前提で民主党は新型コロナ対策費の決定を大統領選挙後まで引き延ばした点です。

上院で民主党が過半数を制することができなかったことから、大規模な予算処置がとん挫しています。

大統領が民主党になったことから、民主党は浮かれている状態かといえばそんなことはなく、むしろ敗北感が漂うのが現実です。

本来であれば大統領も上下院も民主党が制し、トランプ共和党の完全否定を目論んでいました。

新型コロナ対策予算も民主党の思惑通りに運ばず、主張は通りそうもありません。

現在の議会は旧議会で新議会は来年2021年から、それまでは上院で過半数を握っている共和党が民主党の提案を拒否し、さらに現職のトランプ大統領も拒否をするという状態。

2021年になってバイデン大統領が誕生しても、上院が承認しないので民主党の主張する予算は通りません。

共和党との歩み寄りが必要になります。

つまりどの道、民主党の思い通りの予算案などできないのが現実です。

米予算成立への長く険しい道のり

下院議長で実質的な民主党の議会のリーダーであるナンシー・ペロシの手腕が問われるが…

予算成立の日程ですが、7月31日に第一次の予算案が通り、第二次予算を議会で審議していたのですが、民主党の強硬な反対によっていまだに成立していません。

これで何も文句が出ないのは、トランプ大統領が大統領令によって地方自治体などを巻き込んでなんとか予算案の半分程度を承認しているからです。

その大統領令による対策予算も12月3日で終了し、次回の経済対策待ちになっているのですが、議会では承認の見通しがありません。

トランプ大統領は民主党に意趣返しをしていると盛んに報道されていますが、民主党の横暴なやり方に頭にきているのは間違いないでしょう。

8月に共和党が最高の予算案を提案しているのに、民主党が反故にして潰し、それでは困るということでトランプ大統領がなんとか対面を保っているのです。

トランプ大統領であろうとなかろうと、民主党がジャマをして国民そっちのけの政争に明け暮れる…、誰だってあきれ果てるのが普通でしょう。

問題は、今回の新型コロナ対策が切れる前に予算が通るか否かの問題であり、民主党がわがまま放題をやってこれで通るのかということです。

年内に通る見込みはなく、そして来年以降も決まる見通しがありません。

金融緩和の成り行きは?

いまだに敗北宣言を出さないトランプ大統領

アメリカで金融緩和が実施できるか否か、正直今の国政能力ではできない見込みの方が高いです。

しかし、やらなければ国民は黙っていませんし、本当に民主党の崩壊危機になるので、中途半端なものを行うことになるでしょう。

これは結局、経済が想定されていたよりも深刻でないことが民主党の救いになっているだけにすぎません。

民主党はトランプ大統領に助けられている側面を、トランプ嫌いの人はもっと考慮すべきです。

極言すれば、トランプ大統領の経済政策のおかげでバイデン大統領が誕生したとも言えるのですから。

むしろバイデン支持者は、バイデン大統領によって経済が失速することを心配しなければいけないでしょう。

そして金融緩和が行われないとすれば、金の価格がけっして楽観できないということを肝に銘じておいてください。

この記事のまとめ

今回の記事では、民主党が思い描く新型コロナ対策の第二次予算は、2020年は大統領も上院も共和党なのでの通過が不可能。

2021年になってバイデン大統領が誕生しても、やはり上院は依然として共和党が過半数を占めているのでやはり難しい。

しかし成立させなければ国民が黙ってはおらず、民主党も崩壊の危機に立たされるため、ともかく中途半端でも成立させようとする。

バイデン政権によって、アメリカ経済が失速することを憂慮しなければならない。

こういう内容の記事でした。


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