今回は、金の価格決定要因の一つである金利についてです。
バイデン政権の誕生でどう変わるのかについて触れた上で、利率変動に季節性があることを説明します。
そしてそれに反応する金価格の季節性も理解することが出来ます。
金利の利率変化要因
金利の変化要因とは、
【1】物価
【2】政策金利
【3】財政赤字
になります。
このうち2021年にバイデン政権に変わることを前提に説明をすれば、バイデン民主党は大きな政府を目指すという点が注目されます。
金利の利率構成要因の【3】に財政赤字が含まれるからです。
バイデン政権は各種社会保障や福祉を充実させ、今より大規模な経済対策を行うと明言しているので、財政赤字は増えるでしょう。
トランプ大統領は主に減税を行いましたが、共和党は自己責任、自助を目標にしている政党ですから、これでも財政赤字は押さえたほうです。
つまり、金利の上昇が見込まれます。
バイデン政権では期待できない金
上記を踏まえれば、民主党政権では金が大きく値段を上げないことがおわかりいただけるでしょう。
なぜなら、
【1】ドル
【2】金利
【3】GDP
が金の価格変動要因だからです。
今回の金の最高値更新はドル安も一つの要因ではありますが、金利が史上最低になったから起こったものなので、余計にその確信は強まります。
金利の季節要因と金価格の関係性について
以下は、過去5年間のドル建て金価格推移です。
毎年の年の始まりを見てください。
大抵の年で、金の価格が上昇しているのがわかるでしょう。
2017年は、露骨に年末安の年始高。
2018年の上昇が遅かったのは、ドル高の進行の方が強かったからで2019年も同様。
2020年も11月から停滞して年初から急騰しています。
これは何に起因しているのかといえば金利です。
下記は、金利に金の価格を合わせたチャートになります。
毎年、年末に向けて金利が上昇し、年初に落ちるというパターンになっているのがわかるでしょう。
米金利の年間パターン
下記のグラフはアメリカ貿易収支5年分です。
過去5年間、ずっと貿易赤字を積み重ねており、トランプ大統領が就任以来「貿易赤字、貿易赤字」と念仏のように唱えていた理由がおわかりになるでしょう。
この貿易赤字には特徴があります。
アメリカは南北のみならず東西にも長い国家であり、南部は通年で経済活動が行えますが、冬場の北部、特にアラスカなどでは経済活動ができないのが実情です。
ラストベルトと呼ばれるシカゴ近辺などは北海道と同じ緯度ですので、冬場に自動車産業などが活発になるわけがありません。
ゆえに輸出は春から秋にかけて活発になり、冬はまるでダメ。
貿易赤字の額も冬に増える傾向にあります。
国内の産業は、10月末の感謝祭から始まる年末セールに向けて需要が最高潮に盛り上がります。
つまり10月から11月にかけて、世界で一番消費をするアメリカ人の需要を満たすために、企業の設備投資の資金需要が盛り上がるのです。
その需要が一巡するのは11月のベテランズデーで、だいたい金利の上昇は一服。
しかし、クリスマスが終了すると、日本も同様ですが企業は一斉に休暇に入ります。
企業はお休みに入っても家賃や税金など固定支出は出続けるので、無収入の間、借入によってその資金を賄うのです。
つまり、11月から年末までに一斉にアメリカでは資金需要が高まり、金利が上昇します。
日本の場合は、12月25日くらいから資金需要が高まるので、金利上昇によって大抵株安になります。
そして、年始になると企業が動き始め資金需要が消えるので、金利が急落するのです。
今年のクリスマスは特別?
上記のとおり、12月中旬は日米ともに資金需要が高まってくる時期であり、この時期の金利はよほどのことがない限り下がりません。
金の価格変化要因【2】の金利が上昇するのですから、年末に金を強気にできようはずがないのです。
そして、米議会ではまとまるかどうかわかりませんが、超党派の議員によって小規模の経済対策がまとまる可能性が高いです。
12月11日までにまとまらなかったので、まとまる可能性は減りましたが、まだ可能性は残されています。
この経済対策が決定すればドル高になるでしょう。
そうなると、クリスマス前後は薄商いで危険とよく言われますが、今年の場合はどうなるのでしょうか?
この記事のまとめ
今回の記事では、まず社会保障、福祉を充実させると公言しているバイデン新政権下においては、財政赤字の拡大から金利の上昇(=金の下げ要因)が見込まれるため、金価格の上昇には期待が持てない。
そしてこの年末、ただでさえ例年の金利上昇で金相場が下がり気味になるのに、アメリカで経済対策がまとまればドル高(=金の下げ要因)になることさえもが予測される。
よって今、金の強気などできようはずがない!
こういう内容の記事でした。
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