米長期金利との関係から金価格を読み解く

今回は、アメリカの長期金利(10年物)と金価格の関連から、今後の金相場について解説していきたいと思います。

相関する米長期金利と金価格

はじめに、米長期金利10年物「価格」週足をご覧ください。

そして、以下が米ドル建て金の週足になります。

上記の2つのグラフの形が酷似していると感じた方が多いでしょう。

ご存じのように金の価格構成要因は、

【1】ドル
【2】金利
【3】GDP(国内総生産)

です。

つまり【2】金利の価格と金の価格は、ほぼ相関して動いていることを示します。

弱まるドルと金価格の相関

参考までに、金の価格構成要因【1】ドルと金の相関を以下に示します。

参照元:TRADING ECONOMICS

本来であれば、緑線のドルインデックスが上昇すれば下がるはずの青線の金が、それほど下がっていません。

2019年などは、緑線のドルインデックスが上昇すれば本来は青線の金は下がるはずなのに、一緒に上昇してしまっています。

そして2020年中葉からは、ドルが大幅に下落しているのに金はそれほど上がらず、2021年に入ってからは、ドルが大きく上昇しても金はそれほど下がらずという形になっています。

このことから言えるのは、今の金相場は【1】のドルよりも【2】の金利によって動いている傾向が大きいということです。

ただし、だからといって【1】ドルと金の反相関性がなくなったわけではなく、あくまでも今は【2】の金利との傾向が強いということです。

テクニカル分析で今後の米金利を読む

まずはテクニカル面から分析してみます。

下記に米長期金利の「価格」週足を再掲しましょう。

注目してほしいのは、このチャートで最も短期である白線の10-15の足です。

去年の年末から今年の年初にかけて集合していたこの線が、今年1月を過ぎた辺りから広がってきています。

この開き方はまだ不十分で、今後も下方向で拡大していくでしょう。

そして、黄色線のうちで一番短いスパンの30-35、このグラフでいう一番上の線を見てみると、全く開いていない状態です。

これもこの傾向から言えばまだまだ開く、よって金利の価格が下落する、つまりは金利の利率は上昇するという意味です。

ただし白線、中盤の100-150は上を向いています。

ただ、これは開ききっている感がぬぐえず、今後収束に向かう、すなわちダウントレンドに向かう可能性が高い。

そして、最大のスパンである黄色の300-350は収束しており、今後は短期線が全部下方向を示していますので、この収束は下方向の拡大と予測されます。

世間では、米長期金利はもう上昇しないだろうという予測がコンセンサスですが、テクニカルではまだまだ上昇すると示唆しています。

テクニカル分析で読む今後の金価格

さて、次は金の週間足を見ていきましょう。

一番短期の足、10-15を見てください。

現在はきれいに拡大してはおらず、短い線10、11、12辺りの線が複雑になっています。

これは直近のローソク足が陰線ですが大きく戻している影響と考えられます。

線の拡大のピークというのは、きれいな等分の開きとなり、この汚い拡大はきれいな拡大になると思われます。

金利と同様に30-35は今後拡大するでしょうし、100-150は拡大しきったところになるようでしょう。

300-350はまだ拡大するように思われますので、多分、今度の抵抗は1400ドル前後と思われます。

つまり金利の上昇と金の価格は、見事な相関関係にあると言えるのです。

ファンダメンタルズからの考察

ファンダメンタルズというと、需給や金利やドルがどうなるかの考察になりますが、今回はあえてテクニカルに近い形になります。

下記のグラフは青線が株価、緑線が金利です。

参照元:TRADING ECONOMICS

株価と金利の関係は、1980年に金利がピークアウトした時から、株価は急騰し始めました。

つまり現在の株高は、金利が下がったことからスタートしているのです。

ゆえに歴代の政権、日米ともに金利が高すぎることを当然嫌います。

このことは、老後の資金を預金から株にというフレーズでも有名ですが、株価の動向が政権の支持率に直結するという転換があります。

現在の菅首相やバイデン大統領はヘマばかりしていますが、そこそこ支持率が安定しているのは株価が高いからです。

かつてトランプ前大統領が、金利を下げろとシャウトしたことはご記憶にあると思いますが、彼がそのようなことを言ったのは、金利が2%を超えると株価が低迷することを知っていたからです。

米金利のゆくえ

ワシントンDCに立つFRB本部

今、この金利をコントロールするFRB(連邦準備制度理事会)、その議長であるパウエル氏はこの「金利の高騰は問題ない」とは言っていません。

しかし、「短期的なインフレはある」とはっきりと明言しています。

そして、この金利の高騰は5〜6月にかけて起こると間接的に言っています。

このことはまた機会があれば説明しますが、間違いなく5〜6月に物価上昇(インフレ)は起こるでしょう。

物価が上昇すれば、金利の上昇は必然です。

金利の上昇と金の価格は完全に相関しており、よくわかっている人はすでに金の売り仕込みをし、いまだに崩れる様相がないNYダウやビットコインを下がり始めてから仕込むと見ています。

この記事のまとめ

今回の記事では、現在の金価格は米長期金利とほぼ相関して動いている。

そしてその米長期金利は、テクニカル分析によればまだまだ上昇するものと見られる。

この長期金利で分水嶺となるのは2%。

ここを超えれば必然的に株価は低迷を始め、金ももちろん下がる。

利口な人は、すでに金売の仕込みを終えているだろう。

こういう内容の記事でした。


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