今回のテーマはG7です。
そもそもG7とは何かから解き明かし、4月6日近辺に行われた財務相会合の内容に触れた上で、金相場に対する影響も含めて解説していきます。
そもそもG7って何?
よくテレビで耳にする機会が多いG7、そもそも何なのかをご存知の方は少ないでしょう。
G7は国際「通貨」基金(IMF)の下部組織というのが妥当なのか、派生組織というのが適当なのかはわかりません。
このIMFに主に出資している有力国が7ヵ国あり、その中には日本も含まれます。
IMFは、第二次世界大戦後で荒廃したヨーロッパの復興のために用意されたプログラム、マーシャルプランがその源です。
このマーシャルプランは、主にアメリカ財務省が支援を行ったので、「IMFのやることはアメリカ財務省の思惑」とたまに揶揄される由縁です。
つまり、アメリカ財務省を筆頭にしたトップの会議が首脳会談になります。
例年5〜6月に行われる、日本の首相やアメリカの大統領など各国の代表が出席する会談をサミットと呼びます。
日本でも最近、大阪、伊勢志摩、洞爺湖などで行われたのはご存知でしょう。
ほかに、通貨など経済の諸問題を話し合う財務省会談があります。
G7の財務相会合の重要性
このG7の財務大臣会合は、別名「通貨マフィア」の会合とも呼ばれます。
正確には、日本の麻生財務大臣といった財務相や長官を指すのではなく、その部下である各国の通貨担当がいろいろ話し合うのです。
例えば、2008年のリーマンショックでは世界経済が崩壊する瀬戸際でしたが、ドルの流動性が枯渇するなか、各国の通貨担当が各国がドルを市場に供給することを電話一本で決定しました。
そのほか、東日本大震災やユーロ危機、今回のコロナショックでも同様にドルの供給をG7が決定しています。
昨今はかなり技術革新が進行して、オンラインでの会合になっていることは皆さんのご想像の通りです。
つまり、G7各国の通貨担当が通貨の相場を決定しているのであり、テレビやニュースで頻繁にG7が登場するのはこのためです。
FXをやっている方は、このG7の開催を注視しなければいけないのですが、ほとんどの投資家は、この会合の意味を理解しないで取引を行っています。
4月6日近辺に行われた財務相会合の内容
今回のG7、4月6日近辺に開催されたオンライン会合は非常に重要な意味を持ちます。
財務相オンライン会談では、イエレン米財務長官の国際統一法人税、SDR(特別引き出し権)の配分などが討議されました。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-04-05/QR3J9FT1UM0W01
https://jp.reuters.com/article/g7-economy-idJPL4N2LH3A0
引用元:ブルームバーグ
なお国際統一法人税に関しては、例えばオンラインでのショッピングには昨今さまざまな選択肢がありますが、これはアマゾンが圧倒的に有利です。
なぜなら、アマゾンは他国で法人税や消費税を納めているので、日本では税金を払っていません。
つまり、アマゾンの販売価格が一番安いのは、自動的に10%引きになってるからです。
そのほか、ウーバーや各種洋品店、SNSも同様です。
日本政府としては、国際的に合法と見なされているので検挙するわけにもいきません。
こんな日本メーカーにとって不平等な税制は、即刻改めるべきだと考えるのが自然でしょう。
しかし、イエレン米財務長官がこんなことを言い出す背景には、税収不足があるからという見方もできます。
参考までに、アマゾンはアメリカでも税金を支払っていないので、トランプ前大統領がやり玉に挙げています。
現状の民主党でも問題になり、独占禁止法による分割も検討されているのもこれが背景です。
このように、国際無国籍企業の増大化には各国も懸念を示しています。
「通貨マフィア」の密かな決定
さて、上記が表向きの会議です。
しかし、この会議に先立って3月31日にひっそりと以下の決定を行っています。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2021-03-31/QQ4WEGDWRGG801
引用元:ブルームバーグ
例えばドル円は、それまで104円だった相場が3月に一気に1ドル110円まで上昇しました。
ところが、ここから大幅な円安かと思われた矢先の4月9日にはすぐに109円に戻ってしまいました。
当然のことです、今まで目一杯緩和をしていた日本銀行が、4月にその額を大幅に減額しているのですから円の価値は増価します。
それが4月1日以降に日銀が通貨供給を減額すると言っているのですから、円高になっているのです。
一方、ユーロはヨーロッパ中央銀行(ECB)が通貨供給を拡大しています。
この決定も3月です。
為替相場で今何が起こっているのか?
当サイトはFXのサイトではないのでチャートは掲載しませんが、去年の4〜5月から上がった通貨は下落させ、下落した通貨は上昇させる決定がなされました。
つまり、ドルは今年から上昇していますがさらに上昇し、ユーロは下落させ、円は再び円高方向にするということです。
オセアニアやポンドも、上がった通貨は下げさせます。
実は、裏でG7はこういう決定したのです。
それは4月1日からの予定だったのですが、4月6日に合意をしました。
最近FXの値幅がなくなったのはこういう背景があったのですが、こういうことを知っていると、だいたいどの近辺で動くのかわかります。
すなわちドル円で言えば、110円以上の円安になることはよほどのことがない限りありえません。
注意としては、日銀に関するブルームバーグの記事をよく読むと「4月は減額する」とある点です。
となると、5月には変更になる可能性があるかもしれません。
財務相会合と金相場の関連
先だって、今の金相場は主に金利と関連していると説明しました。
金の価格構成要因は、
【1】ドル
【2】金利
【3】GDP(国内総生産)
です。
【2】の金利は4月9日に全米のPPI(卸売物価指数)が発表されましたが、順調に物価は上昇しています。
ゆえに金は下落することになります。
そして、【1】ドルは上記で説明したとおり高くなるのです。
【3】のGDPは、1〜3月期が3月25日に出る予定です。
10〜12月期と比較すればよくなっていますが、問題は去年の1〜3月と比較してよくなっているかです。
去年の1〜3月は、2月からのコロナショックで大変なことになりましたが、それ以前は史上空前の景気でした。
それを超えるようなことはさすがにないでしょう。
この記事のまとめ
今回の記事では、別名「通貨マフィア」との呼び声も高いG7の財務相会合が4月上旬に行われ、ドル高、円高、ユーロ安にすることを密かに決定。
4月9日に発表された全米のPPIからは物価が上昇していることが示され、相関関係にある金利の上昇が見込まれる。
今後発表される1〜3月期の米GDPは、昨年比で上昇するとは考えられない。
以上、金価格の3つの構成要因のいずれもが下げを示唆。
ゆえに金の価格はマイナスになる公算が高い。
こういう内容の記事でした。
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