各国中銀メンバーが懸念!間もなく世界はインフレに突入するのか?

各国の中央銀行のメンバーがインフレを懸念しています。

今回は、実際にインフレは起こるのか否かについての解説です。

インフレとは?

1万円札の価値も日々変化している!?

インフレーション、すなわちインフレとは物価の上昇を意味するとお考えでしょう。

しかし、実はそれは間違いで、厳密に言えば、通貨の価値の下落によって物価の上昇が起こります。

今回の新型コロナ禍では、各国の中央銀行が競って通貨の供給を増やしました。

モノの価値はほとんどが需給で決定しますので、景気が低迷しているところに通貨の供給を増やせば、当然通貨の価値は下落します。

1万円なら1万円の価値がお金にあると思いがちですが、実はそのお金がコロナ禍で大量に供給されていることから、価値が下落しているのです。

ですから、去年は1万円で買えたものが、今では1万円で買えなくなっているのが現実です。

具体的に言えば、日本円の価値は年間で4%下落しているので、1万円で去年と同じ買い物をしても、9600円分しか買えなくなっています。

ところが、それ以上にモノの価格の下落が早いので、物価が上がっていないように感じられるのです。

ですから、本当は今の状況は物価が上昇しているのです。

そこで、去年と比較すればお金の価値は確実に下落しているのに、物価上昇につながらないというのが各国中銀の素朴な疑問になります。

リアルなハイパーインフレの凄まじさ

1923年、1ドルが8億マルクと同じ価値があった時代のベルリン銀行の様子

第一次世界大戦後、敗戦国のドイツでは、ベルサイユ条約での賠償金の支払いを国債増発によって賄うことにした結果、天文学的なハイパーインフレが起こりました。

『入店時にコーヒー1杯がトランク2個分のお金だったのが、出る時には4個分になっていた』なんて逸話さえあります。

日本では直近のインフレは、1970年代のオイルショックの際のトイレットペーパー騒動でした。

昨年のコロナ禍によるマスクやティッシュペーパー、トイレットペーパー騒動も、ある意味ではインフレということになります。

今では考えられませんが、マスク1枚80円で50枚で4000円とか、もう狂乱物価ですよね。

なぜ現代ではハイパーインフレが起こらないのか?

2020年には前年比37%増の3860億ドルの売上を上げたアマゾン

第一次大戦後のドイツや第二次大戦後の日本ではハイパーインフレになったのに、なぜ今は一部の商品を除きインフレにならないのでしょうか。

インフレというのは物資不足から起こるものであり、戦争後のドイツや日本では極端に日常物資が不足していました。

これに戦争の借金返済のために国家が国債増発という暴挙を行ったことによって、お金の価値が暴落したのです。

そして、お金があっても皆さんが生活できないので、その生活を行うために皆がそのお金を商品に変えようとします。

となると、もとから食料品やそのほかの雑貨がないところに、食料品などはすべて店頭から消える、これがインフレです。

ところが現代は、スマホやパソコンでポチッとしてお金さえ払えば、早ければ翌日や当日にはその商品が届くというような時代であり、極端な商品不足なんてありえません。

一方で、マスクなど外出時の必須アイテムがないと狂乱物価になってしまいます。

つまり、今の時代に物価が高騰するのは、供給元が閉鎖されたというような極端な状況にある商品に限ったケースのみで、実際にモノがなくて値段が上昇する商品は限られています。

同じ品不足でもマスクと半導体でこうも違う

2020年2月下旬、日本の商店の店頭からマスクが消えた!

マスクを例に考えてみましょう。

昨年は皆が外出ができなくてお金はたくさんあるのですから、1箱5000円のマスクでも飛ぶように売れました。

だからマーケットからマスクが消えたのです。

今では自動車向けの半導体などが極端な供給不足になって高騰していますが、私たちの日常生活にはさほど影響はしないので、落ち着いたものです。

そのほか株価やアメリカの不動産市場などは極端な品薄状態にあり、まさにバブルというような状況と言えます。

そのほかビットコインも高騰していますし、金も去年は大高騰でした。

しかし、この高騰を抑えるのは簡単です。

中銀が通貨を発行するのをやめればいいのです。

なぜ今インフレ懸念なのか?

下記のグラフはアメリカの物価指数、その下のグラフは去年と比較していくら物価が伸びたのかのパーセント表記になります。

参照元:TRADING ECONOMICS
参照元:TRADING ECONOMICS

見てほしいのは、下のグラフの2020年4月と5月です。

去年のこの時期はアメリカではロックダウンが頻発し、物価は伸びませんでした。

ところがグラフの右端、今年3月は大幅に伸びています。

では、今年の4月が終了した時点で、その4月の物価の伸びはどうなるのか?

去年と比較したら、驚くほど高い数字になるでしょう。

となると金利の価格構成要因は、

【1】物価
【2】財政赤字
【3】政策金利

ですから、当然【1】の物価が急伸すれば金利が急騰します。

コロナ禍でどの国も財政が厳しいのに、金利が上昇すれば余計に国家財政がひっ迫し、国の信用が薄くなります。

そうなると、さらに金利が上昇するという悪のスパイラルに陥るのです。

各国の中銀の理事たちが懸念しているのはこのスパイラルであり、金利上昇によって最悪デフォルトも起こっても何ら不思議ではないということです。

ですから、インフレ懸念は確実に存在すると断言してかまいません。

来たるべきインフレの成り行き

電気自動車には、配線をはじめさまざまな部品に銅が使われている

危機というものは、予想もしなかった場合に被害が甚大になります。

2019年に日本は台風の被害が続出しましたが、2011年の東日本大震災の被害を上回ることはありませんでした。

理由は、台風が事前に予測できる一方、地震の発生は誰にもわからないからです。

今回のインフレ懸念も上記の数字で説明できるので、仮に起こったとしても想定されたこと。

対策が万端であれば、そう怖いものではない、つまりさほど大したことにはならないと言えるのでしょう。

足りていない自動車向け半導体などは高くなるかもしれませんが、生活にはそれほど影響はないと思われます。

電気自動車の供給過多などによって、銅のバブルは発生するかもしれませんが、時限的でしょう。

また、ビットコインはすでに下がっていますが高騰状態は変わらず、だからと言って再び高騰し続ける訳はありません。

そもそもビットコインは定期的に供給されるものであり、供給が途絶えることはないのですから。

「インフレに強い金」という格言があるが…

「インフレに強い金」という格言はあまりにも有名だ

金に関しては、インフレに強いと言われます。

しかし今回の場合、金の戻りは低金利によるものです。

金の価格変動要因は、

【1】ドル
【2】金利
【3】GDP(国内総生産)

であり、低金利は金にとっては強い材料ですから戻っているのです。

それが去年と比較してかなり強い物価で、金利高になれば金はどうなるのでしょうか? 

そうです、下がる可能性が高いのです。

この記事のまとめ

今回の記事では、各国の中銀メンバーが懸念するインフレはきっと訪れるであろう。

ただし、予想されたインフレであるので、その影響はあまり大きくはならないと考えられる。

ちまたでは「インフレに強い金」と言われるが、来たるべきインフレは金利上昇のスパイラルから引き起こさえるもので、金利高は金にとっては下げ要素。

ゆえに金の価格は下がる可能性が高し!

こういう内容の記事でした。


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