「協議離婚」と「調停離婚」よく目にはするけれどどう違う?
結婚20年目にして夫の不倫による離婚!様々な葛藤はあったものの、最後は二人の子供と共に生きるシングルマザーとしての再出発を決意。
このストーリーは離婚にまつわる諸問題と、結婚生活を彩ったジュエリーへの思いの記録です。
初回は「協議離婚」と「調停離婚」の違いを取り上げました。
青天の霹靂!夫から突然別れを切り出されるなんて!
それはある週末の午後の出来事。
子供たちはそれぞれ友だちのうちに遊びに出掛け、夫婦二人で家にいたときのことだった。
遅めの昼食をとってしばらくした後、お茶でもどうかと声をかけようとした時、「話がある」と切り出された。
改まってなに?と問いかけるとしばらく間があって、「実はかなり以前から考えていたことなのだが、離婚したいと考えている。
この結婚生活を終わりにしたい」
恐らくしばらくフリーズしていたと思う。
何を言えばいいのかわからなかった。
ただ、夫が淡々と「十分に考えて出した結論だ」「今更思いなおさせられるとは考えないでくれ」
まだ言い返せない。
「すでにやり直したい相手がいる」
その言葉を聞い手やっと声が出た。
「勝手なことを言わないで!」
夫の言い分:「離婚は必然」
今の妻は、何の不満もない穏やかな夫婦生活だったと主張するが、単にこちらが「波風を立たないようにしていた」だけのこと。
その状態を仲が良いと単純に受け止めて、何も疑問を感じないでいる鈍感な妻に愛想が尽きた。
「いってくれれば直した」と言い張るけれど、こちらからすれば、愛情や尊敬がないとしか思えない言動の積み重ねの日々だった。
これ以上夫婦として残りの人生を生きる意味が見いだせなくなった。
こちらも50台を目前とし、サラリーマン生活も終盤に入る。やり直すなら今しかない。勝手な言い分に聞こえるのは100も承知だが、離婚してほしい。わかってくれというつもりはない。
もちろん彼女が100%悪いとは思わない。
それどころか家庭と仕事を両立させ、十分称賛に値する妻だった。
しかし残りの人生を過ごす伴侶としては考えられなかった。
身勝手と分かっていても、もう一度夫婦というものをの別の相手とやり直したい。
妻の言い分:「離婚なんて想定外!」
必死に記憶をたどってみても、離婚を決意させるほどの出来事に思い当たる節がない、というのが本音。
「君は自分の両親と子供たちがいれば幸せに生きられる」といわれるほど、夫をないがしろにしてきただろうか。
一人っ子の自分は両親にとってただ一人の子供だし、子供たちにとっては私はただ一人の母親。
たしかに、マイホームを建てる時にも実家と自分の職場のあいだに建てたいと主張したけれど、それは「子供たちの世話を頼めるから」ということが理由だったはず。
夫の両親は他県で離れていたし。
確かに夫婦の会話は減っていたけれど、結婚20年も経てばそんなものでは?言わなくてもわかる、気持ちが通じ合っていると考えていた。
夫にとっての自分の存在とは?そう問いかけてみる。
自分は夫にとってただ一人の妻といわしめる存在だっただろうか。
そのときYesと言い切れない自分がいた。
確かに結婚生活で「我慢をした」記憶が私にはなかったのだ。
夫にすべてを飲み込ませていたのかもしれない。
離婚のかたち「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」
一度は夫婦になった男女が別れを選択するとき、整理しておかなければならない様々な事柄に直面します。
住居や子供の問題、生活費や慰謝料などの財産問題など夫婦期間が長ければ長いほど、話し合わなければならない問題が多くなります。
また最近急増している熟年離婚のような初老の域に入ってからの離婚には、双方の両親の介護、また子供たちからの反対など、その他の問題も絡みあいさらに複雑さを増してきます。
夫婦間での話し合いだけで解決する「協議離婚」が大半だった日本の離婚も、家庭裁判所が関与する「調停離婚」「裁判離婚」が今後増加することになりそうです。
「協議離婚」の進み方
夫婦の話し合いによって、離婚が成立する「協議離婚」。
協議離婚のメリットは、極めて手続きが簡単かつスピーディである点にあります。
夫婦間だけの話し合いで様々な条件を決め、双方の同意が確認できればあとは離婚届を提出するだけです。
ただし子どもがいる場合は注意が必要です。
協議離婚を選択したとしても、「面会交流」と「養育費の分担」について決定しておかなければなりません。
2011年の民法の一部改正により、父母が協議で定めるべき事項として「面会交流」と「養育費の分担」があることが明記されました。
たとえ自己破産した場合でも、子どもの養育費の負担義務はなくならないとされてる非常に強い効力を持つ法律です。
参考:厚生労働省委託事業 養育費相談支援センターホームページ より
「調停離婚」の進み方 negotiations_brake_down
話し合いだけでは双方の合意が得られない場合や、もしくは話し合いそのものが難しいという場合には、家庭裁判所が関与する「調停離婚」ということになります。
誤解されることが多いのですが、協議離婚が成立しなかったら、即離婚訴訟ということには日本の場合はあり得ません。
日本では「調停前置主義」にもとづき、夫婦のどちらかが行方不明など調停をすることが不可能な場合をのぞき、離婚訴訟の前には原則として調停の手続きを取る必要があるのです。
これは、夫婦の関係改善のために考えられた制度です。
いきなり裁判で黒白はっきりさせるよりも、第三者のいる場で当事者同士で話し合う調停が、円満解決に有効だと考えられています。
家庭裁判所の裁判官と調停委員2人が同席する場で決められる調停内容は、「調停調書」にまとめられ法的な拘束力も持っています。
調停にかかる費用そのものは数千円程度で、手続きも簡便です。
ただし、多くの場合弁護士に相談するケースが多くなり、必然的に総費用が高くなるケースが多くなります。
参考:高等裁判所ホームページ 「家庭裁判所の取り扱う事件と手続き」より
「裁判離婚」の進み方
調停でも離婚が成立しなかった場合には、いよいよ離婚訴訟へと進む「離婚裁判」です。
現在の日本では離婚全体の一割足らずの裁判離婚ですが、そもそも「相手が離婚に同意しない場合」や、財産分与や親権ほかの問題で対立している場合には裁判に踏み切らざるを得ません。
証拠に基づいて、法的な判断が下される離婚裁判ですから、明確な離婚原因があり、それを立証する証拠が必要になります。
また、弁護士依頼ほかにかかる多額な費用、審理期間の裁判所の呼び出しに多くの時間を費やすことになります。
また、裁判ですから当然一般の傍聴希望者に公開されます。
裁判の傍聴席に座った人たちすべてに、デリケートなプライバシー情報を知られてしまうことになります。
毎年発表される最高裁の「人事訴訟事件の概況」によると、離婚件数は減少傾向にあるものの、調停・裁判離婚の平均審理期間は長期化する傾向があります。
参考:高等裁判所ホームページ より
http://www.courts.go.jp/about/siryo/siryo_saiban_jinjisosyo/index.html
一口コラム:離婚の背景にみえるものとは?
一般的に夫婦の離婚原因は「性格の不一致」が最も多いとする主張をよく見かけますが、果たして本当にそうなのでしょうか?
先の主張の論拠には司法統計による統計結果を挙げているケースが多いようですが、家庭裁判所の手を経た離婚はすべての離婚件数の約一割程度に過ぎません。
残り9割の離婚のデータは調査対象外であり、大規模な統計調査が行われることはなく、散発的なアンケート結果が残るのみです。
日本家政学会第55回大会ではこの問題を取り上げ、「司法統計家事編における離婚統計の再検討:離婚理由に注目して」という発表がありました。
夫婦の数だけ、離婚の理由が存在するというのが実態のようです。
また、実際には今回のケースとは逆に、妻側から離婚を切り出されるケースが多くなっています。
参考:妻が夫に「三行半」を突き付ける最大の理由 高橋・三船夫妻の騒動は他山の石か
東洋経済オンライン https://toyokeizai.net/articles/-/58856
二人で話し合うことにこだわって協議離婚を選ぼう
別れを切り出された翌日の私の心境。
心の整理なんてできていないけれど、離婚に向かって進む以外ないことはもうすでにわかっている。
夫にとってはもはや離婚は必然。
決心を変えさせることはできないだろうし、たとえ今回離婚を見送ったとしても、もう以前の状態に戻れないことは明白。
夫は、私が夫の事を理解していないと考えているようだけれど、そのくらいはわかる。
それならば。
夫のいない人生を生きて幸せになればいい。
私にはかわいい子供がいて、まず倒産の心配のない企業の基幹業務の専門職。
確かなポジションも確保している。
数年以内には、まず間違いなく今いる部の部長になるだろう。
けれどもこれまで自分が離婚することになるなんて思ってもみなかった。
離婚についてあまりにも無知すぎる自分は、離婚に種類があるなんて知らなかった。
そしてこれからたくさんのことを夫と二人で決めなければならない。
恐らくは感情的になる場面も訪れることもあるだろう。
そしてこの離婚が最後の共同作業となり、この結婚指輪を指にはめることも永久に封印することになる。
それがまだ薬指にはめたままの結婚指輪。
二人で選んだティファニーのミルグレインバンドを見ながらまず思ったことだった。
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