離婚にまつわるお金のテーマ「慰謝料」「養育費」「財産分与」
離婚を切り出された時の最初のショックが過ぎて、しばらく脱力してしまった時期もあったけれど。
子どもたち、そして何より自分の幸福のために、前を向いて次の段階に進まなければ。
幸い息子の籍の問題も解決した。
息子が自分の籍から離れること、苗字が変わることに難色を示していた夫側も、次に男の子が生まれたときのことを考えあわせて引き下がることを選んだのだ。
これで一安心。
子どもたちの親権、戸籍が私側に移ることが決定した今、離婚に関する話し合いのテーマは、いよいよお金の問題に移ってきた。
気が重いけれども「慰謝料」「養育費」そして「財産分与」について話し合わなければならない。
自宅や車、そして預貯金や保険、家財道具などの財産を分け合い、そして慰謝料や養育費の金額をどうするかを決めるのだ。
そして夫婦の話し合いで解決する協議離婚であっても、「離婚協議書」というものをまとめておくらしい。
具体的には協議離婚する際に夫婦で取り決めた離婚の条件を記した契約書のこと。
この離婚協議書がまとまり、離婚届を提出してしまえば、それで結婚生活は完結する。
私は二人の子供を抱えたシングルマザーという新しい人生を歩み始めることになる。
夫の言い分
この離婚の直接的な原因は、確かにこちら側にあり、慰謝料、養育費共にできる限りのことをしたいともちろん考えている。
本来なら、こちらの新しい配偶者にも慰謝料請求があったとしても仕方のないところをこらえてくれて感謝している。
ただし、自宅はうちの両親が頭金を援助してくれている。
財産分与の際に、自宅は元妻と子供たちに残すつもりだが、多少は慰謝料、養育費を相殺してもらってもいいのではないか。
また、離婚協議書には「包括的清算条項」を盛り込んだ内容にしてもらいたい。
離婚時に取り決めた内容を覆されるようなことをされては困るので手を売っておきたい、というのが本音のところ。
自分としては、元の妻はそんな女性ではないと思うが、両親が心配しているので。
妻の言い分
一旦離婚してしまったら、その後元夫と元妻が話し合うことが難しいとは、離婚経験者の友人に聞かされていた。
確かに離婚するための話し合いは、お互いに決着をつけるためにとことん話し合うけれど、離婚してしまえば赤の他人。
離婚後にお金やそのほかのことを話し合おうとしても、解決しにくいだろうとは想像がつく。
とはいえ、自宅の頭金は夫の両親が出してくれたものだし、私が持っている宝石類の大半は夫と義母から譲り受けたものなのだ。
こういうものは返却すべきなのだろうか。
すると夫から「包括的清算条項」についての申し入れを作ったから、押印と署名が欲しいと連絡があった。
包括的清算条項、なんて初めて聞く言葉だけれど、要するに
「甲乙は本契約に定めた以外相手方に対してなんらかの請求をしないことを相互に確約した。」
という主旨の一文を加えておきたいということだ。
際限なく要求が膨らむことのないように、ということらしい。
信じてもらえないのかと寂しい気持ちになることも別にない。
至極まっとうなことだと思うから異存はない。
必ず離婚協議書に記載しよう!「慰謝料」と「財産分与」
離婚の際に夫に要求できる金銭的謝罪、援助として「慰謝料」がまず思い浮かびます。
配偶者に対する裏切りほか有責な行為があったことを証明できれば請求できるお金です。
それに対して、財産分与は事情のいかんなく基本的に請求できる権利となっています。
これらのことを踏まえて、しっかりと今後の経済的な援助・保障についてはしっかりと話し合い、離婚協議書にまとめておく必要があります。
厚生労働省が調査した「人口動態社会経済面調査からみた離婚」によると、離婚した母子に対する前夫からの養育費などの金銭等の取得状況は、離婚に際しての取り決めの有無により大きく異なることが分かりました。
当時の調査結果では四割を超える夫婦が金銭等の授受の取り決めを行い、その内の77%は一時金(財産分与、慰謝料等)、定期金(養育費等)、あるいはそのどちらも取得しています。
対して何ら金銭関連の取り決めを行わなかった残り5割を超える夫婦の場合、金銭的な援助・保証を受けたケースは10%のみという結果が出ました。
しかも受け取る金額も、取り決めをしている場合の70%程度に過ぎません。
金銭に関する問題を話し合うことは確かに気の重いことであり、合意するまでに時間がかかることもありますが、かといってあきらめてしまっては元も子もないこと。
法テラスなど無料で弁護士ほか法律のプロの力を借りる方法もあります。
金銭援助の合意を得て支払期日を取り決め、離婚協議書に明記するまで、最後まであきらめずに頑張りましょう。
養育費は子どもを監護していない親の義務!
養育費とは、払う側の自由意思に依存するものではなく、未成年の子供を持つ親の義務です。
子どもの監護権を持つ親(監護親)は、監護権を持たない親(非監護親)に対して、子どもを育てていくための「養育費の支払い」を請求することができます。
離婚したとしても子供の親であることに変わりはありません。
養育費は親として当然支払うべき出費なのです。
ちなみに家庭裁判所において,養育費の算定をする際に参考として活用している資料が「養育費・婚姻費用算定表 」です。
例えば年収600万円の男性が子供二人の養育費として月々支払う金額は「8~10万円前後」が目安となっています。
そして元配偶者が養育費を支払い、子供の成長にかかわり続けることは、ひとり親の悲しい児童虐待を防ぐことにもつながります。
子育ての多忙さ、経済の厳しさにあえぐひとり親世帯は、誰にも相談できず孤独に陥ることが一番避けたいこと。
離婚した後も自分の子供であることを自覚し、そして一人で子供を育てる元配偶者の苦労を思いやることを忘れないでおきたいものです。
一口コラム:シングルマザー&ファーザーは子供あり世帯の7%以上!
2015年に厚生労働省から発表された「ひとり親家庭等の現状について」を見ると、子供のいる世帯数は約1209万世帯。
母子・父子家庭の総数は約90万世帯。いわゆるシングルマザー&ファーザー世帯は子供のいる世帯の7%台にのぼることが分かります。
そして同年実施された国勢調査によると、夫婦のいる一般世帯数は約2870万世帯です。
そのことを考えあわせると、数字の上においては、まだまだひとり親世帯は少数派であるといえます。
しかし、これも地域差があり、都会ほどひとり親世帯は多くなる傾向が強くなっています。
一方決無視できない問題が、ひとり親家庭の相対的貧困率の高さです。
大人が2人以上いる世帯の相対的貧困率が12.4%であることに対し、ひとり親家庭の相対的貧困率はなんと54.6% にも上るのです。
幸いこのストーリーの主人公は、安定した定職に就き、両親の援助も受けられるという恵まれた環境です。
二人の子供を育てながらの家庭運営もなんとかやり抜いていけそうですが、大多数のシングルマザーはもっと厳しい現実に直面していることが現状なのです。
一人で悩んでも答えが出ないときは専門家に相談しよう!
夫の不貞が主な離婚原因である以上、経済に関しては私側が有利だと、離婚について相談した弁護士は言っていた。
今は法テラスの無料法律相談サービスが利用できるので、一般人にもだいぶ敷居が低くなっている。
そして、この法テラスでは、「代理援助」というシステムがあり、所得金額によっては弁護士の着手金と実費を立て替えてもらえる。
離婚すると決まったあと、本筋とは関係ないところで意外と迷う点がよくある。
法律のプロたちが単純明快な回答をもらえると素っと気が楽になるから不思議。
たとえば、義母からもらったジュエリーはどうする?なんて微妙な問題にも、
「譲渡されたものと考えて差し支えない。よって離婚したからといって返却義務はないからそのまま手元に残しておいて、いざというとき売却できる貯えとでも考えておいてはどうか」との事だった。
なるほど。
最終的な決断は自分で行うとして、途中発生する疑問にはその都度プロフェッショナルの知恵に頼る。
一人で悶々と悩みすぎないように注意して乗り切ろう。
元気に、笑顔で。
次回最終回。
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