アメリカ・ロシアの出来レース!ウクライナ侵攻は世紀の茶番劇か。

今回はロシアによるウクライナ侵攻、そして金価格への影響についてです。

人は何のために知性を磨くのか…

2022年2月26日、ロンドンで行われたロシアのウクライナへの侵攻に講義するデモ

とあるスポーツ新聞でお笑い芸人である中川家の剛さんが、「小さいころから勉強して、こういうことにならないために一生懸命知性を磨いているのではないのか?」という趣旨の疑問を呈していました。

人よりよい学校に行き知性を磨くのは、こういった戦争を防ぐためではないでしょうか。

その最高峰の頭脳がこのような蛮行を防ぐことができなかったという反省とともに、私たちの学びというものが違う方向性に行っているから、このような結果になっているのではないかという反省もあります。

誰だって人と争うのは嫌いです。

小さな家族内でのケンカ、友人、知り合いとの言い争い、誰もしたくないものです。

だから知性を磨き、争いを避けるために勉学に励むのが古からの習わし、知恵なのに、このような結果になったことを僕は残念に思います。

ロシアの2つの目的

2022年2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻に関して、プーチン大統領の目的は以下の通りになると考えます。

1. エネルギー覇権の確立
2. NATO(北大西洋条約機構)の拡大防止

いつも言うように、原因がわからなければ未来はわからない、そしてその原因が現在を形成していると考えることが肝要です。

原因を把握して現状を分析すれば、正確とまでは行かずとも未来はわかるようになります。

テクニカル分析は常に間違う

テクニカル分析の過信はご禁物

金の投資では、テクニカル分析が全盛を迎えています。

しかし、このテクニカル分析とは証拠でいえば状況証拠であり、こういう過去になっているから未来もそうなるとは限りません。

裁判で状況証拠があまり採用されないのは、そういう傾向があるからといって、罪を犯した人が必ずそうするという保証はないからです。

裁判官が人を裁くのにはそれなりの根拠が必要であり、根拠がないものは推定無罪と言っているのです。

テクニカル分析が常に間違うのはこういう理由であるということを認識している人が非常に少なく、それを自分に都合よく解釈している人があまりにも多いと言えるでしょう。

では、本題にいきましょう。

米ロのエネルギー覇権争いについて

米ロのエネルギー覇権争いについては、以下のコラムで詳しく説明しました。

今世界で何が起こっているか?米ロ・米中対立の根幹と金相場

それぞれ生産において1位がアメリカ、2位をロシアが形成しているという客観的な証拠があります。

ところが1位のアメリカは、バイデン大統領の目玉政策が環境ということもあり、議会の承認が得られずエネルギーを輸出できないという制約があります。

その間にロシアが次々とパイプラインを建設し、エネルギー覇権を虎視眈々と狙っている、これが気に食わないのがアメリカだという構図です。

アメリカが世界の覇権を握ったのは、エネルギーを保有したことにあります。

石油が発見されて以来、英米は中東を植民地とし、セブンシスターズという石油独占資本を所有、オイルショックが起こっても、かつての石油生産1位のサウジアラビアと同盟を組むことによって覇権を維持しました。

ところが今回の石油高騰場面ではサウジの力が後退し、OPEC(石油輸出国機構)プラスではロシアが主導権を握り、ロシアの不賛成に伴い石油生産の増産が困難になっている現状があるということが対立の第一の原因だと考えます。

NATOの東方不拡大問題について

ブリュッセルのNATO本部に立つNATOのシンボルマークをかたどったモニュメント

第2にはNATOの不拡大があります。

NATOの勢力図を見れば明らかですが、ソ連崩壊以降ロシアの勢力圏は縮小し、ポーランドやチェコなどが次々に西側勢力圏入りをしました。

それに対抗するのはロシア一国です。

そこに盟友と考えていたウクライナまでが離脱すれば、プーチン大統領が安全保障の懸念を示すことは自然なことです。

今回の問題の原因は、ウクライナにあると考えます。

侵攻の原因はウクライナ側にある

親ロ派地域とされる東部の工業都市ドネツク

あまりにもウクライナのロシアへの態度はひどいものでした。

ウクライナ人、特に知識層や権力層のロシアへの悪口は度が過ぎていると感じている方も多いのではないでしょうか。

そういう状況において、ロシア系の一般住民はどういう扱いを受けるかといえば、学校ではいじめが発生し、ロシア系住民は劣っているという認識が生まれるのは自然なことです。

それがジェノサイドになってもおかしいことではないと言えるでしょう。

迫害下にあるウクライナのロシア系住民が助けを求めてくれば、ロシアとして助けなければ国を維持できません。

以前に北朝鮮にアメリカ人が拉致されましたが、外交交渉によって救い出したように、国家が救済するのが暗黙のルールになります。

ロシアによるウクライナ東部の2州の保護は、ある意味正当性があると言えるでしょう。

東部2州が武装蜂起をしても、平和裏に解決するのがウクライナ政府の役目なのに、軍隊の派遣など狂っているとしか思えません。

そういう対立を煽りながら、主権の侵害を言う矛盾が本当におかしいと思います。

ロシアのジェノサイドという主張は誇張だと国際社会は言いますが、そういう状況になっていてもおかしくはないのは誰でも思うことです。

日本に必要なのはバランス外交

第二次世界大戦以来、ロシアとの間に北方領土問題を抱える日本

日本はウクライナ同様に東西陣営に接しています。

太平洋を挟んでアメリカがあり、東シナ海の向こうは中国です。

近隣である中国にもいい顔をして、安全保障を任せているアメリカにもいい顔をする、二面外交をしなければいけません。

しかし現在はあまりにもアメリカに偏向しています。

こんなことをやっていれば台湾侵攻問題などが浮上するのは必然であり、日本は第二のウクライナになってしまうのではないでしょうか。

ウクライナは自業自得

戦時下で強烈なリーダーシップを発揮し、国民の圧倒的支持を集めるウクライナのゼレンスキー大統領

ウクライナは旧ソ連邦ということもありロシアに安全保障を頼り、一方でNATOに加盟をしようとしました。

経済面で西側からも東側からも上手に利益を取りながら、どちらにも良い顔をしなければいけないのが、利益をもらっているロシアの悪口を言い西側に行く、こんなことをやればロシアが怒るのは当然です。

生まれながらこういう人生を歩んでいる人はたくさんいるでしょう。

でも、それはそれで本人が仕方ないと割り切るほかありません。

それを破壊しようとすれば摩擦が起こるのは必然であり、それを自ら起こしたウクライナは、申し訳ないですが自業自得と言わざるを得ないでしょう。

冷酷に見えるバイデンの姿勢

バイデン大統領はこのまま自由主義の防波堤として立ち上がったウクライナを見捨てるのか?

ウクライナはNATO加盟国ではないので、米軍およびNATO軍はウクライナに派遣しないとバイデン大統領は明言しています。

なんだかたわ言のようにしか聞こえません。

能力も規模もあるのに助けを求めている人を見殺しにすることは、人道上で最も許されない罪ではないでしょうか。

アメリカ大統領というものはそんなに冷酷なものなのか、という感情が先に立つと思います。

こんなことをやっていればいずれ世界から信用されなくなると思うのが当然ではないでしょうか。

冷淡を決め込む中国の思惑

ロシアの肩を持つ中国の指導者、習近平。その腹の中は?

中国が冷淡なのは、いまだに鄧小平の遺言によって動いているからです。

鄧小平はベトナムと戦争をしましたが、それはベトナムがソ連と組んで中国に侵攻しようとしたからやむを得ずです。

基本的に鄧小平は、戦争などやるお金があれば、我が国は貧乏なのだから経済に投資したほうがましという考えの人でした。

これを現在の習近平指導部は忠実に実行しており、世界が戦争をしていても自国が重視すべきは経済と割り切っているのです。

ですからロシアにも賛成しませんし、欧米ももっと戦争にかかりきってほしい、その間に我々は経済を発展させるというのが本音でしょう。

この茶番劇の落とし所はすでに決まっている?

2022年2月27日、ロンドンのロシア大使館前に掲げられたプーチンをヒトラーに模したプラカード

バイデン大統領がそこまで薄情な人間だとは思えません。

当たり前のことを当たり前のようにやる、人が困っているのであれば救いの手を差し伸べることのできる人物のはずです。

でも今回はなぜやらないのか、何かの事情があると考えるのが自然でしょう。

そう考えると、ロシアとの出来レースだと想定できます。

例えば宣戦布告というのは自分を大きく強く見せ、士気を高めるように宣言するものです。

ところが今回のバイデン大統領は、就任当初の背筋がピリッと伸びて恰好いいさまと打って変わって、正面からの映像でも背中が曲がり、言葉は口汚いことを言っていますが勢いがありません。

一方のプーチン大統領は年々体重が増し、宣戦布告の映像でも覇気というものが感じられません。

つまり士気を高めるような発言をしなければいけない指導者が、それを重々承知しているのにそれをしないということに違和感しか覚えません。

おそらくケンカしているようなフリをして、テーブルの下で握手をしているのであろうと見受けられます。

両者のパフォーマンスは完全に失敗です。

ゆえにおそらく茶番で両者でシナリオを話し合い、結末は決まっていると感じます。

多分ロシアは、必要以上にウクライナには介入しないでしょう。

ウクライナ情勢と金価格

2022年2月25日キエフ、ロシアの攻撃で損傷した住宅

金は高騰していますが、おそらくウクライナ情勢は必要以上に緊迫しません。

その証拠に買われてもすぐに売られるような展開です。

21世紀になって人を殺傷する能力がある戦車やミサイルが飛び交っている映像は、刺激的ですが同時に虚しさしか覚えられません。

人類の進歩の否定を見せられるような気分です。

こんなことをやっても誰の得にもならないと感じるのが人間の知性です。

金も守旧的、つまり時代遅れな価格の形成をしています。

今の問題はアメリカのバブル崩壊、そして不景気であり同時に進行するインフレです。

インフレというのは通貨安から派生するものですが、今回のインフレはドル高から来ており、一層問題が深刻なのです。

そしてアメリカは、安全保障でも問題を抱えています。

注目はインフレが進行しても金の価格は下がったままなのか、それとも高騰するのかです。

この記事のまとめ

今回の記事では、ロシアの侵攻の背景には米ロのエネルギーを巡る覇権争いとウクライナ側の問題があることを確認。

おそらく米ロは対立しているようなフリを見せつつ、テーブルの下で握手をしているのであろうと見受けられることから、多分ロシアは必要以上にウクライナには介入しないものと考えられる。

こうした状況を受けて、金は買われてもすぐに売られるような展開。

こういう内容の記事でした。

早くウクライナに平和が訪れることを心より願います。


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください