ホワイトハウスでは現在の物価高騰を「Putin Price Hike(プーチン・プライス・ハイク)と呼んでいます。
実際にアメリカでの物価高騰がプーチン大統領のせいなのかどうかはともかく、今回はインフレがなぜ起こるのかを説明していきます。
インフレが起こる原因
インフレは、コロナ禍発生当初にマスクが供給不足で価格が高騰したように、需給がタイトになることで起こります。
物資が足りなければその価格が上昇するのは自然なことです。
では個別商品であるマスクに対して、全体の物価が上昇するというのはどういうことなのかを考えていきましょう。
商品の需給とは、買い手側がお金を払い、供給側が商品を売ることによって成立します。
お金を払うという行為は万人共通であり、お金を払ったら商品を渡すのも共通です。
ここで各人の心理状態を見てみるとよりわかりやすくなります。
例えば消費者が値段をできるだけ安く済ませたいのは万人に共通した考えです。
一方で小売り側は、商品をできるだけ高く売りたいという希望があります。
ここで双方の意思は一致しませんが、消費者は商品を買いたいし、事業者は商売にならないので売りたいという思惑が存在します。
その双方の一致した意見が値段になるのです。
全体の物価が上昇するのはなぜか?
今の状況を考えてみましょう。
例えば消費者側は、金融緩和によってお金の価値は下がっている、そして融資の緩和によって現金はすぐに手に入る状況にあります。
金融緩和とはお金の需給緩和ですから、そのお金を後生大事に保有(預金)していてもその価値は下がるので、値段が下がらないものを買いたいという心理になります。
事業者側はお金を持っていてもその価値は下がるので、できるだけ高く商品を売りたいということになります。
商売はよいものをできるだけ安くが基本ですが、周囲の同じようなものを売っている事業者も同じことを考えているので、ほかのお店も同じような価格で売ることになります。
消費者はできるだけ安く買いたいという希望がありますが、安いものがなくなってくる。
一方の事業者はものがなくて、高くても売れる状態であれば、その価格を上げていくということがインフレの形成要因になります。
要はコロナショックによってお金をばらまき過ぎた結果、誰もが現金の価値が下がることを体感的にわかっているので、現金を保有したくないという気持ちになっているのです。
今のインフレの段階
今のインフレの段階は、原料素材を買い付ける業者側で、値段の応酬をやっているだけです。
原料素材を保有している国の業者はできるだけ高い値段で売りたいので、高い値付けをします。
しかしその値段で買えるのは中国しかおらず、世界の資源のほとんどを中国が保有しているのが実態です。
それに対して西側は、補助金やら融資で簡単に手に入れたお金なのにもかかわらず、金額の高さに躊躇しているだけ。
ただし西側の企業も間抜けではないので、中国に資源をかっさわれることを繰り返されれば、そのうちに言い値で買うようになります。
現状はインフレの第一段階、つまり購買担当者や輸入担当者が全員、モノが出れば全部買ってしまう段階になります。
ですから、日本やアメリカの企業物価が高止まりをしているのです。
今後のインフレの展開
今メディアでは「価格上昇」と騒ぎますが、消費者は大して上がってないと高をくくっています。
つまり今まで通りできるだけ安い商品を買う、しかも買いだめをしないようにして、必要な分を必要な量だけを買うという消費行動になっているのです。
ところが企業の方は高い原料素材を買わされているので、いつまでも安い値段で売ることはできません。
さらに業者は買い負けの可能性があるので、必要な量が必要な分だけ期日に入手できないリスクも嫌います。
つまり必要量を買うのではなく、多めに買うのです。
これは金融緩和によって現金が容易に入手できるので簡単にできます。
そうなるとますます需給がタイトになるという構図です。
消費者が買いだめをするという行動になったとき、インフレがピークを迎えることになります。
日本はまだ安いものを選んで買っている状況なので、ここからが本番。
最終的には南米のように、インフレから暴動が頻発するようになってくるでしょう。
このインフレを収束させるためには?
このようにインフレは循環して行くわけですが、これを収束させるのにはどうしたらよいのでしょうか?
答えは明快で、現金の価値を上昇させればいいのです。
例えばアメリカの物価は年間8.4%上昇していますが、これに対して金利は1年物国債でわずかに1.2%しかありません。
これではますます現金の価値が下がっていくので、人々の購買意欲を止めることはできません。
しかし、この金利を年間20%にすればどうなりますか。
現金を持っていれば年間20%もの金利が付くので、商品を買うよりも預貯金をした方がお得になってきます。
結果、インフレは終息することになるのです。
今後の金価格の展望
日本もアメリカも借金大国です。
赤字国債を発行しまくり、借金をするのに貸すお金がない状態になると、財政の破綻になります。
日本が1300兆円の財政赤字を抱えてもやっていけるのは、短期金利を0.1%、長期金利はマイナス金利にしているからです。
金利を20%に引き上げればインフレは収まるでしょうが、日本は利払いなどできるわけがありません。
1300兆円の2割とは260兆円であり、国家予算は100兆円、税収は80兆円です。
アメリカについても同じようなものです。
となると今後の金の価格は、財政破綻に向けて議論が進むという話になり、今の高騰は当面収まるわけがないということになります。
この記事のまとめ
今回の記事では、今のインフレの原因は中国による原料素材の買い占め。
これに伴い原料素材が不足、価格が上昇。
今は企業にしわ寄せが来ているインフレの第一段階だが、このままでは遠からず実際の商品の値段が上昇する局面へ。
最終的には、インフレから暴動が頻発する局面へと転じる。
かといって莫大な借金を抱える日米政府は、思い切った利上げにも踏み込めない。
こういう局面で、金の高騰が収まることはないだろう
こういう内容の記事でした。
コメントを残す