日米会談と貿易不均衡
注目の日米貿易交渉が本格化しています。
ここでは、会談の内容は従前と変わらないと判断し、その上でドル円相場と金相場の話を中心にしてまいります。
国連でトランプ大統領が演説し、「不公正な貿易システムを許さない」と言い放ちました。
中国やユーロ圏との貿易交渉は、一応、形になりましたが、まだまだ不満という表明にほかなりません。
アメリカ貿易赤字
日本貿易収支
この日本とアメリカの貿易不均衡を問題視するトランプ大統領を、誰が非難できるでしょうか。
明らかに、アメリカは1970年代から一方的に貿易赤字を被り、結果、借金を海外に頼っています。
つまり、アメリカ人は日本や中国への借金返済のために働き、税金を支払うという構図になっているのです。
これを歴代のアメリカ大統領は問題視してきましたが、ここまではっきり不満を表明したのは、トランプさんが初めてになります。
本当にトランプ大統領はわがままなのか!?
もし、あなたにアメリカのような友人がいて、この不公平な関係に配慮しなければ、友人関係が破棄されることになるのは、誰もがわかる話です。
しかし、日本のメディアや国会議員は、「国益が失われる」と声高に主張しています。
世間では、トランプさんが一方的に悪いような言い分を報道しますが、第三者が客観的に見れば、トランプさんの言い分がもっともで、日中欧は是正しなさいと勧告するのが当然です。
ですから、いつものトランプさんのわがままな要求という認識は間違いであり、まともな主張だという視点で見れば、この妥結の行く先は見えると思います。
日本の要望はアメリカに退けられる事になる
安倍総理は、国内世論や自動車メーカーに配慮した発言をしばしばしていますが、日本の要望が退けられるのは間違いないでしょう。
もし、日本の要望が通るようなことがあれば、裏でかなり過激な要求をされていると思ってください。
今後FTA求める米側と攻防必至か? モノに限ったTAGで合意 – FNNプライムオンライン https://www.fnn.jp/posts/00401803CX #FNN
安倍さんが憲法を改正して自衛隊の合憲化を目指す背景には、アメリカは貿易赤字を被り、安全保障までやっているのに不公平である、というのはもっともな意見があります。
普通に考えれば、アメリカの要求は全部通ると考えるのが妥当です。
あなたにこういうアメリカのような友人がいれば、関係はとっくに破綻していると考えるのが普通でしょう。
破綻する可能性があるのに、「国益を侵害する」と声高に主張する人たちを、あなたはどうお考えになりますか?
ムン大統領の国連演説と先の米朝会談の成果
韓国のムン大統領は国連演説で、北朝鮮の金委員長は本気でアメリカの言う核兵器廃棄をやろうとしていると言明しました。
そもそも、この前の米朝会談で得られた成果を考えてみればおわかりでしょう。
成果は何もなかったというのが一般の報道ですが、よく考えてください。
まず、アメリカに向けられた弾道ミサイル実験は、一切なくなりました。
かつては日本に向けて北朝鮮がミサイルを発射する度に警報が流れ、不安な気持ちになったものです。
会談の裏で何が約束されたかはわかりませんが、少なくとも北朝鮮によるミサイル攻撃がなくなった可能性が高いのに、なぜ「成果がない」と言い切る人たちが多数なのか、本当に不思議です。
では、それ以上の成果、つまり日本やアメリカにとって、北朝鮮に攻撃されるかもしれないという恐怖から解放された以上の成果があったのかと問われれば、恐らくないでしょう。
北朝鮮からすれば、トランプ大統領は中間選挙に向けてのアピールが欲しかっただけで、核兵器の廃棄を言明しておけば、アメリカの覚えはめでたいと思うのが普通です。
おそらく核兵器など廃棄するつもりはないでしょうが、それで国際政治が安定するのであれば喜んで言うでしょう。
韓国の政権というもう一つの問題
もう一つの問題は、韓国の政権です。
南北統一を望む政権であるという認識が、日本では非常に少ないのです。
選挙で南北統一を主張した人が現在の大統領なのですから、おそらく南北融和は今後も進行していくでしょう。
韓国経済には、一部の財閥が富を握り、その結果、発展が大きく阻害されるという問題があります。
最近、韓国が中国に近づく理由は、アジアでは、独裁か社会主義でしか国が大きく発展していないという事実があるからです。
例えば、アジアで最も成功した日本が、ソ連の書記長に「社会主義で最も成功した国」と言われたのはよく知られています。
中国は一党独裁の上、共産・社会主義です。
シンガポールも最初は社会主義での国家建設を目標にしましたが、後に独裁国家としてイギリス方式で発展しています。
マレーシアは露骨な人種差別で国を発展させました。
発展が期待されているベトナムも、社会主義者が議会を独占し、自由主義者は弾圧されています。
ミャンマーやパキスタンなども、どちらかと言えば、社会主義傾向です。
つまり、アジア諸国は独裁や社会主義、そして政治と宗教の分離など、欧米の常識を否定して国家が発展しているのです。
こういう状況を見れば、韓国が自由主義や資本主義を離脱し、北朝鮮と一緒になるという流れは否定できません。
今の北朝鮮は去年の北朝鮮ではない
アメリカは駐韓基地の撤退を示唆していますが、本当に韓国の社会主義化を認めるかは疑問です。
ただし、アジアの歴史を見ると、欧米の価値観では発展しないことも事実なのです。
アジアの一員としてアメリカと上手にやっていた日本を真似る国は、今後も多いと思います。
北朝鮮もアメリカのご機嫌を取りながら、利益を享受する方式になるでしょう。
ただ、日本のように、アメリカから利益を搾取していると感じられない程度というのがキモになります。
要するに、南北統一のためにそうした活動をしていると思えばいいのです。
去年のように北朝鮮を捉える必要はありません。
円安問題の背景には日米貿易交渉?
最近、円安が大幅に進行しています。
この言われなき円安は、今までの貿易交渉を見ていればわかります。
最初に貿易交渉をしたのはユーロですが、交渉した途端、ユーロ安が一気に進行しました。
そしてある程度の妥結をすると、ユーロ安が止まっています。
次が中国で、人民元安が一気に進行しました。
そして、ある程度の妥結方向が見えると、人民元安のまま、ヨコヨコ状態を続けています。
ユーロもヨコヨコ方向です。
日本は、9月24日から交渉に入っていますが、交渉に入った途端に驚くほどの円安になりました。
この円安には一見根拠がなさそうですが、今までの中国とユーロの傾向と同じになっていることが観察できます。
つまり、ある程度交渉がまとまれば円安の加速は止まり、そして、その値位置で落ち着くだろうと読めるのです。
しかし、同じ交渉がある程度終わったメキシコ、そして現在も交渉中のカナダには、こうした現象が起こっていないので、この推論の正否はわかりません。
金相場とドル円相場の関係性
ドル相場の上下動によって、金相場は上下動していると今まで解説してきましたが、ドルの価値は現在、ユーロやポンド、そして新興国通貨に対しては弱い状況です。
反対に、日本や中国などのアジア通貨に対して強くなっている傾向が見て取れます。
この場合、ドルが強いのか、弱いのか判断に苦しむことになります。
しかし、金の場合は円に対してドルが強いか弱いかを判断します。
原油の場合は、ユーロに対してドルが強いか弱いかによる判断です。
ですから現在の状況は、ユーロに対してドルは弱いので原油価格は上昇し、反対に円安なのでドル高ですから、金のドル建て価格は下落していると推察できます。
このような関係性を豆知識として知っていれば、金の価格動向の一助になると思います。
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