オパール「唯一無二!きらめく虹を持つ宝石」
オパールは古代の昔からその虹色のきらめき(=遊色効果)が愛されてきた宝石です。
10月の誕生石としてトルマリンと並び、日本においても人気が高い宝石です。
なじみの深いホワイトオパールそして漆黒の中に無数の色がきらめくブラックオパール。
地色でまったく異なる表情を見せるオパールには多くのコレクターが存在します。
失われた古代オパールの故郷スロバキア
オパールパワー沸騰のエチオピア
オパールにまつわる様々な伝説もオパールの魅力を増す要素です。
本コンテンツではオパールの価値を改めて知っていただきたいという願いを込めて
- History オパールと人との歴史
- Journey オパール原石の産地情報
- Grading オパールの鑑定基準&評価ポイント
- Regend オパール伝説的ジュエリー紹介
上記にカテゴライズしたオパールのすべてについてご紹介します。
History 人とオパールの歴史
オパールヒストリー 古代から現代まで
歴史に名を残した伝説のオパール
オパールの歴史
古代のオパールは東欧からやってきた
多くの古代ローマ時代のジュエリーにはオパールが使われています。
大学者プリニウスによって
「すべての宝石の色を持つ宝石」
としてオパールを賛美した文章が示すように古代ローマ人にとってオパールは大変貴重な宝石でした。
またオパールというネーミングにも魅力的な神話が隠されています。
オパールの語源であるサンスクリット語「upala 宝の石」とは虹の女神が石に変わったという由来を持つ、というものです。
(その後ラテン語「opalus 宝石」ギリシャ語「opallios 色の変化を見る」に取り入れられる)
当時すでに知られていたルビーやサファイア、そしてエメラルドやパールと並び類まれな宝石として人々を魅了してきました。
さて、これらのオパールはどこからやってきたのでしょう?
その答えは「スロバキア共和国」です。
舞台はカルパティア山脈(全長1500キロメートル)、スロバキアほかウクライナ、ハンガリーなどにもまたがる大山脈です。
この地にある世界遺産「スピシュ城」のあるプレショフ、実はこの場所こそ歴史上「もっとも古く」かつ「唯一の」オパールが採れる場所でした。
すでに石器時代にはオパールをコレクションしていた原始人類の痕跡があり、紀元前400年頃にはすでに採掘がはじまっていました。
当時はローマ帝国の属州だったため詳細な記憶が残されていませんが、その名残が現在のオパールというネーミングに残されています。
16世紀終わりに大規模な採掘がスタート。
一時は現在のオーストラリアと並ぶ採掘量を誇りました。
しかしオーストラリア、メキシコなどの新興国の台頭により、オパール原石市場の表舞台からは姿を消しました。
メキシコオパール激動の歴史
13世紀から栄えたアステカ文明において、美しい石オパールは王や貴族の装飾品あるいは儀式用の品々の重要な素材でした。
オパールのレインボーカラーが聖なる鳥「ケツァル ハチドリ」の羽を連想させることも珍重される要因でした。
しかしメキシコの地のオパールを愛した原住民の幸せな日々は16世紀以降新大陸発見で終止符が打たれます。
金銀鉱山同様にオパール鉱山もスペインに占領され、原住民たちの手から奪われることになってしまいました。
シカゴの自然史博物館には当時世界最高級オパールとされた「アステカ太陽神」が所蔵されています。
そして前述のスロバキアのオパール鉱山も最盛期を迎えていました。
オパールはヨーロッパ全土のレディたちの耳元や首をかざりました。
オーストラリアのオパール鉱脈発見
原住民アポリジニたちが
「地面に落ちた虹」
と呼び神聖な宝物とあがめたてまつられてきたオパール。
しかしメキシコのオパール同様に欧米列強の国々に独占されることになります。
19世紀にはいるとドイツほかヨーロッパの鉱物学者らが新世界オーストラリアの地を訪れました。
そしてスロバキアの山々でのみ採掘されてきた貴重なオパールを次々と発見します。
1889年にはロンドンの宝石市場にオーストラリア産オパールの売り込みが成功。
やがてティファニーやカルティエなどのビッグネームがジュエリー素材に採用、一躍脚光を浴びることになりました。
エチオピアでオパール発見
20世紀の終わりに新興オパールとして一躍スターダムにのし上がりながら現在原石輸入が禁じられた国がエチオピアです。
火山性オパールの特性である多孔性が顕著なことが特徴で、水につけると透明になる「ハイドロフェン効果」が見られます。
(数時間で透明になるが、また数日で元に戻る)
2006年にも新たに大鉱脈が発見されているため、エチオピアオパールがオーストラリアを追い越す日も近いかもしれません。
歴史上有名なオパール
ハレー彗星
ギネスブックに掲載された「ハレー彗星」はノーカットのブラックオパールとしては世界最大1982.5 カラットの大きさを誇ります。
1986年「ハレー彗星」がオーストラリアの空に現れた頃発見されたことが名前の由来です。
2005年当時の売却価格は 120 万豪ドルでした。
エリザベス女王のオパール
2022年逝去された英国エリザベス女王とフィリップ殿下に贈られたオパールジュエリーのセットです。
1954年オーストラリア訪問の際に贈られた、ネックレス、イヤリング、カフリンクスはアンダムーカ産最高品質オパールで作成されました。
これらのジュエリーセットは2009 年バッキンガム宮殿で展示されました。
ヴァージンレインボー
「世界で最も美しいオパール」としてオーストラリアが誇るのが「ヴァージンレインボー」です。
最長63.3ミリの短い棒状のオパールで、暗闇の中のほんの少しの光をキャッチして7色に輝く様から名づけられました。
そして貴重な生物の化石でもあります。。
ヴァージンレインボージュラ紀から白亜紀にかけて存在した「ベレムニティダ」という生物のオパール化した化石なのです。
Journey オパールの旅路(鉱山情報)
ここではオパールの主な産地についてご紹介します。
オーストラリア
100年以上の長きにわたりオパール市場を独占してきたのがオーストラリア産のオパールです。
他の火山性オパール鉱山と異なり、オーストラリアは堆積岩オパールとして区別されます。
では堆積岩を構成しオパールのもととなった物体とは?
実はそれが古代の海に繁殖した藻の死がい、いわゆる珪藻です。
そしてオーストラリアオパールが産出される場所は内陸部に広がる砂漠地帯「アウトバック」です。
実は古代のアウトバック一帯は内海が広がっていました。
気候変動により海が干上がった後、海底部分にはうずたかく積もった珪藻の死がいが残されました。
それらから溶け出した二酸化ケイ素が石化しオパールとなったと考えられています。
ホワイトオパールは産出エリアで多く見られますが、特に価値ある石としては
- ブラックオパールはニューサウスウェールズ州ライトニングリッジ
- ボルダーオパールはクィーンズランド州
このふたつは特に高額で取引されています。
メキシコ
おそらく古代から原住民に畏敬の念をもって珍重されてきたメキシコのオパール(=ファイヤーオパール)。
文字を持たない文明が多かったため記録には残されていませんが、滅ぼされたアステカ文明ではオパールの伝説が多く残されています。
スペイン征服によって原住民のオパール文化はいったんは断絶するも19世紀半ばに復興します。
ちょうどそのころオーストラリアでもオパール鉱脈が発見。
これら2大オパール産地の登場によって、事実上スロバキアのオパールが市場から撤退することとなります。
メキシコのオパールは火山性オパールのひとつ。
オレンジ~チェリーレッドの地色が特徴です。
「ファイヤーオパール」として国際市場で通用するにはオパール特有の遊色効果が要求されます。
しかし日本市場では遊色効果が認められないコモンオパールも同じくファイヤーオパールとして流通しています。
エチオピア
エチオピアでは20世紀終わりから相次いでさまざまなタイプのオパール原石が発見されてきました。
主役は透明度の高いウォーターオパールとホワイトオパールでしたが、2010年代からはステイシュ鉱山産出の高品質のブラックオパールが登場しています。
世界中の宝飾関係者を驚かせたエチオピアパールのデビューは1990年中部シェワ地区の出来事でした。
赤褐色の火山岩の岩肌を映したかのように、オレンジ~赤~ブラウンのプレシャスオパールが発見されたのです。
それからほどなくして2006年北部のウェロ 地区からはホワイトオパールの大鉱脈が出現。
その後も2013年ステイシュ鉱山にてボルダーオパールおよびブラックオパールが発見されました。
エチオピアパールは「ハイドロフェン」効果を示すオパールとしてよく知られています。
また堆積岩タイプのオーストラリア産パールよりも耐久性が高いという利点があります。
従来不可能とされていた
ファセットカット(多面体カット)
彫刻細工
など新しい可能性を模索する試みが活発化して今す。
今後今までになかった新しいオパールジュエリーが登場する日も近いことでしょう。
もっとも原石輸出がストップした現在、科学的処理を施したエチオピアオパールが多数存在することも事実です。
(石の裏面を着色したブラックオパールなど)
長く受け継がれるハイクオリティオパールを望まれるなら、専門家による鑑定を経たエチオピアパール購入が賢明な選択と言えます。
Grading オパールの評価ポイント
オパールの評価ポイント「色」「遊色効果」「透明度」
オークション会場をざわつかせた超高額オパール
そもそもオパールとはどんな宝石?
オパールは何からできている?
オパールの主成分となるのは次の二つ。
- 二酸化ケイ素(シリカ) 80~90%
- 水分 5~10%
そしてわずかな不純物(アルミニウム カルシウム 鉄など)です。
実はガラスや乾燥材のシリカゲルと成分的にはほぼ同じです。
鉱物学上はクオーツ(石英、水晶など)に属します。
またオパールは純粋な鉱物ではなく「ミネラロイド」というという準鉱物のクラスに分類されます。
その理由はオパールが鉱物の条件である結晶構造を持たないことにあります。
オパールは二酸化ケイ素と水が混在する粒子のあつまり、いわば整然と並ぶ露に濡れた極小さなガラス玉のあつまりなのです。
オパールができる仕組みとは?
オパールは二酸化ケイ素の粒子の間を水が満たす奇跡の石です。
なぜ結晶化せず結合したままの状態を保っていられるのか?
なぜ水分は蒸発することがないのか?
まだ完全に謎は解明されていません。
しかしその誕生のきっかけは2種類に分類されることがわかってきました。
それが「堆積オパール」「火山性オパール」です。
どちらも硬度は6以上7以下の間ですが、若干火山性オパールのほうがベンチマークテストの値は高いようです。
堆積オパール
オパールの誕生には
二酸化ケイ素を多く含む岩石
短期かつ集中的な降雨
が深くかかわってきます。
豪雨が岩石にしみわたると、岩石中の二酸化ケイ素が溶け出してさらに下部にある空洞部分に堆積します。
そして雨が降らない乾季が訪れると、水分が蒸発し二酸化ケイ素の堆積物が残ります。
そして上部の岩石や土壌によって圧迫されるうちに石化したものがオパールになります。
その最たる例がオーストラリアの砂漠地帯で市場に流通する宝石オパールの大半を産出しています。
オーストラリアの二酸化ケイ素を含む岩石は、古代の珪藻の化石です。
つまり珪藻土もオパールの親戚のような存在と言えます。
火山性オパール
オーストラリア以外のオパールはほぼこの火山性オパールです。
堆積した珪藻由来の二酸化ケイ素ではなく、「流紋岩(石英粗面岩)」のようなケイ素を多く含む岩石が母体となります。
オパール最大の魅力「遊色効果」
オパールが宝石と呼ばれるにふさわしい様々な色合い、そしてきらめきの秘密は
- 光の回折
- オパール内部粒子の大小
が生み出す「遊色効果」にあります。
オパールに光をあてた時、オパール内部の粒子に回折効果が起こり裏側に光が入り込みます。
さらにランダムに並んだ(オパールは結晶化していないので)粒子の間の水分は、複雑な光の反射と屈折を繰り返します。
これが遊色効果と呼ばれるオパール独特の特徴です。
1カラットのオパールに含まれる数十億もの透明な二酸化ケイ素の粒子がなしうる奇跡なのです。
オパールの種類
プレシャスオパールとコモンオパール
遊色効果の有無で
宝石品質のプレシャスオパール
宝石オパールとみなされないコモンオパール
に分けられます。
しかし後述の遊色効果を持たないファイヤーオパールのように高値で取引される石もあります。
ホワイトオパール
もっとも一般的なオパール。
ベースカラーが白~薄いグレーになります。
ブラックオパール
ベースカラーが深い緑や青、黒に近いカラーが特徴で、非常に希少価値が高く高値が付くオパールです。
オーストラリアのライトニングリッジ産ならカラット当たり1万ドル以上で取引されます。
ファイヤーオパール
主にメキシコで産出する黄色~オレンジ~赤のベースカラーを持ちます。
プレシャスオパールの証である遊色効果を持たない石も、日本国内では好まれてきました。
ボルダーオパール
クイーンズランド州の鉄鉱石鉱脈の中で薄いオパール層が見つかることがあります。
鉄鉱石の塊の中から見つかることから、「ボルダー(=岩塊)オパール」と総称されています。
母岩である鉄鋼石とオパールはともにカットされており、石の裏側にはさび色の鉄鉱石が認められます。
ウォーターオパール
透明もしくは半透明ながら遊色効果を示すオパールです。
オパールの評価ポイント
カラー
オパールの価値を決める重要なファクターがカラーです。
ごく一般的なホワイトオパールよりも、より希少価値が高いブラックオパールやファイヤーオパールが高価格で取引されます。
遊色効果
オパールの最大の特徴「遊色効果」は色あいと強さ、そしてその範囲が重要なポイントです。
まず色についてですが 1 つのメイン カラーそして二つ以上のサブカラーが求められます。
遊色効果で現れる色合いは、二酸化ケイ素粒子の大きさによって左右されます。
球が小さいほど青、大きくなるとオレンジ~赤が現れます。
さらに光の回折を引き起こす粒子が整然と格子状に並んでいると色は濃く見えます。
透明度(クラリティ)
ほかの宝石と同じようにオパールも石の 透明度や不純物(インクルージョン)によって評価されます。
しかし結晶構造を持たず種類によって外観が異なるオパールの場合、評価基準が変わります。
たとえばウオーターオパールでは透明性が求められますが、逆にブラックオパールでは黒に近い、すなわち不透明な背景が最上とされます。
オークションをざわつかせた超高額オパール
「シドニークイーン」
43.34 カラットのティアドロップ型のブラックオパールをダイヤモンドで囲んだブローチです。
2020年12月8日にクリスティーズに出品されました。
落札価格は225,000米ドル。
「炎の女王」
1918年に採掘された歴史あるオパールです。
緑がかった青のブラックオパールの中に、赤いドーム型の石が埋め込まれています。
世界に類を見ない形状からか、かつては100万ドルの値が付いたこともありました。
2020年世界的コレクター「グロリアマーニー」が出品したクリスティーズでは87,500米ドルで落札されています。
「ブラックプリンス(ハーレクインプリンス)」
1938年に採掘されたブラックプリンスは60.46カラットのブラックオパールです。
赤とオレンジ、黄色、緑が鮮明に浮かび上がり、エレクトリック ブルーの水しぶきが見えると絶賛されたことも。
2012年アメリカロサンゼルスのオークションで134,500ドルで落札されました。
オパールと間違えやすい宝石リスト
オパール独特の遊色効果はほかの宝石ではまず見られません。
オパールと見間違える宝石は基本的には見つからないようです。
ただし合成オパールは別。
古くはフランスのギルソン発明による高品質合成オパール、最近では京セラ「クレサンベールオパール’(別名クリエイテッドオパール)」があります。
どちらも外観および鉱物学的性質ともに、天然オパールとほぼ変わりがありません。
Regend オパールを買うならどのブランド?名作ジュエリーを知りたい!
ブランド紹介!オパールを買うなら「ダミアーニ Damiani」
イタリアの100年企業ダミアーニ
ダミアーニは1924年イタリアで創業したグローバルブランドです。
100年に届こうとする長い歴史の中で「ベルエポック」「マルゲリータ」などの名作を生み出してきました。
デザイン×クラフトマンシップが魅力
ジュエリー大国イタリアの中でもジュエリー生産の中心地とされるのがヴァレンツァです。
かのブルガリもヨーロッパ内最大級の工房「マニファットゥーラブルガリ」を構えたニュースも記憶に新しいところです。
多くのジュエラーが拠点を置くヴァレンツァでダミアーニは誕生。
デビュー当時から変わらず彼の地の職人たちのクラフトマンシップ、そして現代的なセンスを兼ね備えたジュエリーで多くのファンを勝ち得ました。
カラーストーンに強いイタリアンジュエリー
ダミアーニはじめイタリアンジュエリーの魅力の一つに色石使いの巧みさがあります。
ダミアーニには様々な名品ジュエリーがありますが、オパールも例外ではありません。
古代ローマでは「愛と希望」の象徴とされていたオパール。
ぜひオパールジュエリーをダミアーニコレクションで探してみてください。
ダミアーニ注目コレクションはこちら→「ミモザ」
ダミアーニの祖国イタリアでは3月8日にミモザを贈る「女性の日」があります。
黄色い小さな花が房になったミモザに男性たちは愛する女性たちに日ごろの感謝を託すのです。
そんなミモザにインスピレーションを受けた「ミモザ」は、春の訪れを告げる花にふさわしい優美なジュエリーコレクションです。
大粒のオパールやサンゴのまわりに小さなカラーストーンをちりばめたリング
房状に連なるカラーダイヤモンドのピアス
どれも豪華な中にやさしさあふれるジュエリーばかりです。
コメントを残す