米中貿易摩擦と金

今回の米中首脳電話会談の詳細

中間選挙の結果は、予測通りになったのですが、その中間選挙前にトランプ大統領と中国の習主席が電話会談をしました。

その見通しは、11月下旬に行われるG20での直接会談によって貿易摩擦が解消される見込みが高い、ということです。

今回は、その話を解説してまいりましょう。

米中間選挙を前にトランプ大統領と中国の習主席が電話会談をしたというが…

詳細はブルームバーグの記事でご確認ください。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-11-02/PHJUVD6JIJUV01

皆さんもお気づきかもしれませんが、この記事にはどの分野で解決を図るのかが全く明示されていません。

つまり電話会談をしたのは確かでしょうが、内容が全く明らかにされていないのです。

内容に関しては、当事者にしかわからないのですが、今回は米中の対立についてほかのメディアでは触れられないことを解説していくことによって、この問題の方向性を考えていきたいと思います。

アメリカ貿易赤字の現状

アメリカの貿易収支

リーマンショックのときが過去最悪の赤字なのは当然ですが、今は危機がないのに大きな赤字になっています。

トランプさんは普段から暴言が目立ちますが、この状態を見れば、言っていることは非常にまともだということがわかるのではないでしょうか。

これだけの赤字を垂れ流して何も対策を打たない為政者は、無能と見られても仕方ありません。

トランプさんは、アメリカとして真っ当な要求をしただけです。

なんでもかんでもトランプ嫌いによって、その言動を批判するのは適当ではありません。

きちんと観察してみれば、彼は真っ当なことしか言っていません。

米中貿易戦争、世界貿易戦争の背景

米中貿易戦争の背景には何があるのか!?

実はこの鉄鋼、アルミをはじめとする報復関税は、2012年くらいから世界各国が名指しで中国を批判しています。

それは、中国が計画経済であることから、鉄鋼、アルミを生産過剰にしてしまったことが原因です。

過去に中国は、さまざまな工業製品を生産過剰にして価格破壊を行ってきました。

太陽ソーラーパネル、銅、合成ゴムなど数えればきりがありませんが、このように生産過剰の商品を作り出すことによって、世界市場を席捲したのです。

レアアースの例に見る中国のやり口

中国による輸出規制で一時日本を苦しめたレアアース

具体的なやり方は、皆さんもご記憶にあるレアアースを例に使いましょう。

希土類元素 https://g.co/kgs/mggXi5

レアアースとは – Google 検索 – https://goo.gl/455wnL

レアアースとは、昨今のIT工業技術製品に多用される、名前のように非常に珍しい金属のことです。

主要な生産国は中国でした。

まず、中国はこのレアアースを生産過剰にして、価格破壊を行いました。

ところがある日、突然このレアアースを中国国内から輸出禁止にしてしまったのです。

日本はこのレアアースの世界最大の需要国でしたので、泡を喰いました。

連日、メディアで報道されていたのでご記憶の方も多いでしょう。

そこでメーカーは慌ててレアアースの確保に走り、価格が暴騰してしまいました。

現在では、中国以外からの供給に頼っていますが、中国は、まず生産過剰にして価格破壊を起こし、ほかの国のレアアース業者を廃業に追い込んだのです。

となると、中国の独占供給によって、価格決定権を支配できるという構図です。

このような憤まんやる方がない方法によって、世界の市場でさまざまな商品を席捲させてきたのが中国なのです。

鉄鋼、アルミへの報復関税は真っ当

報復関税の裏にある正当な理由とは?

鉄鋼、アルミも同じです。

現在、中国は世界1位の鉄鋼、アルミ生産国ですが、それらを過剰生産にすることによって価格破壊を起こしました。

この状態が2012年くらいから続き、ほかの国の鉄鋼、アルミ業者は青色吐息だったのです。

毎年のG20の会合では、中国に対して「鉄鋼、アルミの過剰生産を辞めよ」と要求したのですが、中国はどこ吹く風でした。

それに怒ったのがトランプさんで、中国に報復関税を行ったのです。

トランプさんは就任直後に、オバマさんの政策の柱でもあったクリーンエネルギー、その主要な商品であるソーラーパネルに真っ先に報復関税をかけています。

参考までに、オバマさんのクリーンエネルギー政策が失敗したのは、中国の太陽パネルの過剰生産と価格破壊で、アメリカのソーラーエネルギー会社が倒産したことが原因の一つです。

こう見てみると、トランプさんはまともなことしかやっておらず、メディアの非難あまり当たっていない、というのがおわかりになると思います。

鉄鋼とアルミを制する国が世界を制す

さまざまな工材に使われるアルミニウム

この米中貿易戦争の一方的な悪者は中国であって、その中国の過剰生産問題でアメリカの鉄鋼、アルミメーカーが今後、瀕死の状況に追い込まれることによって、トランプさんが日本の歴史風に言えば、一揆を起こした、という表現が正しいと思います。

トランプさんでなければ、この過剰生産問題を解決することができなかったでしょう。

どこの国の代表も中国に対しては不快感を持っていましたが、言い過ぎると内政干渉になるので、マイルドなモノ言いしかできませんでした。

「鉄鋼、アルミは産業のコメ」と言われるくらい重要な工業製品です。

工場や住宅の建設においては、必ず鉄鋼やアルミが使われ、自動車、輸送機器にも使われます。

私たちが、日常便利な生活を送るためのインフラ、社会的基盤はほとんど鉄鋼、アルミによってもたらされているのです。

その鉄鋼、アルミが、中国の生産が独占状態になり、価格決定権を握られたら、まさしくアジアの真ん中にある中国が世界の中心になる、という現実が待っています。

だから、トランプさんは、この貿易戦争は「安全保障の問題」と言い切るのです。

メディアの無知蒙昧さ加減

無知蒙昧なメディア報道にトランプ大統領も怒り心頭

トランプさんが、「貿易戦争は安全保障の問題」と言い切る理由は、大統領権限で、なんでもできるようになるから、安全保障の問題であるとメディアは解説しています。

この意味は、アメリカ大統領の権限には一般的には通商、安全保障、外交に関しては大統領の一存にて、この問題を解決できるという法規定があり、そのほかの問題は議会を通さなければいけない、ということにあります。

ほとんどのメディアの言い分は、トランプさんがやりたい放題にやるために無理くり「安全保障の問題だ」と言っていると解説していますが、上記の説明を見て、「まさしく安全保障の問題だ」と考えた方は多いでしょう。

レアアースと違い、鉄鋼、アルミの問題は、アメリカ人に限らず、全世界の人にとって重要な問題なのです。

その私たちの生活に密着した鉄鋼、アルミの支配権を握れば、世界の問題であり、安全保障の問題でもあろうと思います。

要は、ほとんどのメディアはこの貿易戦争の背景を深く考えもせずに、感情だけで報道をしているのです。

個人的な感想は、間違っているのはメディアであって、この問題に関して正しいのはトランプさんです。

なぜ、このような過剰生産を中国は行うのか

2012年に中国全土で勃発した反日デモ。写真は広東省恵州市

この辺は、ざっくりと解説していきます。

中国は鄧小平の改革開放路線によって、大きな経済改革、成功を収めたことに異論をはさむ人はほとんどいないでしょう。

しかし、もともと共産国だったので、主要な商品、製品はほとんど国営なのです。

つまり、国営企業は計画経済によって生産され、過剰になったとしても計画通りに生産を進めるのです。

例えば、中国で反日デモがよく開催されますが、あのデモは高品質の日本商品が国営企業の生産するものとかぶり、中国製品が全く売れなくなるのが背景になります。

メディアは中国の反日教育が原因としていますが、全く売れなくなった商品の中国製品労働者からすれば、日本憎し、の感情が生まれても不思議ではありません。

そのデモに参加するほとんどの人が国営企業の従業員なのです。

そして、中国政府は現在も国営企業の整理、統廃合に国際社会からの要求によって動いていますので、その従業員のクビ筋が寒くなると感じるのは当然です。

要はメディアが全く根幹を解説せずに、楽なほう、そして皆さんが納得しやすい方向に意見を流していっているのです。

反日デモの多さは、結局、現状の生活ができなくなることに対しての抗議なのです。

反日教育というようなカビの生えた話ではなく、現状から今後が不安だからデモを起こすのです。

現状の中国

中国ほか、フィリピンやベトナムなどの東南アジア諸国が領有権を主張する南シナ海の主要諸島のひとつである南沙(スプラトリー)諸島の航空写真

中国経済は、メディアでも報道されているように、今後、相当な深刻な経済不振になっていくでしょう。

その証拠に、尖閣や南沙に中国の海軍が頻繁に接近することが起こるでしょう。

尖閣や南沙の問題が起こったのは2012年くらいからです。

上記のようにレアアースの問題もこのころです。

今回も鉄鋼、アルミの問題が起こり、尖閣、南沙に頻繁に接近しております。

事態は、2012年と同じような状況です。

その結果を受けて、2015年にチャイナ・ショックが起こったのです。

その結果、日本では2016年にマイナス金利が導入されたのは記憶に新しいと思います。

そもそも尖閣や南沙に軍事行動を起こすのか、の問題は、あの海域を押さえないと中国経済がマヒするからです。

国際裁判所の仲介も受け入れないのは、それだけ状況は切迫しているからです。

この辺は次項で解説していきます。

今後の展開

今後G20でも対中要求が高まる!?

鉄鋼、アルミの過剰生産を辞めろという要求が、おそらく今度のG20では大幅に協議をされると思います。

中国としては、国営企業の従業員が生活苦を理由にデモなどを起こされるのが最大の関心事であり、それ以外はない、と思います。

そして、レアアースやソーラーパネルのように過剰生産によって世界の市場を席捲するようなことは、今後できなくなるようにするのが今回のG20での直接会談の目的になると思います。

中国は、世界第2位の経済大国であり、その経済が今後、2015年のようなチャイナショックに見舞われた場合、金の価格はどうなるか?

言わないでも賢明なみなさんはお分かりになると思います。


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