環境問題と投資、そして金

フランスの環境意識とデモ

近年、フランスでのパリ協定に代表されるように、環境問題が取り沙汰されています。

今回はヨーロッパにおける環境問題の歴史、なぜアメリカは環境協定から離脱したがるのかを、クジラの問題なども含めて取り上げます。

もはや暴動に発展した感のある燃料税の増税に端を発する反マクロンデモ

ヨーロッパと言えば、昨今では、フランスのマクロン大統領の環境問題への取り組みが世界的に有名です。

フランスがパリ協定の主役であることが理由の一つですが、そもそも歴史的に環境問題に神経質な国であることも理由です。

そのフランスでは、環境汚染からの燃料税の引き上げによって、各地でデモが発生しています。

原因は政府側とデモをする側、双方で異なります。

政府は環境問題の提案から増税を決定しましたが、デモ側は単純に生活ができないことが理由です。

メディアは、マクロン大統領の政策は十分に正当な理由があると言っていますが、国の治世の基本は庶民が生活できること、これが第一義ということが分かっていないマクロン大統領がおかしいと言えます。

国民が豊かな生活をしていてこそ増税があり得るのであって、食えてないのに「環境問題のために増税?おかしなことを言うな!」となるのが当然です。

ですから今回のデモは、国民側に圧倒的に正当性があります。

環境破壊は産業革命から始まった

フランスの農村の風景。よく目にするような写真だが、実は…

フランスが環境問題にナイーブなのは、過去に環境破壊をやり尽くしたからです。

イギリスやドイツも同様と言えます。

ヨーロッパの風景を映した写真や映像にきれいな森林がよくありますが、実はこれらのほとんどがフェイクです。

皆さんは、産業革命がイギリスで起こったのはご存知でしょう。

その後、フランスやドイツにも拡大していきました。

産業革命は、蒸気機関の発明によってなしえたことはご存知と思います。

では、蒸気機関のエネルギー源は何でしょうか?

水を熱し、その蒸気を動力に機械を動かすので、水を温めるものがエネルギーになります。

ヨーロッパは環境破壊大国だった⁈

石炭の普及前に蒸気機関の燃料として用いられた木炭

蒸気機関のエネルギー源として、石炭が普及するまでに使われたのは木炭でした。

そこら中の木々を切り倒し、大規模な森林破壊を行ったのです。

産業革命以前はイギリス、ドイツ、フランスも国土の70%が森林地帯だったのですが、産業革命後はそれぞれ15%、30%、20%台まで落ち込みました。

目先の利益のためにあらゆる木々を切り倒し、自分たちの環境を破壊し続けたのです。

その結果、ヨーロッパ人は環境は壊すものではなく守る、そして生態系を壊さないように努力をするべきだとかたくなに信じています。

クジラ問題も同様です。

ヨーロッパ人はクジラを食べないので、捕鯨禁止を執拗に言ってくるのは、産業革命によって環境破壊の限りをし尽くしたからです。

そして現在、自分たちは植林をしています。

ですから、ヨーロッパの森林風景は、ほとんどが「フェイク」になるのです。

アメリカの環境意識の背景は?

日本の花粉症も元を正せば産業革命のなごり

アメリカは前回の京都議定書、今回のパリ協定も破棄ないしは批准しないということを行っています。

理由は簡単です。

壊滅的な環境破壊を行っていないアメリカ人とやり尽くしてきたヨーロッパ人との間には、環境に対する意識に雲泥の差があるのです。

日本の場合、明治維新が産業革命に遅れること100年後に起こっており、エネルギー源が木炭から石炭に移行する時期だったので、それほど多くの森林破壊は起こっていません。

ただし今、日本の風土病でもある花粉症は、明治維新直後に起こった大量の森林伐採への反省から、スギの木を植えたからであることは言うまでもありません。

マツタケが日本でほぼ取れなくなったのは、マツタケに寄生するアカマツをほとんど切り倒したからです。

今後、秋の風物詩であるマツタケが大量に出回ることはないでしょう。

代わりに北朝鮮や中国産のマツタケが出回っていますが、これも近い将来、森林破壊によってなくなるはずです。

つまりヨーロッパ人にとって、環境問題は自分たちの生命を脅かす存在であり、真剣に向き合っていることがマクロン大統領の失政の本当のところになります。

環境問題と投資

環境にやさしい自動販売機。日本は一見エコ先進国のように見受けられるが…

実は投資の世界でも、環境問題が蔓延してきています。

日本は、石油や天然ガスなどの使用量から、すでに「環境テロリスト」と言われるほどになっています。

1970年代のオイルショックへの反省から、日本が省エネでは世界一のレベルにあることは確かです。

単位当たりのエネルギー消費量は断トツで世界一のレベルにあります。

節電の技術はあるけれど、消費抑制の努力を全く行っていないというのが現状の世界のコンセンサスです。

日本のメディアは、日本の省エネルギー技術には注目していますが、国民のエネルギーのむだ遣いに関しては一切報道しません。

日本は環境テロリスト!?

北海道のとある住宅。断熱性能のほどは?

日本で一番問題になるのは、住宅の断熱性です。

欧米ならば今は法律で断熱性の規制が行われており、一冬にだいたいドラム缶5本以内に済むような断熱性の優れた住宅に住むことが義務づけられています。

しかし、日本の寒い地方では、平気で20本以上の灯油を消費しているのです。

国交省では、一酸化炭素中毒を防ぐためにあえて換気性のよい住宅を作ることを推奨していますが、これは世界の趨勢に反します。

お隣の中国でも、2020年までにドラム缶5本の消費量にするように法律を改正していますが、日本は検討しているのは10本までにしないさいという法律です。

日本は案外、環境先進国と思いがちですが、実は環境テロリストのレッテルを張られる寸前までなのです。

「そんなに遅れているの!?」と驚かれる方は多いと思いますが、これが事実になります。

環境問題を踏まえたESG投資

ESGとは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の略

今、流行りのESG投資をご存知でしょうか。

簡単に言えば、環境問題に無関心な企業には投資をしないというのが世界の趨勢で、これは5年以内にトレンドになるでしょう。

日本の企業がいくら優秀であっても、このままエネルギー消費量世界一の状態が続けば、投資が促進されないことになります。

日本自体が環境テロリストなのですから、海外の投資家が日本企業や日本の債券に投資しないという趨勢になってくるからです。

すでに一部では、日本のエネルギー消費量に対して疑問を持つ投資家がおり、これは日本政府や我々が取り組む喫緊の課題と言えるでしょう。

環境問題と金

エコテロリズムには2種類の異なる意味がある。一つは狂信的な反捕鯨団体グリーンピースのように環境に害を与えると見なされる行為を妨げる目的で行う破壊活動。今一つは政治的な環境破壊

このような状態では、日本の行く末に悲観的になり、日本円を持つよりも金を持ったほうがよい、ないしはリスクバランスの問題から国内でも金を持つ投資家が増えることでしょう。

現在でも金価格は上昇していますが、日本が信用ができないというより、ドルを信用しない国が第三世界、中国、インド、ロシアなどで増えていることが要因です。

しかし、この環境問題への関心の高まりは世界的な問題であり、日本がこのままのことを続ければ、おそらく環境テロリスト認定になる日は近いでしょう。

あなたができることを一歩一歩やっていくことが、私たちの地球を守る第一歩になるのではないでしょうか。


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