そもそも円安と円高とは?
前回は、欧米人は自国通貨が弱くなったときに金投資を行うことを検証しました。
では、私たち日本人も円安になれば金を買えばよいのか、という疑問がわくと思います。今回は、その解説をしていきます。
学校で学習したと思いますが、円安とは円の価値が100円から110円になるように数字が増えていくこと、一方、円高とは100円が90円になるように数字が減っていくことです。
この概念を会得するのにはそれなりの時間がかかったと思いますが、今回は、皆さんが始めに感じたように数字が増えていくことを円高、数字が減っていくことを円安という感覚に戻してほしいと思います。
なぜなら、数字が増えていくことが、円の価値が上昇することになるわけですから、これはそもそも円高のわけです。
でも現実には円安と言い、逆もまた同じです。
数字通りに円高と円安の価値を捉えてみる
よく巷間では、日本政府に借金が多すぎて、そのうち潰れるだろうという妄言が飛び交っていますが、この体でいくと円は円安になると言います。
一般で言われている円安とは、円の数字が増価することです。
潰れる国の通貨の価値が増えていくとは摩訶不思議ではありませんか。
そうです、この認識は間違いで、潰れる国の通貨は価値が減るのですから、日本政府が倒産やデフォルトを起こす場合には、一般に言われる円高になるのです。
ここで言う円高とは、数字の価値が減っていくこと、すなわち100円が90円や50円になることです。
潰れるのですから価値がなくなる、つまり数字が限りなくゼロに近づいていきます。
日本が財政破綻したら金の価値が上昇し、円安になるというのは「真っ赤なウソ」であって、潰れる国の通貨価値が上昇するわけがありません。
万が一、財政破綻するのであれば、円の価値は数字が減価する、すなわち円高になります。
一般の定義では数字が増価することを円安、減価することを円高と言いますが、今回に限っては、この一般常識をいったん忘れないと理解できません。
欧米人が金を買うのはどんな時?
欧米では、自国の通貨が下がってくるとヘッジとして金を買うのが通常です。
仮想通貨、ビットコインも1年前まではそれが当然でしたが、現在では不透明性やハードフォークの乱立、盗難などが相次ぎ、全く信用性がなくなってしまいました。
もちろん、仮想通貨には金のオルタナティブ、代替品としての需要がありましたが、簡単に盗難されるとなった今、誰が万が一の資産にするでしょうか?
そもそも、金は国の通貨やドルに万が一のことがあったときに有用なものですから、簡単に盗難されたり、ハードフォークによって同じ仮想通貨でも全く価値が違うものになってしまうものを誰も信用しません。
つまり仮想通貨など早晩、過去の遺物になるということです。
日本円と金の価格
話が逸れましたが、日本円は国家の危機になると一般的には円高と言われる現象、つまり価格が減価します。
欧米人の感覚、つまり彼らは自国の通貨、ドルやユーロが下がったときに金を買いますが、日本人は円安になると金を買おうとします。
円安とは価格が増価することですから、日本政府は安泰だ、とマーケットが評価しているときに日本人は金を買おうとするのです。
つまり、全く理にかなっていない投資行動を日本人は取っていることになります。
実際の検証
実際に1月末など、円の実効レート(青い線)が下に向かう(円高)ときに金価格は上昇しています。
これをドルで当てはめると、青い線はドル安になっているから金の価格は上昇することになります。
日本では円高になると金を売ろうとする人が多数いますが、それは上記のグラフを見ると大きな間違いであることはおわかりになるでしょう。
金は、円高のときに売るものではなく買うものなのだという事実に気づいていない人が多数なのです。
チャートを反転して見ると…
わかりやすくするために、ドルやユーロでもやったように、円の軸を反転させてみましょう。
このように円安になっている(青い線が↓に行っている)とき、金の価格は定例していますが、円高になると(青い線が↑に行っている)金の価格は上昇しています。
つまり日本では、円安傾向にあるときに金を買おうとする人が大勢いますが、大きな間違いです。
円高に反転すると一時的に金の価格は下がりますが、そのときは買い増しや新規買いのチャンスになるのです。
その後、円建て金価格は反転し急騰していきます。
要するに、国家の信用が薄らいでいるときには金の価格は上昇する、という普遍の真理は欧米だけではなく、日本にも通用するのです。
ぜひ、この機会に円安傾向のときに金を買うという愚行を繰り返さないことを覚えておいてください。
円高時のポイントは、必ず一時的に金価格が急落しますが、その急落が買い場であり、その後は67%の確率で値段を戻していくことを覚えておけばいいと思います。
実際のデータ
上記のグラフは、赤い棒グラフがETFの買い付け残量、折れ線がドル建て金価格になります。
赤い線はアジア諸国のETFの買い付け残量ですが、アジア人の投資下手が鮮明です。
すっ高値の近辺で異常に買い付けが増え、ドン安値で売却が増えています。
最近これだけ金価格が上昇しているのに、金の買い付けは欧米とは異なり全く増えていません。
この理由は明白で、日本や韓国、中国でも、金の価格値上がり益を見込んでいますので、価格が上昇するものは値段が上がりやすいと思い込んでいるのです。
つまり、円安、元安、ウォン安のときに金を購入する傾向があります。
欧米人が、あくまでも通貨がダメになったときの保険、ヘッジとして金を買うのと対照的です。
このことは上記で否定しましたが、円安ではなく円高のときに金を買うのだ、ということです。
結論として言えるのは、国家がダメになるとき、信用が揺らいでいるときに金は買うものであって、利益のために金は買うものではありません。
これは何度も言っていることですが。。。
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