円高とドル建て金の関係

長期的なドル建て・円建て金価格

金の価格は円高・円安に大きく影響される、このことは金をトレードし始めると否応なく直面する問題です。

今回は、この問題を考えていきます。

参照元:World Gold Council

上記は、1969年から2019年2月末までのドル建て、円建て金価格になります。

オレンジの線は円建て金価格(左軸)、青い線はドル建て金価格(右軸)です。

日本円の金価格の値が大きいように見えますが、これはトロイオンス建ての価格になり、31.1035(トロイオンスからグラム換算)を除すれば日本のグラム単位になります。

このグラフを見て皆さんは、ドル建てと円建てが全く値段が違うことはないよねと気づくでしょう。

円建てが上昇していればドル建ても上昇しているし、ドル建てが上昇すれば円建ても上昇しているということです。

金トレードを学ぶ時に最初に学ぶこと

基準がなければ金のトレードができませんので、ほとんどの人は、ドル建ての金価格を日本円に換算することを最初に学びます。

これによって、現状の日本円の金価格相場がニューヨークやロンドンの相場に対して割安か、割高かを判断します。

その計算式は以下の通りです。

ドル建て金価格 ÷ 31.1035(トロイオンスをグラム換算)× ドル円レート(通貨単位をドルから円に変換)

この式は、あらゆる金トレードの基本中のキホンですので、覚えておいたほうが良いでしょう。

金密輸事件の真相

消費増税後には金密輸が活発化する可能性も

少し話しが逸れますが、理論上、金の価格はどの国に行っても同じになります。

韓国、中国、香港からの金の密輸が問題となりましたが、その背景はどこで買っても金が同じ価格である点にあります。

ただし、消費税がある日本で金を売却すると、消費税分の8%が還付されるのです。

つまり韓国、中国、香港で買って日本で売却をすると、8%自動的に儲かるという話です。

400万円以上する金の延べ棒で自動的に32万円の売却益が出るのであれば、皆やるでしょう、違法でなければ…。

違法だからやらないだけの話です。

それを捕まってもやる人がいた、という話です。

その最初の学習からの誤解

ドル建て・円建て金レートに関する誤解を解いて

上記で金の換算式をお教えしましたが、この計算式を覚えて毎日計算していると、あることに気づきます。

ドル円のレートが1円動くたびに、現状ですとグラム当たり20円程度の上下動になると思いますが、ドル建ての金価格が1ドル上下する度に円建て金価格はたったの5〜6円しか動かないのです。

金の価格はドル円レートに大きく左右されると勝手に勘違いし、金の価格を予測するのには、ドル円レートをよく見ておかなければ予測ができないという勝手な解釈をつける、しかも最悪なことに何の根拠もないのにそう思い込むという悪弊が日本の金のトレード業界にあります。

冒頭に出したグラフを見てください。

ドル建て金価格に単純にドル円レートを掛け合わせたグラフは、全くの相似ではありませんが、非常に似た形で推移しています。

実際の円建ての金価格は、長い目で見ればドル建て金価格が大きな上昇トレンドにあるときは最終的には円建て金も上昇し、ドル建て金価格が下落するときは最終的には円建て金価格も下がるのです。

日本人金トレーダーの誤解まとめ

日本の金トレーダーの過半は、円高傾向の時は円建て金価格が下がると勝手に思い込んでおり、円高のトレンドにドル円マーケットがトレンドを形成すると、金を売る傾向にあります。

逆に円安方向にある時は、買う傾向にあるのです。

1. 長期的には、ドル建て金価格が上昇すれば、遅れて円建て金価格も上昇する傾向にあり、逆の場合も一緒である

2. ところが日本の金トレーダーの過半は、円高になると円建て金価格も短期的に下がると思い込んでおり、その結果、先物売りや新規売りを敢行するケースが非常に多い

上記で説明したポイントをまとめると、以上の2点になります。

ここからわかるトレードアイディア

発送をチェンジしてチャンスをつかめ!

このコラムをご覧になっている方は、ほとんどが現物の取引を行っているのですから、長期的な視野に立たれていると思います。

本記事の執筆現在2019年3月25日で、久しぶりの円高局面になり、実際に円建て金価格は大きく下がっています。

一方でドル建ての金価格は、円高が進行しているのにもかかわらず高い状態です。

こういう時、日本のほとんどの市場参加者は金を新規売りするのですが、それは大きな間違いだということです。

円高のみで円建て金価格が下がっている場合は、逆に新規に金を買う場面であり、このような去年の10月にドル建て金価格が底を打って反転している場合、円高はこれからもドル建て金価格の上昇が見込めるのであれば、絶好の買いチャンスになる可能性が高いということです。

反対の場合も同じで、ドル建て金価格が下がっているのに、円安によって日本円建て金価格が下がっているのであれば、それは絶好の売却のチャンスになります。

現状のように円高によってドル建て金価格が上がっているのにもかかわらず、円建てが下がっている場合は、買うチャンスの出現だと思えばいいのです。

本当に金の売買がうまくなりたいのなら…

円高が進行した日に店頭に金を買いに行くことをお勧め

こういったマーケットの売買、中古品の売買でも鉄則ですが、安く買って高く売らないと儲かるわけがありません。

ところがマーケットの初心者や金の売買の初心者は、必ずと言っていいほど高くなっている日に金を買い、安くなっている日に売ります。

この理由は単純明快で、周囲の人は高い日に買いたがり、安い日に売りたがるからです。

あなたが本当に金の売買がうまくなりたいのであれば、こういう円高が進行した日に金を買いに行くことをお勧めします。


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