米中貿易交渉の期限
中国との貿易交渉の難航から、トランプ大統領がツイッターで「5月10日までに交渉がまとまらない場合、制裁関税を引き上げる」と言明しました。
今回は、その影響について解説します。
本来ならば、この交渉は3月1日までに合意する方向で米中双方が合意していました。
しかし、3月1日までにまとまらなくなったため、アメリカは60日間の延長、中国は90日間の延長を主張しました。
それぞれ5月1日、6月1日までということになります。
アメリカ側からすれば、交渉の主導権を主張するために5月1日までに妥結したい意思があったのでしょうが、中国側は6月1日を期限に交渉をしているというのが真相でしょう。
すなわち、この対立は最悪6月1日まで波乱が起こる可能性があることを念頭に置かなければなりません。
あくまでも推測の話ですが、5月10日までに妥結しなければ中国に制裁関税を課すというのは、トランプ大統領のいつもの交渉術と見てもよいでしょう。
まず相手を脅し、その結果を踏まえて有利な交渉を行うということです。
裏を返せば、トランプ大統領も6月1日を妥結期限と見て交渉していることになるでしょう。
金や為替に甚大な影響を与える貿易問題
4月15日に中国の貿易収支が発表されました。
その結果は以下の通りです。
上記のグラフのように、中国の貿易収支バランスは、2月と比べると3月に劇的に改善しました。
その結果、どのようなことが起こったかを以下に示します。
上記2つのグラフは、それぞれドルと人民元の実行為替レートになります。
ドルは4月12日、人民元は4月10日に、それまで下降していた実行為替レートが底を打って上昇を示しています。
これは、中国の貿易収支が劇的に改善されたことで、貿易がさらに活発になる見込みから米中双方の実行為替レートが大きく上昇した結果になります。
上記の実行為替レートは4月29日までのものになり、本日の数字は書き記されていませんので何とも言えませんが、中国の貿易収支が改善されたことから上昇したことにも見られるように、おそらく貿易が活発になったであろうから実行為替レートが上昇していると考えればよいと思います。
さらに上記はアメリカの貿易収支になります。
この発表は4月17日になり、アメリカの貿易赤字も減少していることが追い打ちをかけたのでしょう。
この結果を受けて金価格は?
この結果を受けて、金の価格はどうなっているのかを検証してみます。
上記はドル建て金価格の4月1日~です。
4月の中旬は中国・アメリカ双方の貿易収支を受けて低迷しています。
ところが、アメリカ側の交渉期限である5月1日を意識してトランプ大統領がさまざまな意見をツイッターで表明するたびに、金の価格は上昇してきています。
上記の実行為替レートは4月29日までしか記載されていませんが、おそらく米中ともに大きく下落しているでしょう。
報復関税など行えば、中国・アメリカ双方の貿易金額が下落することになるからです。
実行為替レートとは商品、財、サービスを含めた交易指数でもあり、すなわち貿易になりますが、このレートが下落するということは、ドルや人民元が下落するということになります。
ドル安、人民元安なのであれば、円高になる、そして金を含めた商品価格、パラジウム、原油なども上昇するということを意味します。
金価格は貿易に大きな影響がある⁈
以前、「日米ともに貿易量はGDPに対して10〜15%しかないから米中や日米の貿易摩擦は金融マーケットに大きな影響がない」という内容を書いたと思いますが、それは上記の説明からもわかるように明らかな間違いでした。
アメリカが世界各国と貿易交渉を行い、その結果、摩擦が起こり貿易量が減る見込みがあるとすれば、それは金の買いにとって追い風になることになります。
今回の中国とトランプ大統領の交渉は、その期限に端を発したケースです。
おそらく6月1日までずれ込むでしょう。
日本も現在、貿易に関してアメリカと交渉中ですので、この交渉経緯は為替相場や金相場、ひいてはそのほかの商品相場に大きな影響を与えることになります。
連休明けはいつものように円高、株安のパターンですが、金もいつものように急騰することになりそうです。
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