最初に結論
トランプ大統領はオバマ前大統領を毛嫌いしている、というような報道が目立ちます。
そのことに疑問を持たないと、チコちゃんに「ぼーっと生きているんじゃないよ!」と叱られそうですね。
今回は、なぜトランプ大統領がオバマ前大統領を嫌うのか、事実を重ねていきたいと思います。
事実を重ねていった場合に得られる推論を最初に書いておきます。
なぜなら、今から説明する状況を考えた場合、トランプ大統領でなくてもオバマ前大統領のことを嫌うと思うからです。
オバマ前大統領が嫌いというような直接的な表現を使ったことはトランプ大統領にはありませんが、以下の状況を考えれば、少なくとも好印象を持たないだろうと思います。
政権引き継ぎ時の会談
2016年11月にトランプ大統領が次期新大統領に決定した際、引継ぎのために当時のオバマ大統領と会談しました。
これは今回に限った話ではなく、ブッシュジュニアからオバマ大統領への移行時にも行われています。
このオバマ・トランプ会談は30分間を予定して行われましたが、実際には予定時間30分を越えて1時間以上にわたり二人で話しました。
つまり就任当初、トランプ大統領はそれほどオバマ前大統領を嫌ってはいなかったのだと言えるでしょう。
会談内容は、トランプサイドからしか漏れてこないのですが、伝えられていることを書き出していきます。
前大統領から託された重大なこと
まず、「前政権から引き継ぐものは相当な重大な問題である」と当時のオバマ大統領から言われているとのことです。
オバマがブッシュジュニアから引き継いだことは、言わずものがなリーマンショックの後始末です。
経済の再生はまだ本物ではないということになります。
これを回復させるのは容易なことではないと…。
9.11のテロ攻撃によってアメリカはイランやアフガニスタン、シリアに出兵し、オバマ前大統領はその撤退時期を懸命に考えて、ノーベル平和賞を受賞しました。
会談時にオバマ大統領は、「この2つがやり残したことだ」とトランプ大統領に伝えています。
トランプ激怒の理由
経済の再生にはある程度目途が立ったと言うことができますが、このシリアとアフガニスタンへの関与には、トランプ大統領もオバマ前大統領の予言通りに苦労していることがうかがえます。
経済の再生の礎を築いたことに関して、世界中の学者がオバマ前大統領の成果であるということに「異論の余地はない」と言うと思いますが、安全保障、つまりイラン、アフガン、シリアに関しては「結局、混乱させただけ」と9割近くが言うでしょう。
なぜなら、やっていたことが無茶苦茶だったからです。
ただ、トランプ大統領は何の準備もなく大統領になったのですから、予備知識もなくこの就任前の会談に臨みました。
アメリカが安全保障において何をやっていたのか全く知らないで対応したので、「親切にいろいろ教えてくれる。ありがとう」と思っていたのは推論できます。
オバマが後任のトランプにアドバイスしたことは、主にブッシュジュニアからも引き継いだこの2つのテーマが本当に難しいということです。
経済はオバマ前大統領がある程度片づけましたが、安全保障に関しては全く何もやっていないということに気づいて、トランプ大統領は激怒しているのだと思います。
トランプ一家の問題
トランプ大統領は、顧問として娘のイバンカとその婿であるクシュナーをホワイトハウスに招き入れました。
そして彼らのことを側近連中に「あいつら民主党員だ」と吹聴しています。
側近からすればはた迷惑な話であり、「家族間の内輪もめを私たちに持ってくるな」と思うのは必然です。
トランプ大統領が就任直後にシリア内戦に介入し、その年の春にシリア空爆を行ったのは、イバンカがホワイトハウス大統領執務室でシリアが禁止されている毒ガスによって赤ん坊が殺されているのを見せたことによって決断したと一般的に言われていることから、イバンカの功績とされています。
ここで、オバマ前大統領の裏切りが一つ発覚したのです。
発覚したオバマの裏切り
シリア国内で毒ガスの使用を禁止したのは、オバマ前大統領の功績です。
国連を通じてシリア政府に毒ガスをすべて廃棄させました。
しかし、シリア内戦で使われないはずだった毒ガスが使われたのです。
では、なぜ使われたのか、実は毒性が弱いという理由で塩素ガスの廃棄をシリア政府に求めませんでした。
実際はシリア国内で使われる毒ガスはほとんどが塩素ガスでした。
誰でも思いますよね、塩素ガスもシリア政府から回収させたほうがいいに決まっているのに、事実を知りながら、オバマ前大統領は回収を求めなかったのです。
回収されたのはサリンやマスタードガスなど有名な毒ガスですが、塩素ガスはすぐに作れるという理由で回収しませんでした。
塩素ガスで死んだ赤ん坊を見て、トランプ大統領が激怒したのは言うまでもありません。
トランプは人の死に耐えられない性格
トランプ大統領は、実は人が死ぬことには耐えられない性格の持ち主と言われます。
北朝鮮の金正恩委員長を「チビのロケットマン」と揶揄したことで戦争の可能性が出てきたことがありましたが、人の死に耐性がありませんので、戦争には拒否反応を示します。
一般的に言われるように、手段として相手を脅し、交渉を有利に進めるという手段を好みますが、実際は人が死ぬことに耐えられないそうです。
そういう人に戦争を始めるという決断はできるわけもなく、相手国と揉めに揉めたとしても最終的には解決することが最近わかってきました。
つまり、「トランプ大統領は戦争を始める勇気などはない」というのが元側近の見方になります。
トランプが人の死に耐えられない証拠と理由
その証拠に、就任直後にシリア内戦に参戦して大失敗に終わった後、最初の議会演説に遺族を招き、戦死者と遺族を最大限に持ち上げています。
ユーチューブで見ても、書物で読んでも泣けるシーンです。
トランプ大統領は、自分の命令によって人が死ぬことが耐えられない性格なのです。
カジノ経営に失敗する寸前にヘリコプター事故によって共同経営者を失っていますが、そのトラウマと見るべきでしょう。
ただ、その1年後にカジノが完全に破綻すると、その共同経営者に全責任を押し付けたのは彼らしいと言えば彼らしいですが…。
実はトランプは博愛主義者
トランプ大統領が攻撃的になった唯一のきっかけは、処分すべき毒ガスを処分しなかったことによって起こった死だったからで、オバマ前大統領があんなアホな決断をしなければ、この赤ん坊は死ななかったのにという想いがある人なのです。
おそらくイバンカが死んだ赤ん坊の写真を見せなくても、攻撃を決断したでしょう。
平和、博愛というとオバマ前大統領の代名詞のように感じますが、トランプ大統領にもそういった側面があります。
トランプ大統領には、自分の指示によって人を死なせたくないという矜持があることは確実です。
その一方で、オバマは何をデタラメなことをやったんだ、という想いがあることも確実です。
イバンカとクシュナーもオバマタイプの博愛主義者ですから、余計にトランプ大統領をいら立たせていると思います。
党に片寄る大統領としての立ち位置
以前も記しましたが、アメリカ大統領は党派を超越した存在です。
いったん大統領になれば、共和党も民主党も関係なく、大統領は問題に取り組まないといけないことになっています。
ところが現状のトランプ大統領は、共和党の代弁者と見なされており、実際にそう振る舞っています。
このようなことをやるのであれば、日本と変わりません。
日本の場合は議員内閣制で、政権与党である自民党を選んだのは国民であり、その自民党の総裁でもある安倍首相は党を代弁します。
大統領制度は、国民の直接選挙によって選出されるのですから、党派は関係ありません。
政党の代弁者であってはならないのですが、トランプ大統領は共和党の代弁ばかりを行っています。
トランプ側近の問題
就任当初から共和党の代弁者であったのかと言えば、そうではありません。
経済顧問にゴールドマンサックスに勤務していたコーンを迎え入れていますが、彼は完全なる民主党員でグローバリストです。
そのほかに民主党員は多数いますが、基本的に経済や安全保障に関しては、オバマ前大統領の考え方を支持しており、ナショナリストであるトランプ大統領の考えを支持する人はあまり政権にはいません。
いたのはもうクビになりましたが、バノンという大統領顧問やナバロという経済顧問です。
この人たちは事実に基づかず、感情だけで政策を決定しますので、議論になりません。
感情的とはどういうことかと言えば、私はあの人が嫌いだ、ということの反対を証明するためには、あの人が良いという事実を列挙しなければいけないのに、この人たちは、私が嫌いというものは嫌いで、いくら証拠を挙げても「私は嫌いだ」と主張しているということです。
簡単な事例でわかりますが、この人たちは自分の感情で正しいと思ったことは、すべて正しいと思う人たちであって、事実をいくら重ねても意見を曲げようとしません。
グローバリストとナショナリスト
理路整然と話す側近は、すべてオバマ前大統領がやってきたことを支持する人たちです。
彼らはすべてグローバリストと言われており、国際関係の重視がアメリカに利益をもたらすと考えます。
一方でトランプ大統領はナショナリストで、国際関係よりも国内利益を重視します。
トランプ大統領以外にまともなナショナリストは政権におらず、挙句の果てにはイバンカとクシュナーという身内さえもがグローバリストです。
閣僚が提案してくることはすべてオバマ路線の踏襲であり、国際関係から得られる利益を大事にします。
トランプ大統領は国際的な利益をもたらすよりも国内的な利益を重視しているのですから、意見なんて全く合いません。
その上に国内利益を重視する人たちは感情的な意見しか言わず、使いものにならないのでクビにしています。
国民の代表である大統領が、「オバマのやり方を踏襲せよ」と閣僚から恫喝されているのが今のトランプ政権です。
政権に味方がいないトランプ
「政権の良心」と言われたマクマスターやティラーソンなどは全員グローバリストとされており、トランプ大統領の言うことやることにイチイチ反発していました。
あなたがこの状態でリーダーであれば、愚痴もこぼしたくなりますよね。
当然です、一国のトップになったのに、やりたいことをすべて閣僚が反対するのですから(笑)
人事権を掌握しているのはトランプ大統領ですので、時間が経てばクビになるのは当然です。
そのほかオバマ前大統領は「平和主義、平和主義」と言いながら、アフガンやシリアに投入する軍事予算を年々膨らましていきました。
それについてトランプ大統領は、「事態がよくなったのか?」と何度も閣僚に聞いているのですが、事態なんかちっともよくならずに混乱は続いたままです。
「だったらアフガンやシリアから撤退せよ」と何度言っても、グローバリストの連中は、なんだかんだともっともらしい理由をつけ正当化しようとします。
軍関係者は、軍の予算が拡大すれば自分の利権も拡大し、自身の権限も広がるので当然予算の削減には反対です。
しかし、トランプ大統領から言わせれば、結果が出ないことに対していつまでゼニを使い続けるのだ、ということです。
「だったらそのお金で国境の壁に作ったほうがマシだ」と言うに決まっていますが、閣僚連中と議会は一切認めない…。
オバマはアサドにも資金を流していた
トドメはシリア問題に関して、政権末期にオバマ前大統領は信じられないことをやっています。
アメリカが指示を表明する反アサド勢力に資金を流す一方で、アサド勢力にも資金を流したのです。
シリア内戦の混乱と拡大は、平和主義者であるオバマ前大統領が元凶だったことになります。
こんなバカバカしい内戦にアメリカの予算はつぎ込むのはバカバカしいということで、昨年末トランプ大統領はシリアからの即時撤退を宣言しますが、数週間のうちに側近に説得され、段階的撤退に変更せざるを得なくなりました。
アフガンも増派をオバマ前大統領が行ったのですが、結局何も結果がなく、オバマ路線を支持するグローバリストがさらに増派を主張します。
トランプ大統領は17年間結果が出ないことに対して、さらにお金を出すのは狂気の沙汰と反対しますが、抵抗は大きいのです。
新聞などに出るトランプ政権の実態は、あまりにも自分勝手な大統領ということになりますが、オバマ主義がホワイトハウスが席巻しているというのが実態なのです。
この状況で、トランプ大統領はオバマ前大統領を好きになりますか? ということです。
オバマを嫌いというよりは…
トランプ大統領がオバマ前大統領を嫌いなのではなく、採用した側近がオバマ前大統領の考え方を支持するのに嫌気がさしているのです。
国民の代表として、トランプ大統領は側近を共和・民主関係なく選びましたが、事実上政権を席捲したのはグローリストであるオバマ支持者です。
ナショナリストもいましたが、実態は木偶の坊ばかりでした。
任命責任はトランプ大統領にありますが、グローバリストも大統領の意向を全く無視して、勝手なことをやりすぎという印象です。
だから側近、閣僚がすべてクビになっており、それを事実分析もせず垂れ流しているのがメディアなのです。
最後の最後にオバマがやったこと
オバマ前大統領は格好をつけて、パリ協定の約束の下に新興国に10億ドルを支出しました。
この決定をいつしたかと言えば、ホワイトハウスを離れるたった3日前です。
もちろん、この時にはトランプ次期大統領の面談も済んでいます。
トランプ大統領はインフラ投資や国境の壁を作りたいと願っているのに、予算がなくて断念せざるを得ないのです。
普通、30億ドルの出資のうちの10億ドルの支出を政権を離れる前の3日前に決定するでしょうか?
この問題をトランプ次期大統領に任せるという判断はなかったのでしょうか?
事実を見る限り、トランプ大統領はオバマ嫌いになって当然です。
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