金上昇の理由

EU離脱からの金の高騰。見直される金の価値。

2016年の6月24日、イギリスがEUを離脱。

大英帝国たる国民性や、イギリスの歴史を振り返ると、自国の最高裁がオランダにあって、国会がドイツ、みたいなEUの今の状態から離脱するのは必然的な事でしょう。

過去のリーマンショックや、ギリシャ危機張りの金価格の高騰が来るか???と予見したが、日本ではそうでもない金の価格変動だった。それを説明します。

世界的な金相場上昇の流れ

▼年始からの動き▼
昨年末からアメリカ利上げ観測 (金下落ネタ)

米ドルへの資金投入での米ドル上昇 (金下落ネタ)

ドル割高感から金への資金流入が躊躇される (金下落ネタ)
+
同時に米ドルが上がる為に金利が付かない金が売られる (金下落ネタ)
+
毎年2月の中国の旧正月(春節)での実需筋からの買いも薄く(2015年の中国株バブル弾け?)例年通り上昇しない (金下落ネタ)

アメリカ利上げ見送り観測が強まる (金上昇ネタ)

6月に入りイギリスEU離脱観測 (金上昇ネタ)

6月24日EU離脱発表を受け、 (金上昇ネタ)

2014年8月以来の1toz(1トロイオンス)1300ドルを突破!

ただし。。。。

英EU離脱からの流れ

海外では金があがっているにもかかわらず、日本は何故かそうでもない。

その理由は、日本円の対ドル為替の変動があるからです。

国内の金はドル建てで計算されますので、円高になると金は安くなります。

円安と円高もついでにおさらいすると、100円⇒140円を円安とし、100円⇒90円を円高と言います。

理由として1ドルを100円の価値としていたものが、140円出さなければ1ドルにならない。即ち円の価値が安くなった。

逆に90円だけで1ドルの価値と等価になった。即ち円の価値が高くなった。

これを理解すると次の項目も判ってきます。

金のドル価格からの国内価格予想計算方法

例えば1tozが1300ドルで、1ドル100円だった場合の国内価格を算出する場合、単純な計算は以下の通り。

※アメリカでは、金の重量は「toz(トロイオンス)=31.103…g」の為に1gを出す必要も出てきます。

「1tozあたりのドル価格」×「TTB=ドルの日本円換算」÷「1tozのグラム数(1gを出す)」×消費税。

即ち、1300×100円÷31.103×1.08=4,514円となります。

これが同じ1300ドルだったが円安に振れ、1ドルが110円になった場合には、

1300×110円÷31.103×1.08=4,965円!となります。

たった10円と思いますが、為替の10円は大きく、上記の様な計算に当て嵌めると金の価格が400円程も差が開くとなると、100gのインゴットバーで40,000円も開いてくる事になり、1kgのバーでは400,000円も変わってくる。

為替が大きくどちらかに振れた場合には金の価格も何らかの変動もあるために、上記の様な計算にはならない事が殆どなのですが、どちらにせよ自分のお持ちの金製品のグラム数×動いた金国内価格分も変わってくる事になります。

何故為替が円高に振れたのか

これにはまずは日本国内の話から。

今年の4月頃から日銀金融政策決定会合で追加緩和見送りや消費税引き上げの再延期当で、海外からの買いが入っていき、110円台から緩やかに円高に振れ始める。

そこでイギリスのEU離脱イベントが入り景気後退のムードが、投資家のリスク回避行動に一層拍車を掛ける。

安全通貨の円に買いが入って行き、100円台へ突入していく。

そこで『金上昇』に『円高』が相殺されて行き、日本ではそこまでの上昇は見られずなのが現状なんです。

上記は、弊社運営サイトリファスタ(https://kinkaimasu.jp)の、2016年6月の、金の国内公表買取税込価格の日別チャートグラフです。

24日当日は流石に金の価格は急上昇はしていますが、良く見ると同月の中旬の金額に戻った程度ですね。

※これはこの資料を作成した7/8でも同じような状況です。

直近の金の高騰はある?

次にロウソク足チャートで、もう少し長いスパンで見てます。

上記は、弊社運営サイトリファスタ(https://kinkaimasu.jp)の2015年からの金の国内公表買取税込価格の月次のロウソク足チャートグラフとなります。

1.2.3.4.5.6.7と振ってあるのが2016年の今年。

確かに5月からは上げ相場になり出していますが、海外程は日本では為替が円高に振れてきた影響で金価格の上昇はなく、ロウソク足から言うと下落傾向にも見て取れます。

ロウソク足のヒゲは、長いとそれだけ反動がある(あった)証拠となり、5.6月とヒゲが上下にあるときは、必ずと言っていいほど上下どちらかに大きく振れるのです。

今後は金相場は停滞しつつ、米ドルが買われ円が売られる一時的状況はあるかもしれませんが、※利上げ観測などが現実になる間際等は。

円高のトレンドは引き続き続く以上、日本での金相場の高騰などは直近は考え難いと考えます。

今は売り時?買い時?

ジュエリーなどの装飾品。

資産形成である貯蓄型金投資。

あらゆる生活に密着していると言ってよい金ではありますが、どちらかと言うとやはりリスク時の換金物としての意味合いが強い様に思えます。

少なからず今回のEU離脱問題の件や、バングラディッシュのテロでの日本人被害など、ニュースでマイナスなワールドニュースが流れてると、手持ちの金の換金需要に気持ちが行くのでしょうか。

弊社での店頭での駆け込み重要が多くなるのを見ると、その辺と不思議とリンクしている様にも思えます。

それだけ、何かしらの危機感を、遠い日本でも肌感覚で感じていると言う事ではないでしょうか。

二つの震災で異なる金の見直され方

『有事の金』というのは、平時に買っておき、有事になった際に売ると言うのが本来の形です。

現在日本は比較的有事とは言えないものの、過去大きな地震があった際には、金の価格や価値が再度見直されたのは周知の事実です。

今から21年前の、1995年1月に起きた阪神淡路大震災。

二次被害である火事による被害が多かったこの震災ですが、証券や建物は消失したが、金は燃えずに残りました。

そして2011年の3月。

東日本大震災では、地震直後の津波被害で家屋はもちろんですが、金庫ごと流されてしまい、その中に入っていた所有者不明の金のインゴットが続出。

しかしながらインゴットのシリアルナンバーなどから所有者を特定するのは実は難しく、また自分のものと主張しても持ち主と断定できる事も少ない。

そこで現物を持たずとも資産として保有できる、金の投資信託であるETFが見直されました。

有事の金を鑑みる。

平時での積極的な資産運用は、やはり金ではなく為替取引や証券や債権などでしょう。

その代り、前出のような様々な有事には金を売る事により、他の資産の目減り分の補てんなどに『金』は役に立ちます。

今回の様なEU離脱による欧州経済の不安は、株価の下落を誘発し、その結果リスクヘッジの金の価格が高騰する。

だから金というモノは、リスクヘッジの役割のみ即ちリスク分散や保険と言って良いと思います。

同じ様に日本円も、今の経済状況などから言って比較的安全通貨と見られる為、ドル・ユーロの調整役として位置付けられている。

どちらも価値が上がってしまう為に、日本では金の価格は行って来いの様な自体になるんですね。

結論、今の日本のこの時期は、平時でも、有事でも対岸の家事の如し。

金を買うも売るも、同様のバランスで保たれているかと思っています。

全てを「金」というモノに投資や依存するのではなく、分散する事により、より金の価値が見えて来ると思います。

リファスタ:杉


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