日本の事件、世界の事件
最近、日本でもなんだか変な事件が起こっています。
今回はかなり抽象的になりますが、日常のニュースから世の中の変化、そしてアメリカ経済の変調から金の変調の話をしていきます。
大津や川崎、登戸で児童への悲惨な事件が発生しました。
また、大阪の吹田市では警察官を襲う事件が発生するなど、「なぜ!?」と思うような事件が多発しており、背景にはやはり景気が悪化しているのではないかという疑念がわいてきます。
海外では、テロとは無縁なニュージーランドでテロが発生しました。
国際情勢の専門家に言わせれば、これはサプライズだそうです。
ニュージーランドは、お隣のオーストラリアと同様に移民大国であり、アメリカも同列です。
ですから移民へのアレルギーは日本ほど大きなものではなく、世間の関心は低いと言えます。
その中で白人至上主義テロが起こるのは、想定できなかったことです。
事件の背景にあるもの
以前弊社が解説した通り、背景には、やはりニュージーランドの若年失業率の増加があります。
その後、オーストラリアや中国の経済失速が明らかになり、両国に経済を依存しているニュージーランドも経済が沈みこんでいます。
凄惨な事件の背景にはたいていの場合、人々が失業し、ご飯を食べていけないということがあり、学生による山形での女医殺人事件も一見社会背景とあまり関係がないように見えますが、不安心理が社会を覆っていることが背景なのではないでしょうか?
これだけわけのわからない事件が多発すると、日本の景気が悪くなるのではないかという疑念がわきます。
ただ、データ的には、こういった事件が起こるのは、景気後退の始まりか末期であることが判明しており、それだけ日本経済に復活の兆しが見えているということなのかもしれません。
こうやって考えていくと、このような事件でさえも、世の中の流れや景気を読む参考になるとも言えるのです。
世界的な変調
今年の前半ももう間もなく終わりますが、なんだかやたらときな臭い事件が多発しました。
ベネズエラの事件などは実質上クーデターになり、リビアでもクーデターになり、メキシコにはトランプ大統領が「報復関税をかける」と言い出しました。
これら3ヵ国には「石油」という共通のテーマがあります。
つまり石油の主な輸出国になり、その集大成がイランです。
イランは中東でサウジアラビアに次ぐ2番目の輸出国ですので、アメリカから禁輸処置が決定されれば、暴発するのは眼に見えています。
なぜなら、石油を輸出して外貨を獲得できなければ暴発するのは当然だからです。
その上に、アメリカは5月8日にイラン制裁を再発動し、金属やアルミの実質上の禁輸を発表しました。
イランでは、金属工業はオイルに次ぐ2番目の輸出になりますので、この制裁は手痛く、結果として現況になっているのです。
石油価格の推移
石油価格を見てみましょう。
上記はアメリカの2018年1月からのWTIの価格推移です。
ベネズエラのクーデターが発生したのが4月30日で、2019年4月の縦線は4月1日になりますので、クーデターがほぼ石油の高値で発生したのがわかります。
また、メキシコへの報復関税は5月の末、トランプ大統領が回避を発表した6月9日ころが今年の安値圏内になりました。
さらに言えば、イラン制裁の初動が去年の5月1日で、やはり高値を形成し、第1回目の制裁の見送りは2018年11月1日になります。
すでに18年10月に頭を打っていますが、イラン制裁回避が効いていることは確かでしょう。
去年の12月ころは石油とは関係がありませんが韓国が大暴れし、トルコでは中東第一の産油国、サウジの皇太子MBSがとんでもない事件を起こしました。
こうやって考えていくと、事件と石油は密接に関係があります。
アメリカと石油と事件
石油の大ボスは、言うまでもなくアメリカになります。
なぜなら、世界一の生産量はアメリカであり、原油価格はアメリカの景気を大きく左右するからです。
おそらく、これらの事件のほぼすべてに陰に陽にアメリカがからんでいるでしょう。
アメリカとは一切関係がないと思われたベネズエラやリビアも、おそらくアメリカがからんでいると思われます。
こうやって、事件にはそれぞれ意味があると考えると、日本の猟奇的な殺人事件は、不景気への入口なのか、それとも景気回復のダメ出しなのか、まだこれからの推移を見ていかなければわかりません。
ただし、事件の背景をしっかりと考えることは、ブランド投資でも貴金属投資、宝石投資でも大変重要です。
ともかく、見るのもイヤなくらい凄惨な事件がたいていの場合、経済の低迷によって引き起こされている可能性は、過去のデータからは明らかと言えます。
ワイドショーなど見る必要はないですが、こういった事件が発生したということは、きちんと把握しておくべきです。
アメリカ経済の変調
ここからは、いつも言っている経済統計によって、アメリカ経済が変調していることを説明します。
経済統計を見てアメリカ経済の変調を見ていますが、ローカルニュースでもその変調を見抜くことができるのではないかということです。
以下はアメリカの耐久財受注になります。
このグラフは耐久財受注の前月比です。
報道で言われている通りアメリカ経済は悪いままではないか? と言われる方は多いと思われます。
耐久財受注から輸送機器を除くと…
上記のグラフから輸送機器を除いたものを掲載します。
5月はようやく前月比プラスになり、かなりよくなっているという心象を得るのではないでしょうか。
この輸送機器を除く背景には以下の事件があります。
エチオピア航空のボーイング737MAXが墜落-157人全員死亡
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-03-10/PO5N3P6JTSE801
引用元:Bloomberg
この事件を受けて、ボーイング社は以下の状況になっています。
米ボーイング、737型機の製造計画を縮小 2度の墜落事故を受け
https://www.afpbb.com/articles/-/3219564
引用元:AFP
ボーイング社の現在の詳細な状況は調べられませんが、日本航空がエアバス製を取り入れられたように、世界で航空機の受注が間違いなく減っているはずです。
上記のグラフで輸送機器を除いた耐久財受注が減ったのは、ボーイングの受注が減った可能性があるので、5月の数字は飛行機を含む輸送機器の減少が大きいと判断するためです。
参考までに、エチオピア航空の墜落が3月、計画の縮小は4月ですから、耐久財には飛行機を含むので、大幅減になるのは当然です。
しかも耐久財というのは、1年置きに買い替えるものではなく、飛行機や車など数年置きに代替するものを指します。
単価がものすごく高いものの受注を指しているのです。
その中で飛行機や船舶などは飛び抜けて高いので、ボーイング社の生産縮小はかなりの影響を受けます。
だから輸送機器を除いた統計を見なければいけない、ということです。
ボーイング社の不振とアメリカ経済
ボーイングのようなジャンボ機を1機製造するのに、いくらするのかよく存じ上げませんが、軽く1兆円はかかるでしょう。
日本のGDPは500兆円を超えますので、1機の注文を失うごとに、日本であれば0.2%GDPが減るのです。
そう考えると、ボーイングの不振は、とてつもなくアメリカ経済に影響を与えるとわかるでしょう。
でも、その不景気な飛行機部門を除くと、前月比で0.3%伸びていることが大事です。
飛行機の場合、製造には何ヵ月かかるかは知りませんが、少なくとも1機を製造するのに3ヵ月以上はかかるでしょう。
その場合、代金は売ったときにしかボーイングは受け取れず、製造に必要な資金は銀行に借りることになります。
耐久財の受注が増えるということは、飛行機ほど高額ではないものの、たいていの場合、非常に高価なものになりますので、企業は銀行借り入れをしないと生産ができないことになるのです。
アメリカでは銀行不振が叫ばれますが、結果として旺盛な資金需要が現在発生していることになります。
対して、その需要を示す金利は、ご存知の通り低迷しているわけです。
金利と金価格
お金を借りる人にとって、金利は非常に重要な問題です。
今の金利状態が上記であれば、皆が安いうちに借りようとしているわけです。
結果として需給はどうなりますか?
今までルーズだったものが、この発表を境にタイトに変化していくことでしょう。
さて、ここから話が大飛躍しますが、金利は資金需要がタイトになった場合、どうなりますか?
この金利の低下トレンドが横向きになり、そして最終的にはアップトレンドになるでしょう。
現在の金価格の高騰は低金利が背景ですから、その背景である低金利が高金利に変化すれば、金の価格はどうなりますか?
おそらく、今の値段でもバブルなのですから、大暴落の可能性が出てくるのです。
今後の展開
世間では低金利が続き、7月30日にFRBが利上げをするという報道が大勢的なのですから、マーケットは今後迷うことになるでしょう。
つまり、金の価格は上下に振れるということです。
7月26日の金価格は急落しましたが、これは大天井特有の値動きで、まだ上がるか、大暴落か、なんて激しい乱高下を形成しながら、金の価格は下がっていくと予測しています。
アメリカの金利が上昇に転じる材料が出てきたのです。
それは、金が天井を打つ材料にもなるのです。
まだまだ、証拠を集めなければ確信は持てませんが、少なくとも金利を下げるトレンドを止める材料が出てきたことは確かです。
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