金の価格に注意

金利の上昇

今まで金と金利の関係をずっと解説してきたのでおわかりでしょう。最近、金利が上昇傾向であり、結果として金の価格が軟調になっていくと思われます。今回はその解説を行います。

参照元:TRADING ECONOMICS

上記のように、2年間で最低の金利をつけた後、金利は反転急上昇し始めています。

参照元:TRADING ECONOMICS

上記では、金価格(青い線)が上昇すると同時に金利(黒い点線)が低下しているのが観察できます。

つまり、金と金利の関係は逆相関、反比例の関係にあることを考えると、昨今の金利の上昇は、金価格の低下を意味すると考えられます。

金利上昇の原因

今まで何度も説明していますが、金利の変動要因は以下の3つです。

① 物価の変動
② 財政赤字の変動
③ 政策金利の変化

①物価の変動に関しては最近、消費者物価指数と卸売物価指数が発表されており、その物価が上昇したことが金利上昇の原因と見ていいでしょう。

このことは後述します。

また最近、②財政赤字も拡大が確認されています。

政策金利は最近、メディアを賑わしているように、FRBの政策金利動向が7月末に行われるFOMCに注目が集まっています。

以上のように、①②は金利の上方圧力になっており、③に関しては現在この①②の動向を受けて利下げの方向と予想されています。

物価の動向

上記で最近物価が上昇したと記述しましたが、具体的に見ていきましょう。

1つ目は一般的には消費者物価指数、インフレ指数というものが7月11日に発表されました。

参照元:TRADING ECONOMICS

これは、消費者物価指数のインデックスであって、よくニュースなどで見る前年同月比、前月比の増減をパーセンテージで表現したものです。

上記のように、今年3月に大幅に物価が上昇しましたし、ここ最近は横並びに近いですが、先月よりも、前年同月と比較しても上昇しているのはお分かりになると思います。

ただ、FRB議長が問題にしているのはその伸び率が悪いという点です。

これを明確に説明するために以下をご覧ください。

コア消費者物価指数の動向

以下はコア消費者物価指数といい、変動の大きいエネルギーと食品を除いた物価指数です。

参照元:TRADING ECONOMICS

普通の消費者物価指数と比較して、非常にきれいに物価が上昇しているのがわかります。

では、なぜ通常の消費者物価指数が上昇しないのかと言えば、答えは以下のチャートにあります。

このグラフはNY原油先物の期近つなぎ日足になりますが、見てほしいのは去年の年末に原油価格が40ドル台になっている点です。

先ほど、コア物価指数は変動の大きい食品やエネルギーの価格を除いたものです、と記しました。

現在、原油価格は60ドル台ですから、実質、原油価格は去年の年末と比較して50%弱値上がりしているのです。

これを指標に含めると、大きな物価の変動が確認できます。

しかし、コア物価指数がきれいな階段のようなチャートをしていたことからもわかるように、食品やエネルギー価格を除くときれいなチャートになるのです。

問題は12月の原油価格が安いので去年の12月に物価が沈み込むということではなく、原油や天然ガスの価格低下というのは、6ヵ月後、つまり半年後に消費者物価指数に反映されるということなのです。

7月11日に発表された消費者物価指数は、6月の数字を7月に発表したものであり、去年の12月の原油価格が安いのであれば、6月の消費者物価指数は悪化すると予測されたのです。

しかし、現実には消費者物価は前年同月も前月も上昇したので、それは杞憂に終わるはずだったのです。

利下げはあるのか!?

利下げか、それとも…

いまだに利下げをすると強硬に主張する人がたくさんいらっしゃいます。

これは、まだ物価指標が出そろっていないから、その数字さえも下がっているようであれば利下げだと言いたいがためか、そもそもこの物価と金利の関係を理解してもいないのに、周囲が利下げと言っているから仕方なく利下げと言っているおバカさんたちです。

要するに、利下げと主張している人のほとんどが、物価が上昇していたら利下げの可能性が少なくなるのに、利下げと言い続けるのはわかっていないからです。

金融関係者や専門家は、こんな人たちばかりだということを覚えておいてください。

今回の結果を受けて、また来月以降の消費者物価指数はその後、原油価格が上昇しているのですから、消費者物価指数も上昇するというのは誰でもわかります。

しかも、その物価上昇は人間にとって必要不可欠な原油価格が上昇しているのですから、相当な勢いになるはずです。

つまり、利下げの必要性なんてほとんどないのです。

卸売物価指数

7月11日にアメリカの消費者物価指数が発表され、翌12日には卸売物価指数が発表されました。

日本では、卸売物価指数のことを企業物価指数と言います。

卸売物価指数とは工場からの出荷価格を指し、消費者物価指数が6ヵ月遅れなのに対して、卸売物価指数に反映されるのは3ヵ月遅れになります。

参照元:TRADING ECONOMICS

通常は3ヵ月遅れになるのですが、卸売物価指数は原油価格が12月に安値になっているのに、卸売物価指数の底は1月になっています。

つまり、物価指数の3ヵ月遅れや6ヵ月遅れはあくまでも目安になります。

コア卸売物価指数

消費者物価指数にもコアがあるように、卸売物価指数にもコアがあります。

参照元:TRADING ECONOMICS

やはり、食品とエネルギーを除くときれいなチャートになります。

この卸売物価指数も12日に発表されましたが、予想よりも物価が上昇していたことを示しました。

つまり、この物価指標を見ると利下げする理由の50%は消えたのに、まだ声高に利下げを主張する人がたくさんいるのです。

そのほかの物価指標

実は前2つに挙げた物価指標は、単なる前座に過ぎず、本番の物価指標があるのです。

その名前をPCEと言います。

理由は、FRBが政策変更の規準とする指標がPCEだからです。

ただし、消費者物価指数とPCEには大きな差異が認められず、PCEのほうが統計手法が消費者物価指数よりもより広範になり、税金や社会保障、医療費、薬価などが含まれます。

参照元:TRADING ECONOMICS

上記がPCEです。

参照元:TRADING ECONOMICS

こちらがコアPCEになります。

このPCEの6月のものが15日前後に発表になり、その発表は消費者物価、卸売物価と大差がないようであれば、利下げする根拠が少なくなります。

結果として

PCEの上昇を確認すれば、ファンドや大手投資家は一斉に金を売ってくる

今までの金価格やビットコイン、株価などは低金利を背景に上昇してきました。

個人的には金の価格は頭を打ったと思っていますが、このFRBが判断するPCEも同様に上昇していることを確認すれば、一斉にファンドや大手投資家は金を売ってくると思われます。

もちろん、株や仮想通貨も同様です。


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