農作物の不作が世界の政治を動かす!

コーン価格の推移

現在、アメリカの穀倉地帯にてコーンの作付けができないことが、コーンの価格を押し上げています。

参照元:TRADING ECONOMICS

上記は2018年1月からのコーンのドル建て価格になりますが、今年6月ころから価格が急騰しています。

本来、大豆とコーンは同じ畑で作付けされ、価格の推移を見て、作付けの選択を行うのが農家の手法です。

アメリカは日本と対照的に厳しい冬であったことから、大豆の作付け時期4〜5月に作付けをせずに、コーンの作付けをした農家が非常に多く、6月に低温で作付けができなかったのは非常に手痛いことになります。

ただし、アメリカの農家は現在、米中貿易摩擦によって中国に全く穀物を輸出できない状態にあり、結果として、米政府が日本のコメのように所得補償を行っていますので、特段問題はないかのようです。

もちろん、アメリカの穀物価格は天候次第の側面がありますが、世界最大の穀物輸入国である中国との貿易戦争の結果、アメリカからの中国への穀物輸出が実質ほぼゼロになっていることは、需要の低下から価格の低下を招きます。

ローンレートという制度

アメリカの農家はローンレートという制度に支えられている

価格が極端に低くなったときに、アメリカ政府はいつものようにその差損を補填するために農家から価格保証をして穀物を買い取る制度があります。

つまり、農家は価格が下がっても安心して農業を営むことのできる制度が存在するのです。

この制度をローンレートといい、古くは1970年代の大豆禁輸(パージ)からスタートしました。

ここで問題なのは、あくまでも保証をするのは、その農家の収穫物のみであって、作付けができない場合には、アメリカ農務省(USDA)に買取請求ができないことです。

今回の価格高騰は、トランプ政権にとって由々しき問題となっています。

つまり、ただでさえ価格の低迷で収入減になっているのに、今年の場合、作付けができないということは収入がなくなることを意味するのです。

コーンという作物は…

食物から飼料、エネルギーまで広く用いられるコーン

コーンという作物は非常に繊細であり、作付けからシルキング(受粉)までが重要な作物です。

シルキング以降はご存知のように、いつの間にこんなにも大きくなるんだというくらい成長の早い作物になります。

今回は、このナイーブな期間に天候問題によって重大な問題が発生したのでしょう。

このシルキングの時期を、まず今年は無事に通過することはできないでしょう。

また、コーンというとほとんどの方にとって食べるコーン(トウモロコシ)ですが、アメリカや中国などで栽培されるコーンは飼料になります。

つまり牛や豚、鳥の餌としての作物です。

この肉類のたんぱく質が不足することによって、食品価格の高騰が予測されます。

そして、最近流行のバイオエネルギーの原材料ともなっていますので、以前ほどは影響力は減ったとはいえ、エネルギー価格にも影響を及ぼします。

このように高々コーンの価格ですが、我々の暮らしを直撃するほどの影響があるのです。

コメ価格の推移

コメはコーンほどではありませんが、価格が上昇しています。

参照元:TRADING ECONOMICS

日本でも天候不順によって今後のコメの不作が心配されていますが、国内での需給になりますので、大きな心配はないでしょう。

ただし、平成の米騒動があったように、今後の世界的な天候不順によって価格が急騰する可能性があるので要注意です。

さて、コメの場合、世界の主要な輸出国は実はタイなどの東南アジア諸国になります。

もちろん、中国でもコメは生産されていますが、輸出に振り向ける余力はありません。

韓国は国土が狭いこともあり、コメは主要な輸出商品になっていないので、わかりにくい部分もあります。

綿花価格の推移

同じアジアの中でもパキスタンは、以下の商品に代表されます。

参照元:TRADING ECONOMICS

上記は綿花の2018年1月からのヒストリカルであり、価格は低迷しています。

パキスタンの主要な輸出商品にはアパレルであり、言うまでもなくその原料は綿花になるわけです。

この綿花の低価格推移は、パキスタンが綿製品の輸出の世界トップシェアになりますので、そのまま綿花価格がパキスタンの国威低下につながります。

綿花とパキスタン

パキスタンの主要な生産物である綿花

この経済状態を受けて、パキスタンのカーン首相がアメリカを訪問しています。

パキスタンは南にアフガニスタン、北にイラン、東にインドを抱え、まさしく紛争のるつぼという状態になります。

経済は好調とは言えない状態ですが、新しい政権の誕生に伴い今までと比べれば相当にましになってきました。

ここでカーン首相が訪米するのは、要するに今後、経済が停滞する可能性があるのでその援助要請になると思います。

会談内容は、テロ容疑者の差出などアメリカ政府の要求することをそのまま提案することになるでしょう。

また、イラン問題に関しても、アメリカに都合のよい政策をとってくれるという思惑もあります。

国の主要な作物や商品相場によって、国の首脳は動くのです。

韓国の国内事情と作物価格

韓国の農村

韓国の場合、農家の割合はやはり日本と同様に減っていますが、安全保障の問題から農業を国内で維持したいのは当然のことになります。

その作物の価格が上昇しているのに、国内で不満が渦巻いているということは、韓国経済が相当に悪いという証左です。

通常は、価格が上昇して不満が大きくなることはありません。

今回は、コメ価格が上がっているのにもかかわらず、民衆の不満が大きいということは、通常で考えればものすごい問題を抱えているという判断になります。

パキスタンは、もともと経済が悪いので日常的にテロなどが発生しますが、今回の綿花価格の低迷によってテロの件数が増えたかといえばそれほどでもありません。

これらは具体例の例示になります。

問題は以項の内容です。

中国の態度転換

穀物の不作は全世界の問題になりつつある…

実は穀物の不作はアメリカだけの問題ではなく、全世界の問題になりつつあります。

今年の秋に世界的な農作物問題が引き起こされる可能性があるのです。

その典型が以下のニュースです。

中国 米農産品の輸入拡大へ 態度軟化ねらいか

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190722/k10012002341000.html?utm_int=news-international_contents_list-items_009

引用元:NHK

中国がアメリカの圧力に屈したように報道されていますが、上記の内容を読んでどう思われますか?

中国の泣きどころ

2012年に勃発した、尖閣諸島の領有権問題に端を発する中国の反日デモ

基本的なことを書いていきます。

中国は、ご存知のように共産党の一党独裁国家になります。

独裁国家の常として、韓国は多少違いますが、民衆の暴動やデモが一番怖いわけです。

そこに食料不安が起こったらどうなるか、ということです。

結果として、共産党政府は人民の雇用とインフレに神経を気を使います。

民衆というのは必ず、食えなくなったときに暴動やデモを起こすからです。

2010年前後に起こった毒ギョーザ事件や排日デモなどはその典型です。

この排日デモは、主に国営企業からリストラされた人たちによって行われました。

その標的になったのが日本人なのは、実は工作機械などで競合していたのが日本企業だったからです。

歴史教育の問題ではなく、単に経済戦争に負けた結果、起こったのです。

他国とは違う韓国の政治気質

2019年3月1日の独立運動記念日にソウルで繰り広げられた反日デモンストレーション

韓国の場合は、過去の犯罪を暴くことが政治イシューになっており、その中に日本の占領政策や従軍慰安婦問題があるのです。

主には戦後、国民を蹂躙、威嚇した政府の責任問題が主要なイシューになります。

昔のことをほじくり返すことが韓国の問題そのものなのです。

私たち日本人がアメリカに恨みつらみを今でも語るかといえば、そんなことはありません。

ほかの国でも、そんなこと今でもずっと語っている国民を見たことがありません。

どの国家にとっても、国民の反発というのは、自分たちの生命の危機などに神経をとがらしているのです。

中国が米農産品の輸入を拡大する真の理由

2013年に干ばつに見舞われた際の中国の畑

中国は特に独裁ですから、インフレや失業問題が大きくなると、国家運営がうまくいかなくなるという危機が日本やアメリカに比べ非常に高いのです。

この食料危機によって、中国国内でデモや暴動の可能性が高くなっているので、アメリカの圧力に屈したのではなく、単純に国内事情によって動いているのです。

世界的に食料が不足するような事態になれば、中国はアメリカから穀物などを輸入せざるを得なくなってきます。

その前哨戦として、アメリカからの農産物輸入解禁となっている可能性のほうが高いと思われるのです。

NHKのニュースはアメリカの立場を強調しすぎ、中国の国内事情が視野に入っていないと言えます。

注意しなければならないこと

与党勝利という参院選の結果を受けて株価は好調だが…

注意しなければいけないのは、中国のこの農産物解禁によって、米中雪解けの思惑が広がり、金利が上昇し始めている点です。

言うまでもなく、金利の上昇は金価格の低下要因になります。

ただし、金利上昇を受けてアメリカ株先物の価格が下がっています。

そして日本は、参議院選挙の与党勝利で株価は上昇していますが、「怖い」ということです。


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