最近ではフランスがこれに近いことをした
先日、韓国政府が決定した日韓の軍事協定破棄について、蜂の巣をつついたような騒ぎになっています。
正直、マーケットに対する影響などはよくわかりません。
理由はシンプルで、マーケットとはお金を稼ぐ場所、つまり経済であるのに対し、GSOMIAは安全保障の問題、つまり現段階でマーケットへの影響を測定する術がなく、なんとも言えません。
この点を含め、卑近な例を紹介し、韓国経済・政治についての所感を記します。
日本では報道されませんでしたが、今年に入って、フランスのマクロン大統領がNATOの軍事力強化を謳い、トランプ大統領との対立が激化しました。
日本の記者で、この意味がわかっている人はほとんどいないでしょう。
マクロンとトランプ、そしてドイツ
マクロン大統領はオランド前大統領のあとを継いだ大統領で、当初はトランプ大統領との関係も良好でした。
最悪だったのはオランド時代であり、マクロン政権は基本的にはオランド路線を否定することによって成立したからです。
では、なぜトランプ大統領とマクロン大統領が上手く行ったのかと言えば、ともにドイツに対して否定的な姿勢を取ったからです。
オランド政権時代に、フランスはこの辺の経緯は複雑怪奇ですので割愛しますが、単純に言えば、ドイツの求めに応じて軍縮を行いました。
一国の安全保障を、外国であるドイツの求めに応じて行うという前代未聞の事態に、フランス人のほとんどが気が付かず、あきれ返ったものです。
トランプ大統領の怒りの理由
マクロン大統領は、基本的には就任直後からオランド路線を否定しました。
ただし、その軍事費をNATOにかけるのではなく、ユーロ軍にかけると宣言したのです。
そこで怒ったのがトランプ大統領です。
つまり、ドイツはNATOに決められた軍事費をほとんど払わず、自国の軍隊には気前よく払う。
フランスはドイツの求めに応じて軍縮を決め、NATOの負担は増えるのに、ユーロ軍創設を主張し始める。
トランプ大統領が怒って当たり前のことをしでかしたのです。
現在のドイツの状況
現在のドイツは、トランプ就任直後は好調だった経済が奈落の底です。
国際会議などで、メルケル首相は以前はトランプ大統領に説教していましたが、現在はおべっかを使う状況です(笑)
逆にマクロン大統領は、口もききたくない状態です。
ですから、今回のG7では共同声明が出ないという緊急事態になってしまっています。
トランプ大統領は、ユーロともほとんど戦争状態を作っていますが、もともとはフランスがドイツに従属関係を構築してしまったことが問題なのです。
8月15日の文大統領の発言の意味
韓国大統領は、8月15日の終戦の日に「北朝鮮の宥和」への具体的ロードマップを示しました。
これは従前の方針でもありますが、韓国国民の期待でもありますので、ある程度の理解は得られました。
ただし、日米は北朝鮮を基本的には敵国と見なして行動していることから、日米韓の同盟関係に影響を与えるので、慎重な言い回しをしなければならず、ロードマップまで示してしまったのは、やりすぎの感が否めません。
実質、この8月15日の発言は、日米韓の軍事同盟の廃棄宣言にも等しく、今から思えばここに伏線があったのです。
言い換えれば、今回の決定により、韓国は西側同盟よりも東側同盟に従属すると宣言したのにも等しいのです。
フランスの例を韓国に当てはめる
アメリカは北朝鮮情勢を鑑みて、日韓の保護を冷静に最初に言明しましたが、おもしろくないのは確実です。
つい先日、駐韓米軍の基地負担の一部を米韓で合意しましたが、今回の発表は、日韓を含めて間接的に北朝鮮を、そして中国をも守れ、と言っているのに等しいことになります。
政府関係者は常軌を逸した行動と言うのです。
ユーロの場合、ドイツが没落して行く過程の中でフランスがイニシアチブを取らなければいけないのですが、それが反米の意思を鮮明にしたことがアメリカの怒りを買っています。
同盟の枠内に留まることを政策的にも言動的にも表明しているので、大きな問題にはなりません。
一方の韓国は、軍事同盟からの実質的な離脱表明ですから、今後はまともなお付き合いはできないということを内外に示してしまいました。
まさしく常軌を逸した行動です。
今後の日米韓同盟の展開
マーケットには大きな影響はありません、ただし、短期的には…。
長期的には大きな影響があるでしょう。
日本人が安心して経済活動に専念できるのは、アメリカによって平和が保証されているからです。
こういう面を認識していない日本人があまりにも多く、アメリカに従属的立場を取ると言って政府を非難する人が多いのは残念に思います。
アメリカも日本も約束を守る国ですので、一応、韓国の防衛に責任は持つでしょう。
万が一、敵国からの攻撃によって韓国が被害を受ける事態に陥った場合、日米は損得勘定を計算に入れて介入することになります。
今までなら、人道的な配慮で損得勘定抜きにして介入したところが、今後は損失が大きい場合は見捨てるという選択肢が出てきたのです。
いかにアホな決定をしたのかがおわかりになるでしょう。
長期的に見た韓国の行く末
自宅が火災で焼けるリスクを気にしながら、お仕事に精を出すことができないのと同様、敵国からの攻撃を気にしながら、経済活動に専念ができるのかと言えば、できるわけがありません。
長期的な視点から見れば、韓国経済の没落が始まったことだけは確実に言えます。
また、日韓の経済は相互に依存しているので、日本も韓国の落ち込みをモロにかぶることになるでしょう。
今回の決定は、日本にもアメリカにも、そして韓国にも何のメリットがなく、まさに常軌を逸した行動になります。
韓国側の言い分は特に記しません。
日本の韓国への措置は出口が見えるものですが、韓国の日本やアメリカへの措置は出口戦略の考察が全くないようにしか見えません。
ここまで日本の国民感情を無視した決定をすれば、その影響がどう出るかの考察がさっぱりできていないような感じがします。
コメントを残す