寝ている間にお金に稼いでもらう?
今回は、金急騰の原因となっている主に先進国の金利低下について、なぜ、そのようなことが起こるのかを考えていきます。

今まで何度もご説明したことですが、おさらいのためにもう一度書きます。
昨今では日本でもかなり、寝ている間にお金に働いてもらうという言葉が浸透してきています。
これは、お金を投資や出資することによって、寝ている間に金利を稼いでもらうという意味です。
日本では銀行預金のメリットはゼロ金利の影響で薄れてきていますが、銀行を介して貸し出されることで皆さんの預金に金利がつきます。
この銀行預金は、仲介手数料を取られるので安い金利になりますが、寝ている間にお金を稼ぐ典型例です。
金利の利点

銀行預金の金利が5%もあれば、新規に投資や出資をしなくても金利で生活できますが、今の水準ですと、10憶円程度の預貯金がなければ生活が苦しくなるのは必然です。
つまり、金利収入は、庶民でも何も考えずに預け入れることができ、安定的に増える利殖の手段で、リスクがそれほど高くないと言えます。
株式などはその会社の業績や資産の上下動によって値段が上下し、先行きはわかりません。
一方で金利は、10年預ければいくらになるという計算がすぐにできるのです。
国債と標準金利

銀行預金の大もとの資産とは、借り手である人、法人、国家であり、法人が発行する借金手形を社債、国家が発行する借金手形を国債と言います。
国の借金手形である国債の金利が一般的にその国の標準金利と言われ、その年限は1年物になります。
中央銀行の公定歩合とは、その1年物金利の誘導目標です。
会社の借金手形は国家よりもリスクが高いので、国家の金利よりも高い傾向にあります。
債券と株式の値段の関係性

一方で株式投資による収益は、人間というものは常に成長したいものですから、放っておいても赤ちゃんが大人になっていくように成長します。
ただし、普段は株式のようなリスク資産を買っていても大丈夫ですが、誰しも人生のピンチというものがあるものです。
その際に、会社は順調に成長しなくなり、より安全な資産である債券に投資をシフトするのです。
普段の生活において株式に投資するのが通常であり、リスクが顕在化すると、一斉に株式を売って、債券を買おうとする投資行動を行うのです。
これが株式と債券の値段の関係性になります。
ヘッジファンドのバイ&セル戦略

これを上手に利用したのがヘッジファンドと呼ばれるファンドで、株を買ったら債券を売り、株を売れば債券を買うという行動に出ます。
これを、バイ&セル戦略と呼びます。
危険を事前に察知できたら本当に人生が楽であると思いますが、実際に自分がピンチに陥っているかどうかもよくわかっていない人も多数いらっしゃいます。
このように、人生の岐路やピンチはいつ襲ってくるかわからないので、ファンドは最初から売りと買い両方をホールドし、マーケットがどちらに行ってもよいような戦略を行っているのです。
上がっても下がっても儲かるシステムを構築しているのです。
現在の世界情勢と金利と金価格の関係性

現在の情勢は米中貿易戦争やイラン、ブレグジットなどで、リスクが高いと一般的には言われており、ファンドは株を売って債券を買うという行動に出ているだけの話なのです。
巨額な資金を持ったファンドが株を猛烈に売って、債券を怒涛の勢いで買うのですから世界的に金利が下がります。
この状況はアメリカだけでなく、ヨーロッパや日本でも同様です。
その債券高金利安によって、昨今の金価格は金利に大きな影響を受けているので、銀行金利や債券金利がほとんどつかないことを背景に上昇しているのです。
これが株と債券、金の関係性になります。
金利がなぜ下がっているのか、アウトラインだけでもわかっていただければ幸いです。
実際の世界の状況

実際の世界経済について報道では、貿易戦争やイラン問題、ブレグジットなどで低迷しているというのが一般の認識です。
特にブレグジットは2016年の問題であり、まだ3年前ですが、はるか昔のことのように感じる方も多いでしょう。
あのとき、多くのメディア、専門家は、イギリスがEUを脱退することはないだろうと予測しましたが、結果は離脱が決定しました。
これは、その年末にトランプ大統領が誕生したのと同様、世界に衝撃を与えました。
ブレグジット関連で大きな損を出した投資家、機関投資家などは数知れず、現在でもEUとイギリスは離脱交渉中ですが、恐怖心を掻き立てる結果となっています。
貿易問題とイギリスのEU離脱期限が10月31日までとなっていることが、世界の投資家がリスクを冒すことをためらう原因です。
実際に世界の貿易量やイギリスの国力などは下がっているのですが、果たして本当でしょうか。
世界経済の成長の推移

上記は1960年からの世界成長の推移で、やはり近年は低下傾向にあります。
成長が鈍化しているのですから、金利が低下するのは経済学では当たり前の観点です。
ただし、2000年代に入ってからは平均3%の成長で前後しているのがおわかりになるでしょう。
世界の経済は、メディアでは「停滞している、している」と騒いでいますが、結局は成長しているのです。
2009年の大きなマイナスはリーマンショックになります。
昨年は世界経済の覇者であるアメリカが法人税減税を実施し、その影響が大きく広がったことから、世界経済が大きく発展しました。
今年はイランや貿易、ブレグジットなど悪い材料のほうがフォーカスされている状況ですので、悪いように感じるだけの話で、実際に世界経済は悪くはないのです。
最低金利が更新される理由
上記のグラフは2016年、つまりブレグジットやアメリカの大統領選挙があった年までしか記されていませんが、以下はIMFの年次報告、7月改定のものになります。

2017年は3.8、2018年は3.6%成長と過去2年、最高潮の景気拡大といってもいいような状態です。
2000年以降の平均成長率が3%と考えれば、前述のグラフに2017年3.8、2018年3.1と加えると、過去2年間の景気がいかによかったかはおわかりになるでしょう。
そして、IMFの見通し7月改定では、世界の成長は3.2の予測で、前回より0.1低下したとはいえ、これも素晴らしい数字なのです。
なのに人々はメディアが言う通り、株式を売却して債券を怒涛のように買い、結果として債券の金利は下がるのです。
世界中の株式市場からマネーが逃げ、債券に資金が流入していることが、最低金利を更新する理由になります。
世界経済は良くなっているという現実

先行きが不安なときにお金を使いますか、ということです。
普通の人は、消費よりも貯金に回すはずです。
しかし、消費はアメリカを筆頭に絶好調です。
つまり、世界の景気は非常によいのに、メディアや専門家が「悪い」と騒げば騒ぐほど、マーケットと実際の経済指標に乖離が出ます。
日本でもそうですが、東日本大震災直後と比べれば現在は格段によいのに、ほとんどの人は悪いと思っています。
それは単なる勘違いで、日本をはじめ世界の経済はリーマンショック直後のどん底と比べれば格段にいいのです。
でも、メディアや専門家は「悪い」と騒ぐ。
皆で一斉に債券を買うので良い条件の債券がなくなり、金持ち連中を中心に「もっと米国債を購入させろ」ということで、MMTというマユツバものの理論が出てくるだけの話です。
MMTの推奨者は、国家の借金が増えてくれないと自分たちがより有利な条件で債券を購入できないので、いくらでも借金してもよいという無茶苦茶な論理を引っぱり出しており、考え方からして間違っているとも考えられます。
ドイツの金利低下について

金利の低下で言えば、ドイツが大幅に低下しています。
ドイツという国はそもそも財政規律が厳しく、財政赤字を増やさないことで有名です。
ゆえに金利が上昇する理由がない国でもありますが、さすがに今の金利は行き過ぎと言えます。
ドイツは韓国や中国と同様、輸出に特化している国であり、輸出が振るわなければ株価は上昇せず、だから投資家は株を売って、債券を買うという行動に出るのです。
国内で、移民などのブルーカラーの賃金が上昇し、製造業のメリットが失われてきたことも一因ですが、通常は賃金が上昇すれば金利も上昇になるはずが、説明のつかない現象が起こっています。
単純に考えるとすれば、投資家の債券買いが物価上昇圧力を跳ね返すような買い意欲であるとしか言いようがありません。
つまり、経済理論に当てはまらないことが起こっているのです。
今後の世界情勢の展望

懸案のブレグジットは再延長の観測も出ていますが、10月31日が離脱期限です。
イラン問題に関連して、9日15日にイスラエルの総選挙が行われます。
イスラエルのネタニヤフ首相が汚職疑惑で起訴される見通しで、与党が敗北し、野党が政権を握る可能性は少ないのですが、汚職問題が発端ですので情勢は予断を許しません。
これとイランがどう関係するかと言えば、イランはホメイニ革命時にイスラエルをつぶすことを目的に建国された国であり、トランプ大統領としては、最大の集票集団であるユダヤ人票(イスラエル票)を獲得するために、イランとの摩擦を深めたことが問題の根幹になります。
実際にイランは核協定違反など、トランプ大統領との摩擦前から起こしておらず、トランプがいじめるので仕方なく協定違反を行っているのです。
つまり、総選挙で生じるイスラエルの政情不安定化の間隙を突き、イランが何かするのではないかという恐怖感から摩擦が起こっているだけです。
米中貿易戦争の真相

中国との貿易戦争にしても、年末までに解決する見込みが流れていますが、そもそも貿易摩擦の問題など存在しません。
なぜなら、貿易の関税を掛け合っても、両国とも経済に大した影響が出ていないのです。
要はフェイクの戦争であって、トランプ大統領が大統領選挙に向けて成果をアピールするためにケンカのフリをしているだけです。
解決など選挙が終わるまでしないと思いますが、観測は12月にするというコンセンサスが存在します。
ターニングポイントは11月から年末

まとめると、年末までにメディアや専門家が騒ぐ世界の懸案、経済の減速の要因が現段階では取り払われる予定のコンセンサスになっており、結果として、年末に株価が急騰、金利も急騰という可能性があります。
ゆえに、金価格も11月に頭を打つという考え方にも合理性があるということです。
結論としては、過剰なリスク回避が金利の低下に拍車をかけているということではないかと思います。
実際に9月1日から関税の報復合戦になっていますが、マーケットはあまり反応していません。

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