フォルクスワーゲンはドイツという国家の企業でもある

ドイツ車のイメージというと?

最近、街中を歩いていると外車を見かける機会が非常に多くなりました。

その中では、40〜60代くらいの憧れでもあるベンツを多く見かけます。

その次に多いなと感じるのは、ドイツのフォルクスワーゲンだと感じます。

今回は、そのフォルクスワーゲンとドイツという国家について考えていきます。

ポルシェ、ベンツ、フォルクスワーゲンといったドイツ車のイメージは?

ドイツの車は、ベンツを筆頭に頑丈であるというイメージが日本人の多くあると思います。

スウェーデンのボルボもヨーロッパでは頑丈というイメージです。

ところが、ご当地ヨーロッパではディーゼル車、つまり軽油を使った燃費のよい車というイメージもあるのです。

特に車好きではない人にはこのイメージはあまりないでしょう。

実際、ディーゼル車は燃費がよく、地球環境にも優しいということがあります。

その辺のイメージが日本にはあるのではないでしょうか。

日本の平城京と平安京の話

奈良、東大寺の盧遮那仏(大仏)

参考までに、日本は環境先進国です。

日本人が愛する京都の町は、自然が多いと感じられるでしょう。

京都に自然が多いのは、環境計画の賜物です。

奈良の平城京から京都の平安京に遷都された本当の理由をご存知でしょうか?

答えは奈良市内に若草山というお山、見たことのある方は思うことでしょう、「なぜ、木が一本も生えていないのだろう」と。

この理由は東大寺の大仏にあります。

大仏を鋳造するときに周辺の木をすべて伐採してしまったのです。

この結果が若草山です。

大仏を鋳造するために自然環境を破壊しつくした結果、主に水による災害が頻発してしまいました。

奈良に行った方は、「なぜ、これほど暑いのか」とお感じになったことでしょう。

それは、木々や自然があまり残っておらず、炎天干しだからです。

平城京から平安京に遷都した主な理由は、自然を破壊しつくして災害が頻発するようになったことです。

実は環境先進国の日本

風情ある京都の町並み

この辺は学校の教科書には一切書かれていませんが、事実として残るのは、平安遷都が8世紀なのに対して、欧米の自然を破壊しつくした産業革命が17世紀、それが世界に普及したのが18世紀です。

この18世紀以降、欧米では自然環境を破壊しつくして環境保護活動が始まります。

事実、ヨーロッパは産業革命以前は国土の7割を森林に囲まれた土地だったのですが、20世紀になると国土の3割しか森林がないようになってしまいました。

よくメディア等で「日本は自然環境保護の意識が低い」などと言いますが、実は日本、環境保護においては欧米よりももっと古い歴史なのです。

確かに東大寺の大仏は歴史上の立派な建立物ですが、その対価として失ったものは大変なものでした。

ですから、日本人の底流に流れている環境保護の意識は、欧米人よりもより優れているのです。

アメリカでフォルクスワーゲンが事件を起こす

ヨーロッパで多く採用されているクリーンディーゼル車は、環境保護の賜物であり、誇るべきものですが、フォルクスワーゲンはアメリカでとんでもない事件を起こしました。

独検察、フォルクスワーゲン経営幹部ら起訴 排ガス不正で相場操縦https://www.afpbb.com/articles/-/3246175

引用元:AFP

この事件は、トランプ大統領の就任直後に発覚しました。

テストのときには規制基準を下回る結果を出していたのですが、街中を走るときは基準値以上、実に「42倍」の排ガスを出していたのです。

アメリカの排ガス規制はヨーロッパのそれよりも厳しく、日本以上に厳しいものです。

それでも日欧の自動車メーカーがアメリカに進出するのは、市場が巨大だからです。

実際、日本車いじめや欧州車いじめのような規制が、アメリカでは多く採用されており、その排ガス規制は世界一のレベルだといっても過言ではないでしょう。

アメリカ人の気質と環境破壊

アメリカ独立戦争の激闘を描いた絵

参考までに、アメリカの環境規制は日本よりも、そしてヨーロッパよりも遅い導入になります。

もちろん、アメリカでも独立戦争後に産業革命が進展をした結果、自然環境が破壊しつくされましたが、そもそもアメリカの環境破壊は、アメリカ人の気質にあります。

西部州は未開の土地だったので、入植したイギリス人たちは未知のものを見るとそれをすべて銃で撃ち、木々は焼き払いながら西進して行きました。

今でもアメリカが銃社会なのは、自分に歯向かう未知なものはすべて撃ち殺してしまえという発想のゆえんになります。

アメリカ人ほど偉大なものはなく、アメリカ人以外はすべて生き物ではないという発想が根底にあるのです。

武力でもってほかの生物体を破壊してしまえという発想が根源だったのですから、自然破壊はものすごい勢いで進行していきました。

その結果、日本やヨーロッパと同様に災害が多発するようになったので、環境保護を言い始めたのです。

アメリカの環境保護

アメリカの代表的な国立公園の人一つ、シオン国立公園

その中でも世界にさきがけて国立公園や国定公園の設立を始めたことが、環境先進国と言われたゆえんになります。

どちらにしろ、やり方に問題があるとはいえ、地球環境の保護は決して悪いことではありません。

フォルクスワーゲンはアメリカや地球環境保護をバカにしたこのような事件をなぜ起こしたのかを考えていきます。

フォルクスワーゲンの株主構成

フォルクスワーゲンの筆頭株主は、あのポルシェのポルシェ家

ドイツの国民車と言われるフォルクスワーゲンですが、本来は飛行機や戦車、車を作る、ヒットラーの世界進出を応援する軍需産業会社でした。

もとからドイツ政府資本が入っている会社だったのです。

当然、第二次大戦後は能力を削減されたのですが、政府の資本は残っています。

現在の株主構成は、ドイツの自治体であるニーダーザクセン州が20%の株を保有しています。

筆頭株主はご存知のポルシェ家が過半の50%を少し超えた株を握っています。

そのほか目立つのは、17%を握るカタールの国策ファンドです。

すなわち、会社の過半をポルシェ家が握っているとはいえ、設立経緯を考えた場合、ほとんどドイツ政府の所有と考えてもよいと言えます。

フォルクスワーゲン法さえあるドイツ

フォルクスワーゲンのバックにはドイツ政府が

実際に、ドイツ国内にはフォルクスワーゲン法という、フォルクスワーゲンの業務を助ける法律が存在します。

例えば、欧州が環境規制を導入する場合において、EU圏内でのドイツの発言力は強く、その排ガス規制がドイツ車に厳しくなる場合、あらゆる手段を尽くしてフォルクスワーゲンを保護した経緯があります。

こういうときのためにドイツではフォルクスワーゲン法が存在するのです。

ドイツは国をあげてフォルクスワーゲンを支援しています。

そのフォルクスワーゲンがアメリカで排ガスの不正を行ったということは、ドイツがアメリカにケンカを売ったのと同じです。

ドイツ経済の失速は当然の帰結

フォルクスワーゲンの不正で、米独間に決定的な亀裂が入る可能性があった

事件の当初、一部幹部の指示によるものだったとフォルクスワーゲンが発表したのは、本当のことを発表すれば、ドイツとアメリカが本気の戦争になることを懸念した思惑もあるでしょう。

それほど許せない不正であり、結果として、その制裁を受けて、ドイツ経済が失速するのは当然のことと言えます。

もともと、アメリカ国内ではドイツ車はあまり人気がなく、日本車やアメリカ車などが人気であり、この両国の牙城を切り崩せないのがドイツの現状でした。

今回の不正により、アメリカ連邦政府からの罰金、そして民事訴訟や刑事訴訟などの費用負担が重なり、フォルクスワーゲンは当面の立ち直れません。

ドイツ車と中国市場

中国の街を疾走するドイツ車

参考までに、ベンツも同じような不正を行い制裁されました。

この結果、ドイツ車のアメリカ市場の進出は、頭打ちになっています。

ところがドイツは、EU脱退を決めたイギリスとともに中国進出を目指してきました。

イギリスは当コラムでも解説しているように、EU圏がもはや世界の有力市場ではないことを見切ったために脱退を決めたと思われます。

目指したのは中国市場です。

そこにドイツもライバルとして立候補したのです。

実際に中国市場でのフォルクスワーゲンやベンツの躍進ぶりは目覚ましく、その結果、販売台数においてトヨタ自動車を抜いて世界一位の地位を不動のものにしています。

自動車部門においてドイツは世界一位の地位を虎視眈々と狙っていたのです。

しかし、今回のフォルクスワーゲンやベンツの事件によってとん挫していることが、現在のドイツ経済の弱さにもつながっています。

貧富の差の拡大と自由貿易

「アメリカ・ファースト」の先に見据えられているものは?

トランプ大統領は、ドイツや中国、韓国など貿易依存率の高い国々を集中攻撃しています。

もちろん、自身の「アメリカ・ファースト」政策も一因でしょうが、本来の目的は、自由貿易がこれ以上、世界を発展させることがないという意味合いも含まれています。

トランプ大統領の誕生背景は貧富の差の拡大で、これは行き過ぎたグローバリズム、つまり自由貿易に起因することが各種のデータで証明されているのです。

韓国で問題が起こるたびにデモや騒動が起こるのも、結局は貧富の差の拡大のためであり、ドイツで中東人への差別が発生するのも貧富の拡大が理由で、フランスでのテロも同じです。

今後の世界はポピュリズムが席巻する

ブレグジットのEU残留支持派のデモ

行き過ぎたグローバリズムがポピュリズムの台頭を許し、これがこれ以上拡大しないという楽観した見方は非常に危険になります。

イギリスでの国民投票がEU脱退になったのは、上流階級に忠実だった貧困層や中間層が逆らった結果と言われています。

この人たちは生活していくのが苦しいのですから、自分の権利を行使して上流階級にノーを突きつけたのです。

このポピュリズムは決して一時的なものではなく、世界でグローバリズムが進行し、貧富の差が拡大していく限り続くことでしょう。

今後の世界は、ポピュリズムが席巻するはずです。

ドイツの行く末

ドイツ&中国は共倒れ?

ドイツはアメリカとの経済戦争にも負け、中国はと言えば、のらりくらりとアメリカと交渉していますが、結局は要求を呑まざるを得ない状況だと考えられます。

これは勝ち負けというレベルの話ではなく、中国政府はアメリカの要求していることを行うと約束しているからです。

ただし、具体的な時期に関しては約束していなく、「できるだけ早くやる」と言っているにすぎず、またそれをトランプ大統領が「早くやれ」と言っているにすぎません。

ドイツと組んでいる中国がアメリカに屈したとなると、ドイツ経済はますます苦境になるでしょう。

ドイツ人の精神性と今後

実は相当プライドが高いドイツ人

そもそも、ドイツ経済を支えている移民のほとんどが中東出身者で、彼らとの間には親和性がほとんどありません。

アメリカにおける黒人と白人の差別のようなものだと考えてください。

お互い相容れることがないから差別が根強く残ります。

ドイツ人はナチス、ヒットラー政権の負のイメージを背負っているので、謙虚な国民というイメージが日本にはあるでしょうが、決してそんなことはありません。

内心はアメリカ人同様、自国民が世界で一番優秀な民族であるという意識が7割以上を占めており、危険な兆候になっていることを知らない人が多すぎます。

もちろん、アメリカに逆らい、覇権を唱えるとこのような事態になるとは思いませんが、こういう状況ですから、当面、金が下がるような要件はないでしょう。


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください