歴史的な南北会談を考える

当日の報道

この会談のダイジェスト版を拝見させていただきましたが、なんだか随分とパフォーマンスが過ぎていると皆さんも感じられたのではないでしょうか。

極め付きは、文大統領と金委員長がカメラの前で手を握り合っている写真です。

個人的には気持ち悪いとしか考えられないようなアングルでした。

よく考えてみてください。

おじさん2人が、カメラのアングルの下のほうで手を握り合っているのです。

年増の男女カップルが手を握り合っているのではなく、いい年をしたおじさん同士がカメラの下で手を握っているのです。

要するに下世話な話をすると、2人が普通の人であれば「お付き合い」していると勘違いするような写真なのです。

正直『気持ち悪い』という以外の何ものでもありません。

では、こんなことをやってまでしても盛り上げようとするのはなぜか?

実はこの会談自体に中身が何もないから『パフォーマンス』によってその内容を打ち消そうとしているだけの話です。

とんだ茶番

北朝鮮は核実験場の放棄などを発表するとは言いましたが、非核化に関しては何も触れていません。

そして共同声明において、朝鮮戦争の終結に努力すると表明しました。

参考までに現在は休戦協定が発効されてはいますが、朝鮮戦争はいまだに終結していません。

休戦に際しアメリカが軍隊を撤退することが条件だったのが、休戦後も軍隊を韓国に駐留をさせています。

これに対して北朝鮮が猛反発をしており、その後の核開発につながったというのがまともな見方だと思います。

要するに在韓米軍が撤退しない限り終戦などあり得るわけはなく、そのことを承知している韓国の大統領も、その実こんなものは非現実的だと思っているはずです。

北朝鮮からすれば、非核化のポーズさえとればまた西側諸国から経済的な援助をもらうことができ、そして経済援助をもらえれば、また核開発をするということの繰り返しの茶番劇だと弊社は見ています。

今回は北だけではない事。

問題は今回のこのような非核化のポーズが、北朝鮮だけではなく韓国をも巻き込んでいるという点です。

まず、この文大統領というのは南北の統一を目指して当選した大統領なのですから、無理を承知でもこの会談は成功をさせなければいけなかったということになります。

そしてこの大統領は従軍慰安婦問題での日本との約束を平気で放棄し、国内の反日感情を抑え込もうとした大統領でもあります。

日本の立場としては、国と国との約束なのだから、その約束は履行するのが当然というものです。

そんなことばかりやっていたら、友人関係は破綻をするのは当たり前の話です。

それこそ対外的な信用を築くために、日本との信義は守り通すのが通常のことである、と考えるのが普通ではないでしょうか。

自分が免職されようと、それだけ約束というものが大事なことであるということを国民に示すべきなのに、国民の声によって簡単にその意見をひっくり返した、という事実を忘れてはいけません。

韓国の思惑と根幹

要するに、都合の良いことを国際社会に並べ立て、また国際社会をだますようなことを、今回は北朝鮮だけでなく韓国もやってのけただけなのです。

つまり朝鮮戦争の終結など端からやる気などなく、経済的な援助をもらえれば終わりという会談だったと見るのがまともでしょう。

だから中身など何もなく、手をつないだ写真を撮らせるというパフォーマンスを行ったのではないでしょうか。

韓国経済も財閥の力が強くなりすぎ、現在の政権には財閥を解体して国民一人一人が豊かな暮らしを送れるような政策能力がありません。

凡そ、従軍慰安婦の見舞金などは韓国の財閥に行き、その当事者に全く補償がされていないことがこの従軍慰安婦問題の根幹なのです。

勝手に財閥に使って、当事者たちに見舞金が回らない事態を日本が作ったとは到底思えません。

韓国サイドの問題であって、日本の問題ではないと思うのが日本人であれば当然だと思います。

しかし、日本はドイツのように、何か言われればひたすら謝罪をしなくてはならない、という謙虚な気持ちも必要です。

この結果に対してアメリカは。

安倍首相は、この合意の履行を注視していると語っています。

トランプ大統領はこの合意に対して歓迎するとコメントしました。

しかし、アメリカのやり方は狡猾です。

アメリカは駐韓大使にハリー・ハリス太平洋軍司令官(予定では5月退任予定)を指名(※文末にて訳注)しています。

この人物は「日系」のアメリカ人です。

要するに表で歓迎すると表明し、影で日系アメリカ人を駐韓大使に指名(内定)したのです。

要するに韓国なんてちっとも信用していないし、北朝鮮はもっと信用していないと言っているのに等しいことです。

もし、韓国のことを本気で信用をしているのであれば、韓国系のアメリカ人か何かしら韓国に縁のある人を指名するのが通常なのですが、指名(※)したのは日系アメリカ人です。

しかも、このポストは1年以上空席のままだったのが、いきなり指名(※)をしたというのが偶然と言えるのでしょうか。

意図的としか考えようがありません。

会談に対しての結論

結局のところ、誰も今回の合意など信用していませんし、友好ムードなんて政治の当事者は端から信用していません。

南北の指導者も最初から援助と結果が欲しいだけの会談ということは承知しているのです。

ですから、パフォーマンスだけと言えます。

これで5-6月に予定される米朝会談がうまくいくのでしょうか?

歴代のアメリカ大統領は北朝鮮の言うことを信じ援助はしましたが、これを喰い逃げされると無視をしました。

トランプ大統領はそういうことを許す性格でしょうか?

そういうことを許さないから「変わった」大統領なのですよね。

つまり世間の評価は間違いで、危機は逆に上昇をしていると考えるのが妥当なのです。

朝鮮半島からの金の価格

「有事の金買い」という言葉は金投資の世界では代表的な格言です。

現在、アメリカは減税によって財政赤字が膨らんでいます。

一方で、ドルは去年一年間安く推移をしましたが、今年は国際協調によってドル高に転換するでしょう。

ドル高になれば、アメリカ債券を買う投資家、国家は増えるでしょう。

債券が多く売れれば、対北朝鮮に対しての戦費が調達できる可能性が高くなります。

要するに去年の4月からトランプ大統領はシリアや北朝鮮を挑発していますが、去年は財政赤字と戦費の問題で積極的には仕掛けられませんでした。

それが今年はドル高によってより多くの国家、投資家がアメリカの戦費調達に貢献することが予想されます。

アメリカの世論はアメリカの財政赤字への反発が強く、財政赤字というのは非常にナイーブな問題です。

特に大統領支持率にとっては。

この財政の問題が解決すれば、米朝会談を経て、対外戦争の勃発も十分に視野に入れることも可能です。

ただ、戦争が勃発をして『金の価格が上昇するか』といえば現時点では疑問だと思います。

『戦争で金が上がる、のではなく、国家の信用が下がるから金が上がる』というのは過去でもご説明させて頂きました。

▼バックナンバー▼
戦争と金[北朝鮮、その他のリスクに関して]
https://kinkaimasu.jp/gold/column/between_war_and_money/

また最近、ドル建て金価格は下落をしていますが、円安の進行によって国内の金価格は上昇しています。

しかし、ドル高がまだ完全に確定をしていないから国内の金価格が上昇するのであって、ドル高が確定したときにそれ以上にドル建て金価格が下がるとみています。

このパターンはいつものことですが要注意です。

※訳注
2018/05/03時点では駐韓大使にハリー・ハリス太平洋軍司令官は内定となっておりますが、記事では『指名』としております。

コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください