金利の動向
今までご説明してきましたように、現状の金はドルの上下動ではなく、金利で動いています。
その理由は、ドルの上下動の振幅が近年極端に減っている一方、金利の上下動は10年物金利で年初2.7だったものが、現在1.8というように40%も動いているからです。
ゆえに、金利で動いていると言えるでしょう。
今までは金の動きを検証することによって、金利で動いていることを証明してきましたが、今回は、金利の動きから金の価格の将来を示していきます。
上記は、10年物金利の2019年からの動きです。
上記のグラフのように、年初2.7%台だった金利が直近10月22日には、1.8%近辺になっています。
ドルの値動き
参考までに、ドルの値動きも掲載しておきます。
下記はいつもの実効為替レートではなく、ドルインデックスです。
年初96.2程度だったものが、現在97.5程度になります。
その変動率は、金利が年初から40%近く動いているのに対して、ドルは1.3%しか動いていません。
金市場は、今まで主にドルを中心に動いていましたが、現在では金利変動の方が大きいので、金利を中心に動いているのです。
今回からは、未来の値動きを占っていきます。
金価格の推移
以下はいつもの10年債利回り(黒)、金(青)になります。
去年の9〜10月ころに金は底値を打つと当コラムでも予測して、7月に頭の時期がずれ、9月になっています。
そして、再び11月に頭を取ると予測しています。
上記のグラフは、左端の黒い線、金利が下がる度に金は上昇していきます。
そして、9月に金利が上昇したので、金が頭を打ったのです。
これで、だいたい、金が金利に連動しているのはおわかりになったと思います。
参考までにほかの金融市場、株式や為替、そのほかの商品相場も皆、金利を中心に動いています。
例えば株式はその典型で、10月に入ってアメリカの金利が上昇しているのでアメリカ株式が軟調になっているのです。
決して、米中貿易戦争で景気が後退しているからではありません。
金利が上昇しているから株式が軟調な状態なのです。
未来はどうなるか?
下記は、その上のグラフの期間を縮小したものです。
今年の8月1日から10月22日までのものです。
グラフがゴチャゴチャになっていますので、わかりにくいと思いますが、金利の低下のたびに金が上昇し、9月中旬に金利が1.9を付ける過程で金は急落しています。
ここまでは過去の検証になります。
では、未来はどうなるかの話です。
まず、金の価格の未来を予測するのには、金利が将来どうなるか見みなければいけないのは、ロジカルに考えれば当然です。
金利の動きに連動しているのですから、金利の先行きを見ればいいだけなのです。
金利の推移を再確認
ここでもう一度、金利の推移を見ていきましょう。
9月に金が最高値を出したときに、金利は最低金利になっています。
そこから揺り戻しがあり、大きく金利は1.9まで上昇し、9月末にもう一度、前回の安値は下回っていませんが、1.5程度まで下がりました。
これはテクニカル分析で、前回の安値よりも今回の安値1.5近辺を安回らなければ、この相場は底を打つというダウ理論という理論がメジャーになります。
この場合、テクニカル分析をしている人たちはこの金利が安くなる傾向が終了して、今後は金利が上昇すると予測します。
しかし、この金利の傾向が底を打つとは考えられません。
理由は、もっと長期の金利傾向を見ればおわかりになります。
長期の金利傾向
金利は、以下のグラフの通り1980年前半から2019年まで約20年間下がり続けていました。
約20年下がり続けた金利は、そう簡単には底は打たないものです。
こういった大きい相場では、大底を打つ場合には、もう一回とんでもない安値が出るのが経験則です。
このテクニカル分析では金利は買いと出ますし、上記のグラフでも3つの安値を形成しているので底の確率は高いです。
ただ、底を打つのにはボラティリティーが足りないと判断されます。
現状は、まだ、安値を探っている段階です。
ゆえに金はまだ高いと言えます。
もう一つの材料
もう一つの材料は、月末のFOMCです。
このFOMCでは利下げが予測されます。
以前に政策金利と市場金利の違いは説明しましたが、もう一度、説明しておきます。
政策金利とは、中央銀行(FRB)の誘導目標金利のことです。
例えば、FRBが誘導目標金利(FFレート)を2%と決定すると、FRBの委託を受けたNY連銀は、国債市場の1年物の金利を2%に近くにするように市場に介入します。
この介入している市場を市場金利というのです。
この誘導目標をFRBを下げる可能性が高いのです。
現在、1年物の金利が1.6程度なのに対して誘導金利は1.75〜2.0になります。
政策金利と市場金利が乖離をしていますので、FRBは介入をして市場金利は上昇させるか、FRB自身が誘導目標金利を下げるほかないのです。
7月に失敗をしたのは、この市場金利を介入することによってFRBは誘導目標金利に近づけると予測したのですが、トランプ大統領が周知のように、「金利を下げろ」とFRBを恫喝したように、FRBはトランプ大統領に従い私の予測とは逆の市場金利を下げたのです。
そのFRBが市場金利と、政策金利が乖離している問題をどうするかが10月末に発表するのです。
ロジカルに予測すると…
今までの経緯から考えると、金利を下げるのが妥当のようにしか見えません。
もう一度金利を見れば、10月22日までの足が入っていますが、10月22日はわずかに金利が性っています。
これは日本のマーケットが即位の礼によってお休みだったこともありますが、月末のFOMCを意識して、金利が下げに転換するサインでしょう。
FRBが利下げするのが濃厚なのに、テクニカルが買いになっているという矛盾する結果が出ていますが、この場合はFRBが利下げする姿勢は濃厚なのに、金利が上昇して行くはずがありません。
テクニカルの致命的な欠陥は、根拠がないということです。
根拠がわからない場合には、どこで間違えたのかがわかりません。
そういうものを全面的に信用するのは、科学を信じていないことにもなります。
つまり、ロジカルに考えると、月末にかけて金利は下がるということです。
金価格はどうなる?
金利が下がれば、金は上昇になります。
ゆえに、10月に入って金は動いていませんが、金利が下がってくれば再び上昇してくるでしょう。
しかも急騰してくるでしょう。
日本の場合も同じで、円建ての金は、日本の金融政策決定会合待ちになり、これも10月末に開催されます。
この場合、コンセンサスは現在、利下げをする、しないで半々に分かれています。
この根拠は、先月の金融政策決定会合後に黒田総裁が「金融緩和(利下げ)を検討している」と明言をしたことです。
さらに言えば、欧米が利下げしているのに、日本だけがしないのはあまり考えられないということになります。
ゆえに、10月の終盤にかけて金は上昇するというのです。
その値段は、アメリカの金利の下がり具合によるでしょう。
金利が1.5を切っていくと、金は最高値を更新すると言っています。
1年債の動向から
今まで10年債で解説しましたが、参考までに52週(1年)債を掲載します。
10年債は10月に戻りましたが、1年債はさらに下がっているのが現状です。
1年債が安値を更新するのが確定すれば、金の価格は上昇します。
さて、その金の上昇がいつまで続くのでしょうか?
次回、また解説していきたいと思います。
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