世界の資源を独占!三大資源メジャーの一角「リオ・ティント」
リオ・ティント社は世界でも5本の指に入る巨大資源メジャーのひとつです。
特に鉄鉱石、銅、アルミニウム、そしてウランなどの重要な鉱物ではトップを争う生産量を誇り、かつ本拠地オーストラリアとカナダに優良なダイヤモンド鉱山を所有しています。
特にオーストリアのアーガイル鉱山は、過去40年にわたってピンクダイヤ採掘量の大部分を産出してきました。
世界中の宝飾業者から注目される「アーガイル・ピンクダイヤモンド テンダー」と呼ばれる入札会には限られた顧客のみにピンクダイヤが分配されます。
(デビアス、アルロサ同様に、リオ・ティントも本当に貴重なダイヤモンドは限られたブランドあるいは最優良顧客以外に渡しません)
同社経営陣によれば過去20年間のあいだにピンクダイヤの価格は5倍以上に上昇。
2020年のアーガイル鉱山が閉山した後、どれほどの高値がつくのか全く予想がつかない状況です。
この記事では、世界の鉱物資源を手中に収める巨大資本「リオ・ティント」のダイヤモンド採掘事業にフォーカスしてみました。
リオ・ティントの創業から現在までの歩み
リオ・ティントはイギリスとオーストラリアにリストされている大資源メジャーです。
19世紀の帝国主義・植民地時代にまでさかのぼるリオ・ティント社のカンパニー・ヒストリーを追ってみました。
1873年ロスチャイルド資本による銅鉱石採掘企業としてスタート
リオ・ティントはロスチャイルド財閥が所有する名門銀行「ロスチャイルド&サンズ」によって1873年に創業しました。
もともとはオーストラリアではなく、スペイン南部の銅鉱石採掘企業としてスタートしました。
リオ・ティントの名は当時の採掘場所であった、ローマ時代にさかのぼる世界最古の鉱山といわれるウエルバ州・リオティント鉱山から命名されました。
1950年半ばに売却されるまでこの鉱山はリオ・ティント社のシンボル的存在でした。
1995年イギリス・オーストラリアで二元上場
創業後は吸収・合併を繰り返してきたリオ・ティントは、1995年イギリス(Rio Tinto plc)・オーストラリア(Rio Tinto Limited)として、それぞれの株式市場に上場することを選択しました。
この時からリオ・ティントは二元上場企業という形式で成立する、巨大コングロマリットを形成することに。
1983年からアーガイル鉱山採掘事業スタート
リオ・ティントのダイヤ採掘事業はオーストラリアのアーガイル鉱山を中心として行われてきました。
1983年から始まった本格操業からまもなくして稀少価値の高いピンクダイヤが産出されたことで大きな話題を呼びました。
以来ピンクダイヤモンドの供給量の9割以上は、このアーガイル鉱山で算出されています。
しかし、アーガイル鉱山全体で採掘された8億カラット以上のダイヤモンド原石の中で、ピンクダイヤはわずか0.01%に過ぎません。
そしてついに2020年に閉山が決定し、今後のピンクダイヤの価格高騰が予想されています。
選ばれし顧客のみが知る「アーガイル・ピンクダイヤモンド テンダー」
世界で最も希少なアーガイル鉱山産出のピンクダイヤモンドの入札会が「アーガイル・ピンクダイヤモンド テンダー」です。
世界中から選ばれたおよそ150のお客様を内覧会に招待し、これらの希少なダイヤモンドの入札が行われます。
日本国内では人気番組「マツコの知らない世界」や宝石専門チャンネル「GSTV」で、名物宝石ディーラー「カピル・ミタル」さんが紹介したことで一気に知名度が上がりました。
リオ・ティントが所有する鉱山・ダイヤモンド原石の特色
世界のピンクダイヤはこの鉱山から!「アーガイル鉱山(オーストラリア)」
アルロサのミール鉱山がブルーダイヤの供給源とすれば、リオティントのアーガイルダイヤモンド鉱山はピンクダイヤの生産を一手に担ってきた存在です。
そしてピンクだけでなくブルー、バイオレット、シャンパンカラーなど、アーガイル鉱山から産出されるファンシーカラーダイヤモンドは宝石バイヤーたちから垂涎の的となってきました。
ハリー・ウィンストンとタッグを組んだ「ダイアビック鉱山(カナダ)」
いまやカナダは世界のダイヤモンド生産の中でも最重要視されるエリアです。
良質で豊富な埋蔵量が期待できるカナディアンダイヤモンドですが、その採掘作業は容易ではありません。
なにしろ北極圏からわずか200キロメートルしか離れていないノースウエスト準州に鉱脈があり、その採掘作業は過酷を極めます。
リオ・ティントが60%の持分を所有するダイアビック鉱山(残り40%はペトラ・ダイヤモンズが所有)は大きな湖の底にあり、地下の巨大トンネルの中で採掘作業が行われています。
現在年間600~700万カラットの宝石品質のダイヤモンドを生産しています。
リオ・ティントのダイヤモンド採掘は終わらない!「プリンス・アルバート鉱山(カナダ)」
2020年にアーガイル鉱山が閉山、その数年後にはダイアビック鉱山の閉山が予想される中、リオ・ティント社のダイヤモンド採掘事業撤退もうわさされていました。
しかし、リオ・ティントのダイヤモンド・ビジネスへの意欲は失われていませんでした。
2019年11月にカナダサスカチュワン州のダイヤモンド鉱山採掘事業のため、現地企業スターダイヤモンドコーポレーションの60%株式を買い取ったと発表されました。
この鉱山の寿命は34~5年あるといわれておりダイアビック鉱山に代わる存在として期待されています。
リオ・ティントについてのトピックス!希少ダイヤモンド情報など
大資源メジャーであり、高配当優良企業のリオ・ティント社の話題が経済誌に取り上げられない日はないといっていいでしょう。
2019年には石炭事業の完全撤退や、日本のコマツ自動車他と共同し無人鉄鉱石運搬トラックの導入などが大きく報じられました。
ここではリオ・ティントのダイヤモンド関連のビッグニュースをピックアップしてお伝えします。
原石サイズ13.4カラット!最後のピンクダイヤ「アーガイルドリーミング」
2020年の閉山をしのぶかのようにアーガイル鉱山のメモリアルストーンとなったのが2019年に採掘されたピンクダイヤ「アーガイルドリーミング」です。
希少性が高いピンクダイヤモンドの平均カラット数が 、アーガイルドリーミングの原石サイズは驚異の13.43カラット!
3.55カラットそして1.08カラット×2にそれぞれラウンドブリリアントダイヤモンドにカットされゴージャスなネックレスとリングに加工されました。
合計673個ものアーガイル鉱山の希少ファンシーカラーダイヤモンドともに製作され、その価格はなんと110万ドルです!
ピンク、ブルー、バイオレットなど極上のカラーダイヤモンドを産出してきたアーガイル鉱山の40年間の歴史を締めくくるにふさわしいピンクダイヤです。
パーフェクトな八面体ダイヤモンド!「アーガイルオクタビア」
ピンクダイヤで知られるアーガイル鉱山ですが、ホワイトダイヤモンドにおいても希少ピースを産出しています。
原石サイズ28.84カラットの「アーガイルオクタビア」はまるでカットされた可能な完璧な8面体をしています。
187.7カラットの妖しく光る「フォックスファイヤー」
ダイアビック鉱山で産出された187.7カラットのイエローダイヤ「フォックスファイヤー」は大きさもさることながら、暗い場所で明るい青色に発行する不思議な特徴を持っています。
スミソニアン博物館で呪いのダイヤとして知られるホープダイヤモンドと並べて展示された後、は2つにカットされ、それぞれ130万ドルで売却されました。
今後のリオ・ティント社の展望を占う!
多くの鉱物資源の採掘権を所有するリオ・ティントは今後もダイヤモンド採掘のトップグループを占めるのでしょうか?
長くリオ・ティントの名をダイヤモンド業界にとどろかせてきたピンクダイヤの供給源アーガイル鉱山は2020年に閉山されることがすでに決定。
しかし同社にはまだ有望なダイヤモンド鉱山がカナダに残されています。
そしてなにより経営陣みずから「わたしたちはダイヤモンド採掘事業を愛している」と断言するほどに、ダイヤモンド事業への意欲は意気盛んのようです。
【ダイヤモンド採掘企業TOP5徹底解剖!】
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