ダイヤモンド採掘企業TOP5徹底解剖!カナダ「ドミニオン・ダイヤモンド」

元ハリー・ウィンストンの鉱山部門「ドミニオン・ダイヤモンド」

「ドミニオン・ダイヤモンド Dominion Diamond」は、カナダの2大ダイヤモンド鉱山である「ダイアビック鉱山」「エカティ鉱山」の採掘権を所有するダイヤモンド原石採掘企業です。

リオ・ティントの委託研磨業者として、ハリー・ウィンストンへのダイヤモンド提供業元として勢力を伸ばしてきた地元企業「Aber Diamond」が前身です。

現在ではハリー・ウィンストンを買収した後の鉱山部門を継続させ、デビアス、アルロサに続く三番手として、世界のダイヤモンド・メジャーの仲間入りを果たしています。

またカナダ政府による完全なトレーサビリティシステムによる「カナダマーク」ダイヤモンドのブランドの代名詞でもあります。

この記事ではカナディアン・ダイヤモンドを代表する「ドミニオン・ダイヤモンド社」についてご紹介します。

ドミニオン・ダイヤモンドの創業から現在までの歩み


ドミニオン・ダイヤモンドの歴史はカナダのダイヤモンド鉱山ともに始まりました。

そして同時に世界で最も有名なジュエリーブランド、ハリー・ウィンストンの鉱山事業を引き受けた経緯から同じブランドネームを社名として選択しため、多くの人々を混乱させてきました。

ここでは順にドミニオン・ダイヤモンドのカンパニー・ヒストリーをたどってみました。

ドミニオン・ダイヤモンドの前身「Aber Diamond」

ドミニオン・ダイヤモンド、そしてダイアビック鉱山の歴史を振り返るとき、「Aber Diamond」の名を忘れるわけにはいきません。

Aber Diamondは、ダイアビック鉱山の発見者であり、2003年からリオ・ティントと40対60のパートナーシップ提携を汲むことでダイヤモンド採掘をスタートさせました。

2006年ハリー・ウィンストンを買収

2004年にAber Diamondはアメリカ・ニューヨークを拠点とするハリー・ウィンストンの株式51%を買収。

さらに2006年にはついにハリー・ウィンストン株の所有権を100%完全買収を成立させ、同時に社名を「ハリー・ウィンストン・ダイヤモンド」に変更しました。

2007年には上場ダイヤモンド企業としては最高株式価格をマークしました(デビアス他のダイヤモンドメジャーは非公開)

2013年スウォッチ・グループがハリー・ウィンストン買収

スイスの時計メーカー、スウォッチ・グループがハリー・ウィンストンの宝飾部門を買収することが決定しました。

買収対象から外れた鉱山事業が「ドミニオン・ダイヤモンド」として継続することとなりました。

ドミニオン・ダイヤモンドが所有する鉱山・ダイヤモンド原石の特色


2010年代に入ってからというもの、ダイヤモンド・メジャーたちは自社の採掘権のトレードを繰り返してきました。

ドミニオン・ダイヤモンドの二つの主力鉱山も例外ではありません。

ここでは極北の地に眠るダイヤ鉱脈を抱く二つの大鉱山「ダイアビック鉱山」「エカティ鉱山」についてご紹介します。

ダイアビック鉱山

ノースウェスト準州のラック・デ・グラス湖(イーストアイランド島沖に位置する)の湖底にある巨大なダイヤモンド鉱脈です。ドミニオン・ダイヤモンドとリオ・ティントが共同で採掘をすすめています。

エカティ鉱山同様にジェム・クオリティの原石が多く、「フォックスファイア」はじめ何百カラット級の巨大ダイヤが次々と発見されています。

エカティ鉱山の採掘スタートから5年後の2003年から生産を開始。現在では年間600~700万カラットの生産量が確保されています。

エカティ鉱山

エカティ鉱山はカナダ国内最初に開発されたダイヤモンド鉱山です。

カナダのダイヤモンド採掘の大拠点ノースウエスト準州のイエローナイフからさらに北東310キロメートルの北極圏に位置し、1998年から本格的に採掘がはじまりました。

アフリカのダイヤモンド鉱山と比較すると、キンバーライト鉱石内のダイヤモンド含有量では落ちるものの、エカティ鉱山で採掘されるダイヤモンドはほとんどが宝石として利用できる質の高さを誇ります。

資源メジャーのひとつ「BHP Billiton」が所有していたただ一つの鉱山で、その後80%の権益をハリー・ウィンストンが購入。

この取引によりBHP Billitonはダイヤモンド事業から撤退することになりました。

さらにその後スウォッチ・グループのハリー・ウィンストンブランド買収対象外となった鉱山部門がドミニオン・ダイヤモンドとして再出発を果たしました。

ドミニオン・ダイヤモンドについてのトピックス!希少ダイヤモンド情報など


ダイアビック鉱山そしてエカティ鉱山という世界でも有数のダイヤモンド鉱山の採掘権を握るドミニオン・ダイヤモンドはダイヤモンド関連トピックに事欠きません。

ここでは中でもここ10年の間に大きな話題を呼んだトピックを取り上げました。

2018年552.74カラットのイエローダイヤモンド発見

ディアビック鉱山では北米でのダイヤモンド採掘における最大カラットのレコードが更新されました。

鶏の卵と変わらないサイズ、552.74カラットのイエローダイヤモンドが発見されたのです。

2015年に同じくダイアビック鉱山で発見された187.7カラットの「フォックスファイヤー」をはるかに上回るカラット数を記録し大きな話題となりました。

2019年元CEOが合成ダイヤモンド企業を立ち上げ

12月にドミニオン・ダイヤモンドを去ったパトリック・エバンズ元CEOが、ブライダルジュエリーを主力とする合成ダイヤモンドブランドを立ち上げると発表しました。

天然ダイヤ資源の持続的な可能性に悲観的な同氏は、安価な太陽光発電を利用できる米国で合成ダイヤモンド企業をスタートさせることを決断しました。

2020年にトロント証券取引所での株式公開が予定されています。

今後のドミニオン・ダイヤモンド社の展望を占う!


ドミニオン・ダイヤモンドの最大の強みは、若い世代が要求する「産地が明確」「安心できる」「健全な」エシカル・ダイヤモンドを提供できる点にあります。

カナダ・マーク認証を持つドミニオン・ダイヤモンドのダイヤモンドは、

  • カナダで採掘されたダイヤモンドであること
    (血塗られた紛争ダイヤモンドである可能性はゼロ)
  • 人工的な処理がなされていないこと
    (不自然な加工とは無縁の大地から産まれた天然ダイヤ)

が保証されます。

これらの条件は今後ダイヤモンドを購入し楽しむ主力購買層となるミレニアル世代のライフスタイルにフィットするものです。

そのうえ、WEB上でシリアルナンバーを入力すれば、採掘された鉱山まで追跡できるトレーサビリティを備えています。

ドミニオン・ダイヤモンドは現代の消費者が求めるダイヤモンドを提供できる、理想的なダイヤモンド企業の代表的存在といえます。