経済指標の王様GDP

11月14日は7〜9月の日本のGDPの発表でした。

11月の資金需要の強い時期を過ぎ、アメリカ長期金利が低下する兆候が見られることから、金価格を推測していきます。

国別で日本はGDP3位の経済大国だが…

経済指標の王様は、GDPであるというお話を何度もしてきました。

日本の国力はGDPから推測されるものです。

世界の経済大国1位、2位、3位とは、このGDPから推測しているものであり、アメリカが世界の経済大国であるのはGDPが世界1位だからです。

日本は世界3位と言われていますが、これは国別で3位という意味で、共通通貨ユーロ圏のEUを含めると、世界4位になります。

ユーロ圏は国家ではなく経済圏ですので、日本は国別だと3位です。

ヨーロッパ経済は、ドイツの低迷やイギリスのブレグジットなどで低迷していますが、経済規模は日本や中国を凌ぎ世界2位でもあります。

ただし、ユーロ圏の2位とは、ドルの強さに左右されており、現在、ドルは30年前と比べ5割ほど減価されていますので、ドル建てでは2位ですが、ユーロ建てでは世界1位の規模になります。

世界の覇権は欧米が握っているのが現実

圧倒的な存在感を誇る欧米のGDP

経済の覇権はアメリカとユーロで握っており、日本や中国は「お呼びではない」というのが実際のところなのです。

その上に軍事的優位もアメリカとユーロが握っていますので、実質世界の覇権は、欧米が握っています。

いくら中国が躍進していると言っても、所詮、欧米の前ではまだまだ弱小国です。

ただし、中国の人口14億人、日本1億人の15億人に対して、ユーロ5億人、アメリカ3億人という人数で比較すれば、将来はアジアが欧米を上回る可能性は非常に大きいとも付け加えておきます。

GDP成長率は前年比で表す

経済指標の王様はGDPであり、その成長率何パーセントというのは、前年と比べて何パーセント伸びているかの数字になります。

具体的には、リーマンショックのあった年とその翌年を比べれば、間違いなく翌年の経済成長のほうがよいわけです。

前年のスタート台が低ければ低いほど、翌年の成長はよくなりますし、また高ければ高いほど、その翌年は経済成長が悪くなります。

2018年、アメリカは年初に法人税減税を決定しており、高い成長率を示現していました。

つまり、前年の経済成長は爆発的だったのですから、今年のアメリカの成長は悪いのです。

メディアは「今年のアメリカの成長が悪い、景気が悪い」と大騒ぎしていますが、去年からわかっていたことであり、米中貿易摩擦によって景気が減速しているのではなく、去年は法人税などの減税があったから、今年は減速しているように見えるだけになります。

表にすると、

アメリカ
2018年  法人税などの減税  →絶好調
2019年  材料なし      →絶好調でもないし、不調でもない、普通に好調

ということになります。

今年の日本のGDPは?

GDPというのは、絶好調の翌年は、たいがい悪くなります。

では、日本の去年がどうだったのかを思い出してください。

今年の台風15、19号の影響のほうが記憶に新しいのですが、去年もひどいものでした。

関空の連絡橋が船が衝突したことによって通過不能になったのに代表される台風21号、9月には北海道で巨大な地震が起こっています。

ですから日本は今年、通常ではよくなるはずですが、ご存知のように台風15、19号が関東地方を水浸しにしてしまいました。

その結果、7〜9月のGDPは以下の通りです。

参照元:TRADING ECONOMICS

上記は日本の年率の成長のグラフになります。

まだ、本年7〜9月期は埋められていませんが、その数字は0.2です。

コンセンサスは0.8だったので、大きく株価や為替が売られたのは当然のことになります。

去年の7〜9月期が0.1だったのですから、本来、今年は大きく成長するはずだったものが、台風15、19号によって0.2になってしまったということです。

数字上、日本経済は年々よくなっている

実感はないかもしれないが、日本経済は年々よくなってきているということを覚えておいてほしい

考えてほしいのは、去年と比較して0.2ということは、去年よりも成長しているということです。

「景気が悪い」と騒いでいる人が大勢いますが、それは単なる感情であり、理性的な意見ではありません。

数字上、日本経済は年々よくなっているのです。

不景気だと感じるのには、それなりの数字がありますが、日本全体では景気はよくなっています。

GDPから日本の将来を占う

10月に関東を襲った台風19号の影響によって浸水した横浜の風景

今後、考えなくてはいけないのが10〜12月の数字です。

10月は消費増税があり、台風19号が襲来して関東地方を水浸しにした影響があった月です。

ただし、昨年10〜12月の数字が0.3と低調になっていますので、今年の10〜12月も悪いだろうけど、マイナスではなく、かと言って消費税と台風の影響もあり、結果としてよくもならない成長率になると思われます。

去年の10〜12月の数字が悪かった背景は、主に中国経済の低迷とアメリカの株価が急落しているという外部要因によるものです。

国内で災害が多発して、その復興需要と相殺されました。

では、今年の10〜12月は台風19号の復興があり、消費税の影響は現時点ではそれほど大きくない…。

外の要因である中国、アメリカもそれなりに好調であれば、悪くはならないと言えるでしょう。

日米GDP成長率比較とドル円の強弱

なぜ、このような話をしているのか説明します。

金の価格決定要因の主な2つは、

① ドルの上下動(対円ではドル円)
② 金利

です。

以上の説明は、①のドルと円の国力の説明をしたものになります。

下記のグラフは、日米双方のGDPの年率成長率を表しています。

参照元:TRADING ECONOMICS

アメリカ

参照元:TRADING ECONOMICS

日本

今年7〜9月の日米を比較してみると、

アメリカ2.0>日本0.2(まだグラフに描画されていない)

になります。

つまり、アメリカドルは日本円に比べて強いということが言えます。

ドルが強いということは、金の下げ材料になると思った方は正解です。

現状ドルは年間3%程度しか上下しないのに対し、金利は年間50%近くの変動率があるので、金利が金価格の主な要因になっています。

ドルが強い以上は、金価格の下落要因になりますが、このドルが強いことが金のさらなる下落要因にはならないということです。

金利面での動き

金利が上昇すればするほど金の価格は下がり、金利が下がれば下がるほど金価格は上昇するというのが金の変動要因でした。

では、日本とアメリカの10年物金利の動きを貼り付けます。

アメリカ

11月13日を境に金利が下がり始めています。

日本

日本も同様に金利が11月13日を境に下がり始めています。

金の動き

金になりますが、金も同様に11月12〜13日にかけて底打ちの動きになりました。


つまり、最近の金の急落は、金利が急騰したからです。

すなわち、金利が反転、下落になれば、金は自動的に買いになるということです。

ドルと金利と金価格のアップダウンの相関

ドルが強いということは、金が下がるということですが、その割合は、金利のほうが大きく、ドルの強さはあまり関係がありません。

ただし、金が本当に強くなっている相場とは、

① ドルが弱い
② 金利が下がる

という条件が必要ですが、現状は、

① ドルが強い
② 金利が弱い

なので、金が急騰することはないという予測になります。

そして、逆に金の急落は、

① ドルが強い
② 金利が急騰

という状態になったときと考えればいいのです。

今、高値圏にある金が急落するときとは、金利が急騰するときです。

すなわち、今月の頭から金利が急騰したので、金が急落したのです。

それが底を打つときは、金利が反転したときと考えてください。

今後の日米経済成長率の展開

日米の経済は今後どうなる?

まず、ドルの強さに関しては、現状がアメリカ2>日本0.2でアメリカが強いわけです。

では、10〜12月に日本のGDPがアメリカ並みの2になる可能性があるかというと、上記でも示しましたが、やはり台風19号と消費増税という材料があり、夢のまた夢です。

アメリカの場合、去年は金利高によって株価が急落したことにより、去年の10〜12月期の数字は2.5という前期の3%台と比較するとよくも悪くもない数字でした。

ただ、株価は11月に入っても新高値を更新していることかから、2.5前後になるでしょう。

日本の10〜12月は、今期と変わらずの0.2程度と想像すると、やはりドルが強く円が弱いという形で円安になるでしょう。

今後の金価格予想

一方の金利は、前回も説明しましたが、結局11月という時期は、年に一番のセールスのあるときに向けて、アメリカ国内の製造業が借金をしても年末商戦に向けてフル稼働し、商品やサービスを製造するときです。

言い換えれば、金利が上昇して当たり前なのです。

その資金需要もだいたい11月の前半で例年終わるのですが、今年は中旬まで金利が上昇してしまいました。

こうした経緯から「アメリカの景気が悪い」なんて報道はウソっぱちという論理的説明もできますが、金利が下がれば、金の価格も上昇するということになります。

つまり、上記のように①②で書いていくと、2019年10〜12月期の金は、

① ドルは強い
② 金利は低下

この①と②を比較すると①<②になるのですから、金の価格は暴騰しないまでも上昇はすることになります。


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