令和時代、今後は何が起こるのか?

平成は金融の時代だった

前回は、平成の30年間を振り返りながら、現在、日本経済復活のきざしが見えてきていることを説明しました。

今回は、これを踏まえた上で、これからの令和の時代に起こると予測される社会や経済の変革、日本が抱えることになるであろう課題等について解説します。

平成の金融機関統合の中で、東京銀行と三菱銀行の合併で生まれた東京三菱銀行と、三和銀行と東海銀行が合併してできたUFJ銀行とが統合して誕生した日本最大のメガバンクである三菱UFJ銀行

平成、そして21世紀の初めは金融の時代でした。

ITバブルの発生と崩壊によって21世紀はスタートしましたが、その主役は金融です。

理由は、日本において金融が大きな変革を遂げたことにあります。

それまで銀行は大蔵省による護送船団方針での保護行政でしたが、日本をはじめ世界的に金融の規制撤廃が大きく進行したのです。

その結果がリーマンショックです。

つまり、あまりにも金融を自由化しすぎると、あのような事件が起こるということを示しています。

平成の初めの金融業界が赤ちゃんだったとすれば、平成の終わりから令和の始まりにかけて、金融はようやく大人になりました。

大人になってからの成長が停滞するのと同様、金融もある程度は成長するでしょうが、爆発的な成長は見込めないということになります。

令和の主役

とうとう時代の主役にITが躍り出る

平成の時代は、バブルの勃興と崩落によってITが注目されていませんでした。

令和には、それが主役になるでしょう。

思い出してほしいのは、昭和のころからすでに金融機関の崩壊は進行していた点です。

昭和の終わりには、大手金融機関が大蔵省の護送船団方針にもかかわらず崩壊していますが、元号の変更であまり注目されなかったのが、1997年に本格化したのです。

アメリカでも前後して日本の信用金庫にあたるS&L危機という金融機関の倒産が多発しています。

日米で起こったのは金融の爆発的な成長、そして崩壊だったのですが、ITではそれが起こっていなかったのです。

わずかに起こったのは日本の全国的な詐欺事件になった光通信事件のみです。

要するに、ホリエモンの粉飾決算の走りと捉えればいいでしょう。

架空の電話契約を決算に計上して、それが露見し倒産したという事件になります。

そこから大きな事件が起こっていないのが実情です。

平成の始まりは携帯電話でしたが、おそらく今後ITの主役となるのは、完全にそのネットワークを構築する電波になるでしょう。

ソフトバンクの大赤字こそが大事件への序曲

ニューヨーク市に本社を置く、起業家向けのコワーキングスペー提供会社であるウィーワーク

令和開始早々、いきなりソフトバンクが大赤字決算になっていますが、これこそが大事件への走りになるでしょう。

そもそも、ウソの報告をしたウィーワークなる会社に投資をした孫正義という人物に企業を見る目がないのに、追加融資をしている時点で、いずれ貸した金を取りっぱぐれることになるだろうと予想されます。

要はウソつきが「ウソをついてました」と認めてお金を引っ張りだしただけの話です。

そのウソつきの性格が短期間で治るわけがありません。

つまりソフトバンクは、出資を止めたらそのお金が焦げつくのを嫌っただけの話で、最悪の経営判断になるわけです。

貸した会社のオーナーは再びウソをついて、最終的に焦げつくという構図です。

その場合、ソフトバンクは携帯事業も危ういので、相当ヤバい状況になると思われます。

実は平成初期の金融の混乱とそっくりな状況

日本最大にして世界でもトップクラスのシェアを誇るトヨタ自動車

車の世界も、世界のトヨタでさえも「生き残り競争だ」と言っている通り、ライバルはベンツやフォルクスワーゲンではなくグーグル、アマゾンになるわけです。

金融業界の平成史は、都民銀行というわけのわからない金融庁OBの銀行がやはりインチキで倒産したように、アマゾン、グーグル、テスラの参入はうまくはいかないと思われます。

しかし、日産の社長であったカルロス・ゴーンが身勝手な事件を引き起こしているように、モラルが劣っているのはよくわかります。

その後のリコールの大発生を見れば、モラルなどこの業界にはちっともないのがよくわかるでしょう。

まるで平成初期の金融の混乱とそっくりな状況です。

自動車にも携帯にも業界再編の波が来る!?

平成の銀行の大合併に続き、令和は世界規模で自動車メーカーの合併が起こる!?

とは言え、さまざまな状況の中を金融業界も生き残ってきています。

ただし、生き残りはするでしょうが、銀行が昭和の終わりに21行もあった大手行が現在は4行という状況と同様に、携帯業界も自動車業界もなってくるでしょう。

今回は日本のローカルな話ではなく、グローバルな再編が起こるでしょう。

携帯も車もなんだか高い状態になっていますが、端末がアップルで高いものが20万円になるのが、おそらくタダみたいな値段になることが想像できます。

つまり、アップルも相当まずい状況になるだろうということです。

ゆえにアップルは、かつてのアメリカ最大の電気メーカーGEのように決済サービスやコンテンツ事業に移行しようとしているのです。

歴史を重ね合わせていくだけで、これだけのことが読み取れるのです。

安倍首相の後継問題

2012年末から総理大臣の地位にあり、強いリーダーシップを発揮している安倍晋三

問題は、安倍首相の後継問題にいくのがわかると思います。

まず、安倍首相再任以前に、決められない政治という問題がありました。

安倍政権が誕生したとき、ようやく日本にも決められるリーダーが誕生したと言われたこともあります。

オバマ前大統領も、政権末期は何も決められずに矛盾した決定ばかりをし、現職のトランプ大統領を怒らせています。

今後、必要なものは強いリーダーシップを持った安倍後継である首相です。

その後継者は、現在の官房長官である菅になるでしょう。

ただし、菅官房長官の物言いは、かなりえらそうであるという印象を皆さんお持ちになるのではないでしょうか。

安倍首相もおそらく相当なキツイ言い方をするほうですが、菅長官は単なる記者会見の言葉遣いがえらそうであり、それを問題視されたこともありました。

安倍首相は強い言い方をしてもあまり怒られることはありませんでしたが、菅長官の場合は、そのリスクが無限にあると思います。

安倍首相の後継者が直面するであろう課題

祖父である河野一郎、父である河野洋平と3代に続く政治家の家系でついに念願の総理大臣誕生なるか!?

前外務大臣で現防衛大臣の河野太郎などはよい後継でしょうが、閣外にいたときに奔放な発言が多く、やはり安倍首相に嫌われているのが実情でしょう。

でも、やらせてみたら、案外よい仕事をするという評価でしょう。

父親が自民党総裁で首相になれなかった谷垣さんのお仲間であり、悲願の首相もあるかもしれません。

小泉進次郎はキャリア不足で、まだまだ修行中の身です。

発言力の大きさは注目に値しますが、次の次でしょう。

総裁選をやれば立候補はするでしょうが、次回をにらんでの立候補で、現時点では父親の純一郎と比較してもキャリアがまだ足りないというのが実態です。

何が言いたいかといえば、指導力が安倍首相と比較すると見劣りするというのが実情であり、おそらくそのことから、誰がなってもうまく運営ができないという政治リスクもあります。

やがて日本にも訪れるポピュリズムの台頭

世論調査で支持率トップを誇るUKIPの集会

加えてポピュリズムの台頭があり、これは滅びません。

理由も非常に明快で、民主主義ではポピュリズムを支持する人のほうが富裕層よりも圧倒的に多いのです。

その支持が拡大している中で、ポピュリズムがよくないものという認識は間違っているということです。

平成9年に大きな政治改革があったのと同様に、令和の政治も日本だけに限らず、大きく変わります。

つまり、多様性から派生する、一党独裁のような与党政権のようなパワーバランスがこれからは今以上に難しくなると思います。

その試金石がイギリスの総選挙で、ここで労働党が生き残れるのか、つまり第二党の座をUKIP(イギリス独立党)やスコットランド独立党に奪われるのかという問題があるのです。

ここで、労働党が奪われると世界の政治バランスが崩れることになるでしょう。

問題に気づいていない人が多いことこそが問題

東京オリンピックへのカウントダウンは、日本経済の好調が終わるカウントダウンでもある!?

こうやって歴史をよく知っていれば、今後の状況などわかると思います。

日本はオリンピックまでは好調でしょうが、その後に相当な問題があります。

一番の問題は、安倍首相が掲げた一億総活躍や働き方改革、女性活躍などの政策目標はどこにいったのかということです。

とうとう、アベノミクス3本の矢の3本目など発表もしないのであろうと思います。

このように安倍首相の目標とは、極めて短期的な課題をやっているフリをして、中長期目標に関して、プライマリーバランスを筆頭に守る気などサラサラないことです。

目先の株価や為替、国民の関心事の対策ばかりやって、中長期の目標が見えてこないことです。

安倍政権に欠けているのはこういった観点であり、政権は盤石でしょうが、課題がないように見えて山積です。

権力を維持するのに四苦八苦な政権であり、実態は何もやっていないと評価することもできます。

こういった側面で、ポピュリズムが台頭すれば間違いなく再び平成9年のような政治変革の時代が来るでしょう。

それが課題ですが、すでにわかっていることなのですから、対策を立てればある程度は防げるものです。

しかし、問題はこのことに気づいている方が少ないということです。