金が動く原因
先日、6月の以降の金の動きは去年と同じになっていると解説しました。
https://mrtzzz.com/blog/2019/11/18/2_long-term_interest_rate_is_important/
この動きの通りですと、年末には下がるはずでしたが、逆に上昇しています。
今回はその解説をしていきましょう。
なお、今まで何度も解説してきましたが、金の主な変動要因は以下の2つです。
① ドルの変化
② 金利の変化
2018年と2019年の金利の動きを見比べてみる
今年は、金利の動きで金の動きが動意を得ていたのですが、12月の政策金利が据え置きになったことで、金利の動きが緩慢になってきました。
上記は2019年のアメリカの金利の動きになりますが、9月まで一直線で下がってきて、その後急激な下げに対して反転しています。
つまり、金利を軸とした動きは10月の末までであり、11月以降は金利はほぼ横ばいになっていると言えます。
上記はアメリカの金利を10月1日から12月27日まで抽出したものになりますが、10月13日ころからほぼ横ばいになってきていることがわかります。
昨年と今年の6月以降の金価格の推移を比べてみる
前回の記事では、6月以降の金の動きは去年と真逆になっていたことを解説しました。
9月までは前年と同じような動きをしていましたが、10月以降は乖離したような動きとなり、12月からは顕著に乖離した動きになっています。
そこで11月以降、右軸、系列1(青)を反転させると、以下のようになります。
つまり、右軸を反転させずに通常の形、下から上に向かって数字を上昇させる形にしました。
このように、11月中旬以降は完全に去年と価格推移が一致しています。
この原因
この原因は、11月以降に金利が動かなくなったことに起因することは明らかです。
では、金価格の動く原因とは、
① 金利
② ドル
になるのですから、①金利が動かなくなれば金は動かないのに、クリスマス前後を境に動き始めています。
それでは、②ドルの動きがあるはずだと推測されます。
そこでドルの動きを検証すればいいのです。
ドルの動きを検証
下記はアメリカの実効為替レート、2018年から2019年12月16日までのものになります。
16日以降は発表元(BIS)がクリスマス休暇に入っていますので、発表されていません。
9月を頭にドルの実効為替レートが下落しているのが一目瞭然です。
つまり、11月から金利が動かなくなっていますが、今度はドルが動き始めたのです。
ドルが下落すれば金は上昇するので、年末に金が上昇しているのです。
さらには12月1日前後から株価が急落して、トランプ大統領が「ドルが高すぎる」と吠えたことも一因でしょう。
金利は現在の水準で整合性がありますので、トランプ大統領は「金利も高すぎる」とも言いましたが反応はしていません。
実際にトランプ大統領が「金利が高すぎる」と言ったときに、金利市場は少しだけ反応して下がりましたが、すぐに元のレンジに収れんしています。
ところがドルは、トランプ大統領の発言に即応して急落しています。
つまり、金を主導する主役が11月くらいから金利からドルに変化したということができます。
今後の金の動きはどうなるのか?
2019年は、金の動きはほぼ金利を見ていれば将来の価格がどうなるかがわかりました。
しかし、2019年の後半から金利が動かなくなり、変わりにドルが動意を得てきたのです。
参考までに、12月1日からの16日までの金利とドルの動意を比較してみましょう。
12月1日〜16日までの動意
金利 ドル
12/02 1.88 124.09
12/16 1.84 122.51
変化率 0.3% 1.28%
のようにドルの方が圧倒的に動いているのです。
つまり、2020年は通常通りドルの上下動によって金価格が動くことになります。
円建ても同様であり、円の価値ないしはドル円レートによって動くという本来の動きに回帰することになるでしょう。
こうなってくると、以前にFRBのFOMCが金の重要な価格決定要因であると記したことが証明されていることがおわかりになると思います。
FRBは今年3回の利下げを決定しましたが、12月は打ち止めにし、今後も金利を上げ下げする見通しをしていません。
だから、金利は動かなくなったのです。
FRBが金利を動かすつもりがないので、本来のドルの上下動に回帰したというのが今の金市場の姿になると思います。
次回は、来年の相場はどうなるかということを記したいと思います。
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