2019年白金の値動き
今回は、白金の2020年相場について考えていきます。
下記は白金の値動きの推移、2019年1年間のものになります。
レンジは800ドルから970ドルの範囲であり、金と比較しても全く動意がない相場となっています。
白金の動く要因は金と同じです。
① ドルの上下動
② 金利の上下動
になります。
このうち、白金の動く要因②について考えていきます。
金利の上下動と白金の価格
上記は白金価格ドル建て(青)、米国10年債利回り(黒)であり、白金も金と同様に金利が下がれば価格は上昇、金利が上昇すれば下落となっていることを確認できます。
なお、①に挙げたドルの推移を見てみましょう。
下記は2018年1月から2020年1月6日までのドル実効為替レートになります。
2019年から一見してわかるように、ドルは安定した相場付きになっています。
8月からは上昇していますが、年末には再び下落し、年初と変わらない水準になっています。
ドル実効為替レートは120-124のレンジで推移しており、変動率は3%程度です。
白金本体のレートは800-970ドルになりますが、21%の変動率になりますので、2019年は金と同様、ほとんど金利の変化によって白金は動いたといえます。
白金の需給と歴史
白金の1995年からのチャートになりますが、リーマンショック前が価格のピークであったということがおわかりになると思います。
これは、世界的な環境規制の高まりによって、自動車の触媒需要が世界的に高まったためです。
環境規制は、東南アジア各国の主要都市では自動車の排ガスによって白くどんより曇っているような状況なのはご存知だと思います。
この排ガスの公害は年々ひどくなっており、その結果、より一層の環境規制が働くので、白金の触媒需要は高まるのではないかとお考えの方が多いと思います。
これはリーマンショック前に、高値を出してしまったことが影響しています。
わずか1ミリグラムの白金の自動車触媒への使用であっても、世界では30億台もの車が走行していれば、その需要は莫大なものになります。
この価格でメーカーの白金需要が増大すれば、車本体価格を上昇させなければいけなくなり、結果として代替商品開発競争が激化したのが現状です。
白金の代替物としての炭
例えば、この触媒には炭素で代用が効くことが判明しています。
大型の燃料電池にもその代替も可能になってくる可能性が高いのです。
炭素といってもおわかりにならない方が多いと思いますが、端的に言えば、炭(すみ)のことです。
木を燃やすと、黒い塊になるあの炭です。
その価格と白金、どちらが安いかといえば炭になるのは明らかです。
リサイクル白金
さらに年間、白金の需要は6000トンくらいの需要があるのですが、白金のリサイクルは2019年で2200トンのリサイクルが実施されています。
すなわち、需要の1/3以上がリサイクルで再利用されており、そのリサイクル総量は年々増加の一途です。
南アフリカやロシアでいくら白金を増産しても、そのうち新産の白金よりもリサイクルの白金の総量のほうが増えてくるような状況です。
毎年、需要の5%程度はリサイクルに置き換えられていますので、リサイクルの需要がそのうち新産を上回ってくるのが当然の話です。
ただ、現状ではコストの問題があります。
現在の価格はリサイクルを行ったほうが安上がりだから、新産白金よりも需要があるのです。
つまり価格が下がってくると、リサイクルのコストを吸収できない価格になってくれば、新産の白金の需要は生まれないということになります。
リサイクル白金のコスト
今の価格は、十分にリサイクルのコストを消化しているので、ここ最近はリサイクルの需要が高まっているのです。
そのリサイクルのコストは、想像するほかないですが、需要の1/3以上をリサイクルで占拠している事実を勘案すれば、相当に安いことが想像できます。
近年の800ドル割れ近辺がリサイクルコストの下限と考えることができますので、800ドル近辺を割れば、リサイクルの部分を考えた採算ラインと考えることができます。
ただし、上値も新高値を超えてくるとより一層にリサイクルの促進が行われ、供給が増えると考えることができますので、意味がないとしか言いようがないのです。
つまり、上値も期待できないということです。
言えることは、信用などで800ドル割れで白金を買うことを考えたとしても、その高値は非常に限られている状態で、2020年の白金相場に期待することは不可能だということです。
白金が上値追いするには?
金のように白金が上値追いする可能性は、現時点ではないということです。
言えることは、リサイクルや新産の白金のコスト割れを大きく割り込んで、異常に安い状態になれば、皆生産やリサイクルがなくなりますので、価格が急騰することがあると思います。
つまり800ドルの半値、8掛け、5割引きの値段、160ドルくらいになれば買い妙味はあるでしょうが、現在の値段は程遠いのでムリでしょう。
一方、白金の需要がないから、価格が低迷するという考え方もあります。
現在の需要は投資、宝飾、工業、触媒などしかなく、今後もこれらの需要が大きく伸びることはないということです。
白金は貴金属としては金よりも非常に堅固で、そういう特性を生かした新たなテクノロジーがなければ価格は上昇しないということです。
白金の可能性
例えば銀は、以前は貨幣の需要があり価格も高く推移しましたが、メキシコや日本で大きい鉱山が開発されたことによって、価格が大きく下落しました。
ところが、価格が安くなったことによって写真の現像などに転用されたものです。
そして、その写真の現像はスマホやデジカメにとってかわり、また銀価格は低迷しています。
白金に言えることは、価格が安くなるところまで行きつかないと、価格が安いことによる需要増が見込めないということです。
新規の需要も見込めなく、高すぎる白金に当面、投資するメリットが何もないということです。
2006年に白金が高値を出したということは、通常10〜30年価格は低迷すると思います。
つまり、最悪2040年くらいまで、価格は低迷したままであろうといえると思います。
よって、2020年に白金に投資するくらいであれば、金やパラジウムに投資したほうがましということです。
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