中国の現状
今回のタイトルは、昔言われた「アメリカがくしゃみをすれば、日本はかぜを引く」という言葉を文字ったものです。
今の日本の最大の貿易相手国は中国ですが、大昔はアメリカでした。
現状、中国が新型コロナウイルスというかぜをひけば、日本経済は肺炎になるとも言えるほど重症なのですが、その危機感がゼロです。
下記は、1994年からの中国の実効為替レートです。
明らかに2015年の経済はピークを迎えています。
この年は、中国が不動産バブルの崩壊からチャイナショックという危機を引き起こしています。
そこから中国経済は下降の一途…。
要するに、中国経済は完全にピークアウトしています。
急成長した者は急激に退行する
1978年からの鄧小平の改革開放路線によって工業化が進展した結果、現在の中国の繁栄があります。
日本も明治維新から富国強兵政策によって工業化が進行し、戦後の1980年代がピークでした。
急すぎる成長は停滞を招き、日本経済は低成長時代を迎えました。
本来はだんだんと成長していくものであり、結果として訂正が入っているというのが日本経済の現況になると言えます。
急激に上昇したものは急激に低下する、これは歴然とした事実です。
急激に上昇したものを横ばいにする努力をすれば停滞は長引き、急騰したものをすぐに急落させれば停滞の期間を短くすることができるというのが自然の法則であり、真理だと言えます。
よい例がリーマンショックであり、100年に一回というショックだったというのに、10年以上も経過すると若い人などは「何それ?」です。
100年に一回でも、あれだけの急落になるとすぐに回復している証左です。
考えてみてください、あのときダウは7000ドルで日経は7000円、今やダウは29,000ドル、日経は23,000円で3〜4倍の価格になっています。
若い人が「リーマンショック? 何それ?」というのも理解できるというものです。
急落すれば急騰するという自然の法則が生きているのです。
中国が選んだ道
だから急速にお金持ちになった人はすぐに貧乏になるというのもおわかりになるでしょう。
貧乏になっても、お金持ちになる前にした努力をすればすぐ回復するということです。
期せずにしてあぶく銭を握ったとしても、すぐになくすのはこういう意味合いです。
大金を握ると使いたくなるのが人情ですが、その間の努力によってそのお金をずっと持っていられるかは決まります。
日本は急速に成長した結果、急落という選択を行わず、横ばいという道を選べば、こういう長期間の停滞を呼び込みます。
中国は1978年から2015年ですから、本当に短期間です。
その急成長を日本と同様に横ばいという選択肢を選んでいるのです。
今後の中国、そして日本はどうなるのか?
今のような年間5〜6%という成長はきっと数年後にはいい思い出となり、中国も日本のように成長率1〜2%の時代に移行するでしょう。
ゆえに、中国はコロナウイルスという病気になれば日本は肺炎になるのです。
レーガン政権時のアメリカがくしゃみをしたら、日本ではバブルが崩壊しました。
その被害は格段に日本の方が大きかったというだけの話で、その結果が先日のGDPです。
年間で6.3%マイナスなどという数字は、リーマンショック時の8.8に並ぶ数字であり、いかにひどいかがおわかりになるはずです。
今まで当コラムでは、日本の復活は今年になるだろうと散々書いてきましたが、この結果を受けて、黄色信号ではなく赤信号に変わったと言えるでしょう。
つまり、中国がコロナウイルスにかかれば、日本は肺炎になるというのが実際の健康面のことではなく、経済面ではくる可能性が非常に高くなりました。
それでも株価は相も変わらず新値近辺、国会はいまだに桜を見る会の追及、ふざけるのもいい加減にしろと言いたくなりませんか?
株価が下がらない原因
株価が下がらない原因になりますが、根本的に皆さんは、長期的な視点と短期的な視点をゴチャ混ぜにしています。
つまり、生産性の低下というものは、実際に被害が出て初めて株価に織り込まれるということです。
これだけグローバリゼーションが進行すると、企業のサプライチェーンが複雑にからみあい、そのサプライチェーンの工場一つが停止したことによってどれだけの影響が出るか誰にもわかりません。
そう、つまり企業の決算が出るまでその影響の有無がわからないシステムになっているのです。
工場が止まっていると聞くと、売り上げがゼロになるのだから株価は下がるだろうという類推はおそらく正しいですが、代替の拠点になる工場がほかで動いていれば被害は最小になります。
ゆえに、株価は動じないことになるのです。
長期的に見れば株価は必ず下がる
しかし、世界の工場である中国の工場がほとんど動いていないとなると、長期的に見れば間違いなく株価は下がるだろうと見ることができます。
10-12月期の決算発表はすでに終わりましたので、次回は1-3月期の決算です。
この発表は4月の中旬から5月下旬にかけて日米双方であります。
これ、悪化しているのは間違いありません。
現状どういう影響があるのかは、複雑怪奇なパズルを組むようなもので誰も完成できるわけがないような状態ですが、4月から5月ならそのパズルを完成させることができます。
結果は見るまでもないでしょうが、現状の株価は新値付近、喜んで株を買う人の神経ってどうなっているのでしょうか。
ターニングポイントは5月から6月
金の予想でも出しましたが、5月から6月に転換すると記しているのに見事一致していることが不思議ではありませんか?
つまり、今年のヤマ場は5月から6月です。
要するに、現在の楽観はみんなが短期的な視点に注目し、そこには長期的な視点が欠落しています。
経済が悪いのに、株価が新値というのはバブルということであり、バブルはいずれ崩壊するものです。
忘れたころに崩落して、あのとき株や投資を止めていれば…、と後悔するのが恒例行事になるのです。
近々にバブル崩壊のような急落があるのは間違いないと考えられます。
中国のこれからと金
中国の成長は現状5〜6%ですが、冒頭に出したグラフを見れば今後大きく下落するでしょう。
中国に恩恵をもらっていたのは日本だけではなく、韓国や台湾などの東アジア、そしてシンガポールやインドネシア、タイなど広範に及びます。
これらの国は、中国がくしゃみをすれば間違いなくかぜを引くでしょうが、日本のように肺炎のような重体にはなりません。
日本は東アジアだけではなく、東南アジアからも恩恵を被っているのですから、中国のくしゃみで一番重篤になる危険性があります。
みんな楽観しすぎと思うのが普通です。
金は、中国は今後、経済停滞をするので通貨である人民元の信用は薄れてきます。
その信用を補うのは経済になるのですが、それは無理というのは皆さんも理解しているでしょう。
だったら、人民元の価値を上げるために人民元のデジタル化を訴求したり、以前に増して金を購入するのです。
そうであれば、需給面からは金は下がらないことになります。
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