金融緩和は万能薬ではない|新型コロナウイルス問題

金融緩和とは?

2月末にアメリカFRBのパウエル議長が金融緩和の可能性に触れ、3月に入った月曜の最初の営業日に日銀の黒田総裁が金融緩和の可能性について触れました。

これを受けて3月3日朝の外電で、アメリカ株は史上最高の上げ幅5%の戻りを達成しました。

今回は金融緩和と金に関しての解説をしてまいります。

新型コロナの拡大に伴う生産性の低下で、世界のマーケットは大荒れ

金融緩和とは、財務省・日銀による円売り介入と同じことになります。

今回のように、新型コロナウイルスによってマーケットが大荒れになった場合、各国の政府は対策を講じる必要があります。

通常はリスク回避の円高などの現象が起こるのですが、今回は言うほどの大きな円高にはなりません。

日本政府は、通貨動向に関していつも大きな関心を持っています。

しかし、今回の場合は円の急騰よりも株価の急落がひどいので、金融緩和政策をとるであろうと当サイトでは予測していました。

災害も暴落も忘れたころにやってくる

2003年にはSARS、2012年以降にはMARSとこれまでもさまざまなウイルスが流行してきたのにもかかわらず…

当サイトは、コロナウイルス被害によって株式マーケットが暴落すると警告し続けてきました。

2020年3月のドル高・金利高から金の価格は間違いなく下がる!

当初は「下がる、下がる」といっていたのにいつになっても下がらず、警戒が緩むと下がるというのはいつものパターンになります。

こういった暴落は人々の警戒が薄れたときに起こるもので、災害が忘れたころにやってくるのと同じ理屈です。

そして被害が起こるのは、自然の猛威を軽視しているからです。

今回の暴落も、警戒していればなんてことはないはずが、ほとんどの人が無警戒であり、これからも被害者が雨後の竹の子のように出てくることでしょう。

その際に、政府による円売り介入や金融緩和が取沙汰されるわけです。

円売り介入と金融緩和

円もドルも互いの関係性の中で数字が決まるのだから一方だけが介入するのはズルいということになる

円売り介入と金融緩和は何が違うのかといえば、何も違いません。

ご存知のように、為替相場は相手国があってはじめてレートをつけることができます。

1ドル110円という表現は、アメリカという国があってはじめて成立するのです。

今回のコロナウイルスのように被害が拡大し、景気が低迷すれば各国は輸出を拡大しようとして通貨安に、日本の場合であれば円安に誘導しようとします。

で、一方的に日本だけが円安にすれば、アメリカもそれなりに被害があるので、ドル高は困ると言うに決まっています。

日本だけが円安介入を行えば、ほかの国も通貨を安くしたいのに、日本だけズルいという批判になります。

そういった批判の連鎖を避けるために、為替相場への介入は国際ルールで一定の条件を満たさない限り禁止されているのです。

円売り介入の本質とは?

お金は増やせば増やすほど価値が下がる

円売り介入の本質とは何かといえば、円の価値を落とすのに一番簡単な方法として、需要よりも供給を増やすのです。

モノが有り余っているのに物価が上昇するわけもなく、下がるのが必然です。

円の供給を増やせば、円の価値は勝手に下落します。

これが円売り介入の意味です。

金融緩和でやっていること

日本では「バラマキ」、欧米では「ヘリコプターマネー」ともいわれる金融緩和

一方、金融緩和というのは難しい言葉を使っていますが、財務省が日本銀行を使い、現金をばらまいているだけの話です。

つまり、市中に出回っている主に民間銀行が保有している国債を日銀が買い取るのです。

この場合、お金の受け渡しがゼロであれば泥棒になってしまうので、適正な時価で国債を買い取ります。

そうすると、その銀行の預金残高は増えるという仕組みです。

その余った預金は貸し出しに回るということで、景気の後退を回避しようとするのが金融緩和です。

その際に日銀が安い金利に誘導すれば、ますます貸し出しは増えることになります。

金融緩和をお金をばらまくと表現される方も多く、欧米でもヘリコプターマネーと言うのが一般的です。

しかし、お金の供給を増やして金利を下げれば、景気が回復するのは当然のことだと上記の解説でわかるでしょう。

「バラマキ」、「ヘリマネ」というとかなり悪く聞こえますが、適切な金融処置になります。

金融緩和と円売り介入に違いはある?

金融緩和も円売り介入もともに目的は通貨の価値を下げること

金融緩和と円売り介入の違いについて考えてみましょう。

円の供給を増やして、結果として円の価値を下げるのですから、円安になるのは当然です。

世界各国で金融緩和をやる場合には、その規模が問題になります。

日本がGDPに対して10%の緩和をやれば、アメリカは対抗して20%の緩和をやるというように、リーマンショック直後のような動きになります。

これを通貨安競争や緩和競争といいます。

言いたいことは、円売り介入も金融緩和もやっていることは結果的に同じ、円の供給を増やして通貨安を示現するということです。

円売り介入の実態

かつては日銀の伝家の宝刀であった円売り介入だが…

円売り介入導入直後は、月間で10%の通貨安を招くこともざらでした。

ところが今では日銀が実際に円売り介入をやっても、月末にはさらにひどい円高になっています。

リーマンショックの最中も、日銀は円売り介入を行いましたが焼石に水でした。

円売り介入を行えば行うほど、円高が進行したのです。

今回の場合は株安ですが、同じことです。

政府が金融緩和と叫べば叫ぶほど、株安が進行するでしょう。

今皆さんがやるべきこと

3月3日は暦の上では桃の節句だが、株式市場とっては株安祭りの序章になった

結論を言えば、3月3日のお雛様祭りは、株高祭りではなく株安祭りの序章にしかならないということです。

日銀が介入したところで、円の絶好の売り場になるだけです。

今回の金融緩和は、「やる」と言っただけでアメリカ株は史上最高の戻り幅になりました。

ここで皆さんがやることは簡単で、戻ったら株を売ればいいのです。

「緩和だ」、「底を打った」なんてやっている人を尻目に、さっさと株式市場から逃げてください。

金融緩和と金の話

お金の価値が減ると知ると投資家は不動産のような実質資産を求め出す

金融緩和や円売り介入とは、円の供給を増やすことで価値を下げることです。

その対称にあるものは株式や不動産、金になります。

この場合、株式や不動産、金などは実物資産といい、お金がなくなってもその価値がなくならないものです。

一方で、紙切れであるお金のことを無形資産といいます。

通貨を発行する主体が破綻したり財政危機に陥った場合には、その価値はゼロになるという意味です。

お金の価値が減るとわかっていて、現金しか持たない人はいません。

一部の余裕資金を不動産や株、金に置き換える行動に出ます。

その場合、金の価格はどうなるかということです。

不動産や株式などは資産家にとってなじみのあるものですが、金にはそれほどなじみがあるとは思えません。

つまり、現金の保有をやめた資産家が最初に飛びつくのは株式や不動産であり、金は最後になるので、どうしても上昇が遅くなるとつけ加えておきましょう。


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