読者の方から「サプライチェーンやブロックチェーン、バリューチェーンとはどういうことか?」という質問をいただきました。
残念ながらバリューチェーンの概念は知りませんが、ブロックチェーンとサプライチェーンは全く違う概念になります。
今回のような世界中で連鎖したサプライチェーンの崩壊は、世界経済の破綻を招く可能性が非常に大きいという事を、『ブロックチェーンとは?』『サプライチェーンとは?』と細かな説明とともにお伝えいたします。
ブロックチェーンとは?
ブロックチェーンとは仮想通貨で発明された概念で、簡単にいえば記憶媒体のことです。
仮想通貨自体の発明は大したものではなく、今後も有用であるか否かは議論の分かれるところですが、ブロックチェーンは今世紀最大級の発明にと言えるでしょう。
しかし、これが新技術なのかと問われれば、IPS細胞のほうがゼロベースで作られた発明なのに対し、ブロックチェーンは既存の技術を組み合わせて発明されたものなのです。
今まで個々に発明されたものを組み合わせたら、巨大な容量であるブロックチェーンが開発されたということになります。
ブロックチェーンの画期的な点
ブロックチェーンの何が画期的かといえば、例えば日常のお買い物をずっと、永遠に保存ができるという点です。
『えっ?ソレのどこが凄いの…?』と思われても仕方がないですが、これをどこに応用するかといえば、先ずは『生命』に纏わる事柄を例として説明します。
※今の時代、どの分野も『YMYL』=Your Money , Your Lifeに関わる箇所に巨大な技術・富が集まるものです。
生命にかかわる重篤な病気を発症した場合、このブロックチェーンの技術が有ると、生まれたときからの様々なカルテを記録として永遠に残しているため、その原因を探る過去の病歴などを国に拘らず共有でき、それにより治療も格段にし易くなるのです。
今のシステムでは病院毎にしかカルテの保存は出来ません。
だからこそ、生命がかかわり且つスピードが重要な時に非常にメリットが有るのです。
※先ずは初診➡カルテ作成…等が無いっ!
貨幣でいう仮想通貨ビットコイン使ってお買い物をしてもその履歴は未来永劫に保存ができ、また共有しようと思えばいくらでも共有できるのがブロックチェーンです。
逆にいえばそこにリスクが存在するのがブロックチェーンの成長阻害箇所であり、各国のリテラシーの違いでの導入障壁ではないでしょうか。
サプライチェーンとは?
サプライチェーンとは、供給網のことです。
例えば、日本で作ると1万円くらいの扇風機が、中国やベトナムで作ると2000円くらいになってしまいます。
ただ、日本で扇風機を製造するのにしても、部品から日本で組み立てているわけではなく、羽根やワイヤなどはおそらく中国や東南アジア各国で製造しているはずです。
そのほうが安く、企業としてコスト低下を求めるので当然になります。
最終的にその部品をかき集めて組み立てるのが日本なので、日本製になっていますが、組み立ての人件費が高いので高くなるのです。
その最終製品と、そのほかの製品とで何か違うのかと問われると、日本製のほうがリモコンがついていたりして優れている点はありますが、基本機能は変わりません。
どこのメーカーも最終商品は同じようなものになりますから、部品もそれほどの差はないのです。
モジュール化とは?
これを上手に利用しているのが韓国や中国です。
日本では夏に扇風機が売れますが、日本より寒いロシアや北欧のノルウェーやフィンランドでは日本のように売れるかといわれれば、売れません。
逆に日本より暑い東南アジア諸国などでは、日本と同じような扇風機が売れるでしょうが、大型でより羽根が大きいほうが安価であれば売れるに決まっています。
つまり、弱電と言われる扇風機でも、各国の事情によって売れる製品は違うわけです。
そこで韓国や中国は何をやっているかといえば、その部品の共通化を行っています。
例えば、中東のアラブ首長国連邦とロシアで売れる扇風機は違いますが、形状は皆同じです。
ですから、韓国や中国のメーカーは基本の扇風機の形を決め、小さい部分を各国の状況によって売れる扇風機を製造するのです。
サムスンのテレビなど基幹モデルは5台しかなく、地域に合わせて1000種類のテレビを製造販売しているといわれています。
このように、基幹モデルの性能やデザインを決めておき、地域によって製造を変えることをモジュール化といいます。
モジュール化と中韓メーカーの躍進
韓国のサムスンは、モジュール化によって世界のテレビ業界を席捲し、現在では日本の大手家電メーカー4社の売り上げよりも大きいです。
日本の家電メーカーが世界に冠たるものだなんて思っているのは、もはや経産省と日本人だけで、世界有数の家電メーカーはサムスンというのが世界の常識・定説になります。
一方、中国が何をやっているかといえば、基幹モデルも全部日本や韓国のコピーで、これがアメリカと問題になっている知的所有権です。
その人が開発したものは特許として登録し、権利を保護しないといけないものを知的財産権といいます。
ですからアメリカは、自分たちが開発した技術を勝手にコピーしやがってと貿易戦争になっているのです。
日本メーカーはもはや中韓に及ばない
中国も韓国とやっていることは同じで、基幹モデルを決定し、地域によって商品を変えることで世界のコピー家電市場を隆盛させています。
韓国は独自で調査をして売れる商品を開発製造していますが、中国はそれさえもコピーして、韓国のサムスン製よりも安い値段で全世界に供給しているのです。
日本のメーカーは、相も変わらず日本製品は素晴らしいと勘違いしており、日本で売れるものは世界でも売れるとやっています。
今やモジュール化が世界の趨勢ですが、日本の各種製造メーカーはようやく始めたばかりで、先行している韓国や中国に及ぶわけがありません。
野球のピッチャーで例えると
プロ野球を知っている人は多いと思いますので、その例を挙げておきましょう。
肩が痛いと思っているピッチャーはたくさんいるでしょう。
しかし、若手であってもベテランであっても、痛みを隠して登板を続けるピッチャーがたくさんいます。
せっかくの一軍での登板機会ですから、コーチや監督から「行けるか?」と聞かれれば、「行けます」というのが普通です。
そして、登板結果がよければ次の機会もあり、結果として痛みが増大します。
人間、体のどこかに痛い場所があれば、ほかのどこかにしわ寄せがいきます。
投手の場合はたいてい肘も痛め、腰、最終的にはひざにくるでしょう。
そこまでくると、もう機能しなくなり、登板機会をなくして最悪の場合は選手生命を失うわけです。
グローバルでのモジュール化の弊害
中国の製造網は新型コロナウイルスによって、野球でいえば投げられないピッチャーと一緒で、休養が必要です。
しかし、世界の製造業は中国がダメならベトナム、次にその他の東南アジア…なんてやっています。
そして、技術者や営業マンが世界を飛び回り、余計に感染を拡大させています。
こんなことをやっていれば、いずれ投手のケガが全身を覆っていくのと一緒のことです。
このまま世界の生産ラインを稼働させ続ければ、最悪の場合、選手生命を絶たれる方向に突っ走っています。
ケガが偶然にも完治して、再び投げられるようになっても、酷使するのは変わりませんので、再発の恐れがあるのです。
つまり、奇跡的に中国の生産ラインが再稼働し回復しても、もう一回同じことをやればアウトになる道を世界は歩んでいることに気づく人はいません。
ゆえに、世界の製造ラインが崩壊の危機にあるから株価は急落しているのです。
このまま行くと…
ピッチャーは、高校野球でも分業制が通常化していくことでしょう。
100球投げれば大リーグでは先発の仕事が終わりになり、中4、5日を開けなくてはいけなくなっています。
中国の製造ラインが止まれば、世界で一斉に休めばよいものを、1円でも多く稼ぎたい企業は、代替先を探すために世界に営業マンや技術者を派遣しウイルスを蔓延させています。
野球のように先発がいなければ、試合をしないか、代替のピッチャーを事前に確保しておくことが必要ですが、今の企業はコストを求めるのは当然ですから、代替など考えていないません。
結局このことを続ければ、世界の製造業がダウンするリスクがあることの反映が今の株価なのです。
この対策
今さら代替なんてやればウイルスを蔓延させるわけですから、全世界でお休みと決めればいいのです。
こうやって考えると、安倍首相の決断は合理的であり、非難する筋合いのものではありません。
しかし、代替案も示さずに非難だけしている人がたくさんいます。
要するに、自分だけは儲けたいなんてやっているからウイルスが蔓延するのであり、最終的には選手生命を絶たれても、全然不思議ではないのです。
今のままでは、リーマンショック以上の被害になる可能性が高いと考えています。
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