ロレックスの時計は何故選ばれる?三大発明にまつわる歴史と人気モデル
腕時計といえば、誰もが一番に思い浮かべるぐらい「ロレックス」は有名な高級時計ブランドです。
確かな実績があり、信頼と性能の高さで世界中の人から支持され続けている「ロレックス」。ビジネスシーンにも日常使いにも使い勝手が良く、男女共に人気があります。
入手困難なモデルが存在し、直営店の店頭に並ぶことが稀で手に入れるまで数年待かかったということも。それほどまでに人気の理由を「ロレックス」の歴史と合わせてご紹介します。
目次
ロレックスの歴史
創業より100年以上の歴史のある「ロレックス」は、ドイツ人のハンス・ウィルスドルフがロンドンに時計商社として創業したことがはじまりです。
創業
1905年に創業者であるハンス・ウイルスドルフが「ロレックス」の基盤となる時計専門商社「ウイルスドルフ&デイビス社」をロンドンに設立しました。ポケットに懐中時計を入れる代わりに手首に着用する男性が現れるようになったことで、実用的で優れた腕時計が必要不可欠だとウイルスドルフは考えました。
1907年にスイスのラ・ショー・ド・フォンに事務所を移し、本格的に精度の高い腕時計の製造に着手しました。
そして翌年の1908年に社名を「ロレックス」と改めました。「ロレックス」というブランド名は2音節で発音しやすく、尚且つ記憶に残りやすく、印字したときの美しさを考慮して名付けられました。
1910年に、腕時計としては世界初のクロノメーター認定を受けます。この認定によってロレックスの腕時計の精度の高さは世界中に認知されるようになります。
ロレックスの三大発明
ロレックスは精度の高い腕時計を追求し続けた結果、時計の歴史に名を残す三大発明と呼ばれる機能「オイスターケース」「パーペチュアル」「デイトジャスト」を開発しました。
①防水腕時計「オイスター」
1927年、イギリス人女性として初めてドーバー海峡横断に成功したメルセデス・グライツが「ロレックスオイスター」を着用していたことで、世界初の防水腕時計「ロレックスオイスター」は世界中に知られることになりました。
オイスターの殻のように隙間なく閉じていて、完璧な防水性能を誇り水中でも狂うことなく動き続けることから「オイスター」と名付けらた時計は、スクリュー式の裏蓋とベゼル、特許取得のリューズが特徴的なロレックスの高い技術を証明する世界初の防水腕時計でした。
10時間以上もの間、水中にあったにも関わらずメルセデス・グライツが着用していたこの防水時計は狂うことなく正確に動き続けていました。
彼女の偉業と「ロレックスオイスター」の品質を世に知らしめる為に、ハンス・ウィルスドルフはロンドンの新聞「デイリー・メール」の全面に広告を掲載しました。こうして「ロレックス」は自社の腕時計製造技術の高さを世に知らしめたのでした。
②自動巻腕時計「パーペチュアル」
「ロレックス」三大発明の2つ目は「パーペチュアル」。日本語では「永遠」という意味を持ちます。
当時の腕時計は手巻き時計が主流で、数日おきに手動で巻き上げる必要があり、さらに巻き上げた際に埃や水が入ってしまう原因にもなっていました。そこで開発されたのは自動でゼンマイを巻き上げる機構「パーペチュアル」です。
「ロレックス」は1926年に完全防水の「オイスターケース」を開発し、その後の1931年に360度回転するローターによって腕を降るだけでゼンマイが自動で巻き上げる機構「パーペチュアル」を開発しました。それによって誕生したのが「オイスターパーペチュアル」です。
同年の1931年に「ロレックス」は「パーペチュアル」の特許を取得。そして、この歴史的なモデルをベースにして「サブマリーナ」や「エクスプローラー」「ミルガウス」などの「ロレックス」の主力となるモデルを次々に開発しました。
「ロレックス」の礎を築き上げた「オイスターパーペチュアル」は、誕生から90年経つ現在は、カラーやインデックスデザイン、サイズなどバリエーション豊富に展開しており、新品定価が50万円〜と比較的入手しやすい価格帯で人気を博しています。
③日付表示機能「デイトジャスト」
ロレックスの三大発明の3つ目は「デイトジャスト」です。
「デイトジャスト」とは日付け搭載機能のこと。1945年に発表された「オイスターパーペチュアルデイトジャスト」は、0時ちょうどになるとカシャっと日付が変わる小窓を3時の位置に作り、一目見て日付けが確認できる新しい機能を発表して注目を集めました。
「オイスターパーペチュアルデイトジャスト」のために製作された5列のリンクで構成されるエレガントなジュビリーブレスレットは、その後ロレックスを代表するブレスレットのデザインとなりました。
ロレックスの三大発明と呼ばれる全てを搭載した「オイスターパーペチュアルデイトジャスト」は、発売より現在に至るまで「ロレックス」を代表する名作です。
「オイスターパーペチュアル」との違いは日付け表示があるかないか。「オイスターパーペチュアル」が「オイスターパーペチュアルデイトジャスト」のベースとなっていることは一目瞭然です。
ロレックスの進化
現在では当然のように搭載されている三大発明の機構ですが、これらの機構を当たり前になるよう実用性の高いものに進化させたことが、「ロレックス」の最大の偉業です。それによって信頼される高級時計ブランドとしての確固たる地位を確立しました。
「ロレックス」は数ある高級時計ブランドと比べても、同一モデルを改良し続けている稀なブランドです。同じモデルを改良し続けることによって、モデルの精度と認知度を高めスタンダードな「普遍性のあるモデル」を作り上げました。
普遍性のある知っておきたいモデルについては下記でご紹介します。
ロレックスの人気モデル
「ロレックス」の数ある腕時計の中でも知っておきたい人気のモデルをご紹介します。
コスモグラフデイトナ
「ロレックス」唯一のクロノグラフ「デイトナ」は、数あるラインナップの中でも「キング・オブ・クロノグラフ」と評されていてその人気の高さ故に、国内直営店の店頭に並ぶことはごく稀で入手することが非常に困難です。
1963年に誕生した「コスモグラフデイトナ」は、モータースポーツ人気と連動して人気を博しました。「デイトナ」という名前はアメリカのサーキット「デイトナ・インターナショナル・スピードウェイ」から名付けられたことからも、ロレックスとモタースポーツとの強い結びつきをうかがい知ることが出来ます。
「コスモグラフデイトナ」はロレックスの腕時計の中でも唯一、クロノグラフとタキメーターが搭載されています。
レース用のモデルとして開発されたクロノグラフは、時間を計測する機能で、文字盤の中に積算計と呼ばれる小さな時計が配置されています。3時側にあるのが30分、6時側が秒針、9時側に12時間の積算計が配置されています。72時間のパワーリザーブが可能な自動巻ムーブメントを搭載されています。
「コスモグラフデイトナ」は、「ロレックス」で最も知名度の高い人気のモデルで、生産数が少ない故に定価で購入することが困難です。中古市場では驚きのプレミアム価格で販売されています。
サブマリーナ
1953年に誕生した世界初のダイバーズウォッチが「サブマリーナ」です。100m防水と潜水時間を測定する為に回転ベゼルを搭載した防水腕時計で、1954年のバーゼルフェアにて世界中に発表されその機能性の高さから大きな話題となりました。
それ以降改良を加えられた「サブマリーナ」は1965年にカレンダーを搭載したモデル「デイト」と「ノンデイト」の2つのモデルを並行して展開しています。違いは日付けの表示があるかないかで、価格は「デイト」の方が高く、およそ11万円程度の価格差があります。
発売当時は100m防水でしたが、改良が加えらた現行モデルは300m防水を誇り、70時間のパワーリザーブ、逆回転防止のブラックセラミックのベゼルを備えています。
シードゥエラー/ディープシー
「サブマリーナ」と同じく、ダイバーズウォッチである「シードゥエラー」。
「シードゥエラー」は1967年に誕生した「サブマリーナ」の上位モデルです。ヘリウムガスエスケープバルブを搭載しており、なんと現行モデルで1,220mの防水性能を誇ります。発売当初は「サブマリーナ」と遜色がなく、売れ行きは伸び悩んでいました。しかし、2008年にはさらに上位モデルが登場し、状況は一転します。
上位モデルの「ディープシー」はなんと3,900mの驚愕の防水性能を誇り、ケースサイズも44㎜と大幅にサイズアップしました。当時、「ウブロ」や「パネライ」が作り出したデカ厚トレンドの波に乗り、驚きの高機能を誇る「ディープシー」にも注目が集まり人気を博しました。
現在では「ロレックス」の中でもハイスペックなダイバーズウォッチとして「シードゥエラー」「ディープシー」共に進化し続けています。
ヨットマスター
ヨットやクルーザーを楽しむ富裕層向けに1992年に発表された比較的新しいモデル「ヨットマスター」は、「サブマリーナ」と同じムーブメントを搭載したハイエンドなスポーツウォッチです。
エンボス加工が施された両方向回転式ベゼルは立体感があり、100mの防水。ケースデザインはハイエンドモデルなだけあって「サブマリーナ」に比べて細く、腕にフィットするラウンドした形状が特徴です。
当初はオール金無垢か、金無垢とステンレスのコンビのみの展開でしたが1999年にベゼルと文字盤にプラチナが採用された全身シルバー色のロレジウムが追加されました。
スポーツモデルではありますが、ステンレスのみで作られたモデルは存在しない点からも、「ヨットマスター」が「ロレックス」のスポーツウォッチの中でも高級モデルであることがうかがい知れます。
エクスプローラー
「エクスプローラー」はカレンダー機能すら持たない究極なシンプルなデザインと高い堅牢性で日常使いしやすく、多くの人に愛され続けている「ロレックス」のプロフェッショナルモデルの一つです。
1953年に人類で初めてエベレスト登頂に成功したエドモンド・ヒラリーとテンジン・ノルゲイの偉業を称えて同年に発表されました。ノルゲイ氏が登頂の際に実際に着用していたことから、「エクスプローラー」は耐久性と実用性の高さが証明され、世界中から注目される腕時計となりました。
「エクスプローラー」はその名の通り、探検家を意味しており「冒険者の為に作られた時計」です。誕生以来、視認性と性能、そして耐久性が見直され続けていますが、初代モデルから大幅なデザイン変更もなく文字盤もブラックのみでシンプルを極めたデザインが特徴です。
1972年にはさらに進化した洞窟探検家用モデルの「エクスプローラーⅡ」が発表されました。
「エクスプローラーⅡ」には、日付機能やリューズガードが搭載され、24時間針を採用。揺れに強く壊れにくい機能性が重視されたより高機能なモデルです。
GMTマスターⅡ
「GMTマスターⅡ」は、24時間で1周するGMT針とベゼルの組み合わせによって最大で3つの異なる地点の時刻を確認することができる高機能なプロフェッショナルモデルの一つです。
「GMTマスター」誕生の背景には、航空技術の発達と共に、航空便のパイロットが二つの異なる地点の時刻を確認できることを求めていたことにあります。ロレックスはパン・アメリカン航空からの依頼に応えて1954年に2つの地点の時刻を同時に確認できる機能を備えた「GMTマスター」を発表。翌年に発売しました。
1982年に、3つの地点を同時に確認できる「GMTマスターⅡ」が発表されました。1999年に「GMTマスター」が生産終了となり、現行モデルは「GMTマスターⅡ」のみとなっています。
パイロットむけのプロフェッショナルウォッチである「GMTマスターⅡ」は、ベゼルカラーが2トーンなのが特徴的です。
リセールバリューの高さ
資産性の高さで言うと、「ロレックス」は世界三大時計ブランドである「パテック・フィリップ」、「オーデマピゲ」、「ヴァシュロンコンスタンタン」を抜いてずば抜けて高いといえます。他社の高級ブランドと比較してもNo ,1のリセールバリューを誇ります。
中古品となると、高級腕時計でも価格は下落する傾向にありますが、「ロレックス」の生産終了しているレアな一部のモデルに関しては中古価格が新品価格を上回るといったケースが多くみられます。20年前に購入した「ロレックス」が購入した価格より高値で売れたという話はよくあることです。
高級時計は嗜好品の為、よほどの人気モデルでない限り中古品の価格が新品定価を上回ることはありません。しかし「ロレックス」の腕時計は、創業以来築き上げてきた信頼と認知度の高さと普遍的なデザイン故に、中古でも高値がつきやすい傾向にあります。
つまり、「ロレックス」を所有することはステータスであり、資産にもなります。
その信頼と安心感故に、「ロレックス」の腕時計は万人に選ばれ続けているのです。
まとめ
「ロレックス」は創業以来、腕時計の精度の高さを追求した製品開発に取り組んできた結果、三大時計機構を開発。現在も、より高性能で堅牢な実用的な腕時計の開発に取り組んでいます。
信頼と実績と確かな精度の高さ故に世界中の人々から最も愛されている高級時計ブランドであることは確かです。
そのリセールバリューの高さ故に、資産として保有したいと考える人が多いのも事実です。
腕時計の購入を検討する際は、腕時計の歴史に名を刻んだ確固たる信頼と実績のある「ロレックス」を選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか。モデルのバリエーションが豊富なので自分に似合った一本がきっと見つかるはずですよ。