エルメスのアイコニックな時計「Hウォッチ」の魅力とは
「エルメス」は高級革製品を扱う超一流のファッションブランドとして名高いですが、時計事業にも力を入れていることをご存知でしょうか。
1978年に「エルメス」の5代目の社長に就任したジャン・ルイ・デュマ氏は、ファッションアイテムだけではなく、ライフスタイルアイテムに至るまで幅広い製品を拡充させました。時計の販売も彼が力を入れた事業の一つです。
「エルメス」の時計の魅力はエレガントで洗練されたデザインと、「エルメス」らしい上質な革を存分に楽しむことが出来る点にあります。それでいて、近年は外観の美しさだけでなくムーブメントの開発を自社で手がけるなどして、時計の製造に対しても”ものづくりへのこだわり”を感じさせます。
今回は、「エルメス」の時計の歴史と特徴、その魅力に迫ります。
目次
エルメスウォッチの歴史
現在「エルメス」で展開している時計でポピュラーなものは「アルソー」、「クリッパー」そして今回ご紹介する「Hウォッチ」です。「Hウォッチ」は1996年に誕生した比較的新しいモデルですが、最も人気があります。
「エルメス」の時計は、製造がスタートした当初は機械式のものでしたが、現在製造されているもののほとんどはクォーツ式です。クォーツは精度が高く、耐久性が強く、機械式に比べて安価です。それ故に、「エルメス」のバッグに比べると時計は比較的購入しやすい価格で販売されています。
「エルメス」が時計の製造に着手したのはなんと100年も前のことです。
エルメスの時計製造のスタートは1920年
「エルメス」が時計の製造をスタートさせたのは1910年代に遡ります。スイスの時計ブランド「ジャガー・ルクルト」や「ユニバース」と協業して時計の製造を開始しました。
1920年といえば、馬具製造業からバッグや革小物を製造するファッションブランドとして転身を試みた頃です。「ボリード」の全身となる世界初のファスナー付きバッグ「ブガッティ」を誕生させた傍ら、時計の製造業にも着手していたということです。
レザーベルトの先駆者
「エルメス」は1928年に、レザーを使用したベルトウォッチを発表しました。
当時主流であった懐中時計の鎖の代わりに革を用いたストラップを装備した「ドレスウォッチ」を製作、革を活かした「エルメス」ならではのこだわりを時計においても取り入れ、その斬新なアイデアは、当時の時計愛好家に広く受け入れられました。「エルメス」は時計業界において、レザーベルトの先駆者となったのです。
当時発売されたベルトウォッチは、ゴルファー向けに製造されたもので、ウエストベルトのバッグルの内側に時計の文字盤を隠し、指で押すと開くといった機能的なものでした。ゴルフの衝撃から時計を守ることが出来るこの画期的な機能を装備した時計は当時大ヒットし、「エルメス」は時計業界から注目されるようになりました。
スイスに時計のアトリエを設立
「エルメス」は1978年にスイスのビエンヌに時計製造のアトリエ「ラ・モントル・エルメス」を設立しました。これにより、「エルメス」は本格的な時計の製造に着手します。
馬具の鎧をモチーフにデザインされた「アルソー」や、大型帆船の窓の見立てたケースを装備した「クリッパー」、シルバージュエリーシェーヌ・ダンクルから着想を得た「ケープコッド」を誕生させ、高い評価を受けました。
2003年にはスイスのヴォーシェ・マニュファクチュール・フルリエ社と協業でムーヴメントを開発、スペシャルなムーブメントを搭載した自動巻「ドレサージュ」を発表したことで、時計愛好家からも一目置かれる存在となりました。
近年では、アメリカのアップル社とコラボレーションして「アップルウォッチ」を発売しました。「アップルウォッチ」の発売に伴い、「エルメス」の時計はより求めやすくなり、性別や年齢を問わず幅広い層から絶大な人気を誇るようになりました。
時計作りにおけるエルメスのブランドポリシー
「エルメス」にとって時計は”時もまたオブジェのひとつである“とされていて、機能性や耐久性だけでなくファッション性を追求して製造されています。
時計だけを専門に製造しているブランドとは違い、革製品を中心にファッションをトータルで扱うブランドならではのファッション性の高さを時計の製造にも追求するこだわりの強さを感じさせます。
「エルメス」の時計は、こういったものづくりへのこだわりの高さからエルメスファンだけでなく時計愛好家からも支持されるようになりました。
Hウォッチの特徴
「エルメス」を代表する「Hウォッチ」は、1996年に誕生しました。「エルメス」のフレグランスボトルデザインやテーブルウェアを手掛けていることで知られるフィリップ・ムケによって生み出されました。発売以来圧倒的な人気を博し、ブランドのアイコニックなアイテムとして長年愛され続けています。
「Hウォッチ」の特徴をご紹介します。
エルメスを象徴するHモチーフのケース
「Hウォッチ」といえば、”H“の文字を文字盤にはめ込んでいるデザインが特徴的です。
ブランドを象徴する頭文字である”H“は、誰がみても「エルメス」とわかるデザインの中にあえて時間を取り込むという粋のある大胆なデザインが特徴的です。それでいてベルトとのバランスが絶妙でエレガントな逸品となっています。
文字盤を覆うケースは耐久性に優れているサファイアクリスタルが使用されていて、透明感と高級感があります。サファイアクリスタルは時計によく使われている人工素材で、耐久性だけでなく防湿性にも優れているため、「Hウォッチ」も生活防水仕様となっています。
クォーツ式ムーヴメント
「エルメス」で扱われている時計のムーヴメントは「Hウォッチ」に限らず、ほぼクォーツ式のものです。
クォーツとは、電池式時計のことで1969年以降に広まりました。現在、市場に出回っている時計はクォーツの電池式時計か、ゼンマイで動く機械式時計のどちらかです。クォーツは電池を動力源とし、電圧で振動する水晶振動子です。そのメリットは、自動巻に比べて時間を正確に刻むことが挙げられます。磁気の影響を受けにく、電池は3年から5年持ち、針が止まれば電池を交換することで長く愛用することが可能です。時計愛好家が好むのは機械式時計ですが、クォーツ式時計の精度の高さは高く評価されています。
クォーツ時計は、機械式時計と違ってリューズを巻き上げる必要がない為、着用するにあたって余計な手間がかかりません。機械が苦手な女性はクォーツ式の時計を選ぶことが多いと言われています。「Hウォッチ」は女性から絶大な支持を受けている時計ですし、そもそも小ぶりなケースには機械式のムーヴメントを搭載することができないので「エルメス」で展開している時計のほとんどは、クォーツ式になることは必然とも言えます。
ベルトの種類
「Hウォッチ」のベルトの種類はステンレススティールとレザーベルトの2種類です。
ステンレススティール
ステンレススティールのベルトは経年変化せず、耐久性に優れているため多くの時計愛好家から支持されている素材です。
Hモチーフに馴染むように高級感がり、柔らかい光沢感が特徴的です。
レザーベルト
「エルメス」といえば最高品質の革と職人技で生み出される最高級の革製品で有名ですが、ウォッチのベルトも同様です。
レザーベルトはパリの熟練の職人の手により、作り出されるので「エルメス」らしい革の美しさを時計を装着して味わうことが可能です。
レザーベルトは、カラーバリエーションと太さのバリエーションがあり、身に着ける人の個性を際立たせてくれます。
インターチェンジャブル・ストラップ
近年の「Hウォッチ」は、ワンタッチでベルトの付け替えが可能なインターチェンジャブル・ストラップが採用されています。
その日の気分や、コーディネイトに合わせてベルトを簡単に付け替えることが可能です。レザーベルトだけでなく、ステンレスブレスにも交換可能です。
サイズバリエーション
「Hウォッチ」のサイズバリエーションは全部で4種類(TGMサイズ・MMサイズ・PMサイズ・TPMサイズ)です。
TGMサイズ
ケースサイズ:32,2㎜×32,2㎜
ケースサイズが32.2㎜と大きめサイズのTGMは男性が着用してもおかしくないサイズ感です。男女ともに使えるサイズなので、性別問わず幅広く支持されています。2021年現在、品薄の希少製品となっています。
MMサイズ
- 国内定価:税込404,800円(自動巻ムーブメント・レザーストラップ・ルミエールホワイト文字盤)
ケースサイズ:26,4㎜×26,4㎜
2017年に登場したばかりの新作で、女性が着用すると存在感のある少し大きめのサイズです。視認性に優れていて、使い勝手が良くビジネス仕様にもおすすめです。このサイズは主に女性に人気です。
PMサイズ
- 国内定価:税込321,200円(クォーツ式ムーブメント・レザーストラップ・白文字盤)
- 国内定価:税込382,800円(クォーツ式ムーブメント・ステンレススティール製ブレスレット・白文字盤)
ケースサイズ:21㎜×21㎜
女性に人気の小ぶりな定番PMサイズは、華奢な手首に可愛らしく映える21㎜。
「Hウォッチ」はとても存在感があるデザインなので、PMサイズのような小ぶりなフェイスでも「エルメス」と一目でわかります。小さすぎず程よい大きさで、視認性が高く実用的な点も魅力で、女性にとても人気があります。
最小サイズTPM
- 国内定価:税込305,800円(クォーツ式ムーブメント・レザーストラップ・白文字盤)
- 国内定価:税込321,200円(クォーツ式ムーブメント・ドゥブルトゥールレザーストラップ・白文字盤)
ケースサイズ:17,2㎜×17,2㎜
最小サイズのTPMは、アクセサリー感覚でブレスレットのように着用したい方におすすめです。二重巻ベルトの「ドゥブルトゥール」との相性が良いのもこのサイズです。
Hウォッチはこんな場面におすすめ
「Hウォッチ」を着用するおすすめのシーンやコーディネイトをご紹介します。
カジュアルに
シャツにデニムといったボーイッシュでカジュアルなスタイルには、「Hウォッチ」の32,2㎜のTGMサイズか26,4㎜のMMサイズ、レザーブレスレットがよく合います。TGMサイズは男性がつけてもおかしくないサイズで、メンズライクなスタイルに良く合います。
華奢な女性の腕に大きいフェイスの腕時計はかえってセクシーな女性らしさを演出してくれますよ。
エレガントに
「Hウォッチ」は、さすが「エルメス」を代表する時計だけあって高級感と洗練された美しさがあります。
エレガントなドレススタイルには、21㎜のPMサイズか17.2㎜のTPMサイズがおすすめです。女性の華奢な手首に映える小降りなサイズは、フォーマルな場面にも間違いなく活躍するアイテムです。
まとめ
「Hウォッチ」は、「エルメス」の時計の歴史の中では比較的新しいモデルですが、最も人気のあるブランドを代表するアイコニックな製品であることに間違いありません。
「バーキン」や「ケリー」などの革製品に比べると「Hウォッチ」は比較的購入しやすい価格帯ですし、店頭に在庫が全くなく入手が困難という訳でもありませんので購入するハードルは低めです。そのような理由からファーストエルメスとして選ばれることも多いアイテムです。
発売から25年以上経ちますが性別、年齢問わず愛され続けている「Hウォッチ」は女性に送るギフトとしても喜ばれそうですね。
「エルメス」を象徴する時計、「Hウォッチ」をコーディネイトの仕上げに身に付けてみては如何でしょうか。いつもの服装も「Hウォッチ」のおかげでワンランク上の装いに格上げしてくれますよ。