シャネルの伝説のアイコンバッグ『2.55』
シャネルを代表する普遍的なアイテム、チェーンバッグ。今回はガブリエル・シャネルが生み出した伝説のアイコンバッグ『2.55』について誕生の由来とその魅力、特徴についてご紹介します。
目次
『2.55』バッグが伝説といわれる所以
シャネルのアイコニックなアイテム『2.55』が伝説のバッグと言われる理由についてご紹介します。
ガブリエル・シャネルの革新的なアイデアから生まれた
女性が持つバッグはハンドバッグかクラッチバッグが主流だった1920年代、ガブリエル・シャネルはバッグを持っている為に両手が自由に使えないことに煩わしさを感じていました。
彼女は、軍人が肩から下げていたバッグから着想を得て、1929年にバッグ本体に革紐をつけて肩に掛けるショルダーバッグを考案しました。
当時の常識を覆すこの革新的なバッグはシャネルのブティックで売り出され広まりますが、その後第二次世界大戦が始まりガブリエル・シャネルはブティックを閉鎖してフランスを去ることを余儀なくされました。
2.55の誕生の由来
第二次世界大戦後、フランスに戻ったガブリエル・シャネルは事業を再開。戦前に発売したショルダーバッグを当時の時代に即したデザインに改良し発売したものが『2.55』です。
『2.55』は1955年2月に発売された為、この名前が名づけられました。レザーよりもチェーンの耐久性が強いことにシャネルは着目し、ハンドルにチェーンを使用した革新的で実用的な『2.55』は女性の社会進出と共に当時の需要に見事にマッチし、女性の必需品となりました。
『11.12クラシックハンドバッグ』の原点
1971年にガブリエル・シャネルが亡くなるとメゾンは衰退します。
輝きを失ったメゾンの立て直しに成功したのは、“モードの帝王”と後に言われたカール・ラガーフェルドでした。
カール・ラガーフェルドは1983年に全カテゴリ―のアーティスティックディレクターに就任。彼は『2.55』を時代に即したデザインに再解釈、クラスプ部分にCCマークを施した『11.12クラシックハンドバッグ』を発表しました。ブランドロゴを大胆にあしらったこのバッグは、若い世代にも支持され絶大な人気を誇るアイコンバッグとして愛され続けるようになりました。
現在も人気を誇る『2.55』
発売されてから何十年も経っているにも関わらず、変わらぬ人気で、全く古さを感じさせない『2.55』ですが、実は一度廃盤となりました。『2.55』発売50周年を記念して2005年に復刻モデル『2.55Reissue』が発売されました。
『2.55Reissue』は当初は限定品として発売されましたが、あまりにも人気で反響があった為、定番品として継続して販売されるようになりました。現在もアイコンバッグとして絶大な人気を誇り、その定価は年々上昇し続け、中古品買取市場でも高値で取引されています。
『2.55』3つの特徴
『2.55』が伝説のバッグと言われる所以をご紹介しました。次に『2.55』の特徴についてご紹介します。
ダイヤ柄のキルティング(マトラッセ)
『2.55』の本体にはガブリエル・シャネルが競馬場で見た男性のジャケットから着想を得たダイヤ柄のキルティングが施されています。このキルティングはマトラッセ(フランス語でふくれ織)と呼ばれていて、美観だけでなく耐久性も兼ねそろえています。
マドモアゼルターンロック
開閉に影響されない四角いクラスプ「マドモアゼルターンロック」は、直線的でシックなデザインです。このクラスプをみれば一目で『2.55』とわかります。
フラットなメタルチェーン
レザーよりもチェーンのほうが耐久性に優れているとして、ガブリエル・シャネルが世界で初めて女性物のバッグにチェーンを用いたことで知られています。フラットなメタルチェーンは古さを微塵も感じさせないモダンな印象が特徴的です。
CCマーク
フラップの内側にはシャネルの象徴であるCCマークのステッチが施されています。外観ではなく、内観にロゴマークが施されています。
実用的なポケット
実用性を追求してデザインされた『2.55』は、フラップを開けると折り返し部分が二重になっているのが特徴です。外側のフラップの内ポケットにラブレターを潜ませておくという恋多き女性ガブリエル・シャネルらしい設計が特徴です。
また、バッグの内側には口紅やコンパクトを入れることが出来る内ポケットもあり、外観の美しさだけでなく機能性も兼ねそろえています。
『クラシック』と『2.55』の違い
先ほどもご紹介しましたが、カール・ラガーフェルドが就任した1983年に『2.55』を再解釈してデザインを一新したバッグが『11.12クラシックハンドバッグ』です。どちらも『マトラッセ』と呼ばれている為、区別がつきにくいのですが違いは2点あります。
ちなみに『マトラッセ』とは、ダイヤ柄の格子状のデザインの総称で、バッグ以外にも時計やコスチュームジュエリーにも『マトラッセ』が使われています。
チェーンのデザイン
1つ目はチェーンの違い。『11.12クラシックハンドバッグ』はチェーンにレザーが編み込まれているのに対して、『2.55』はフラットなメタルを組み合わせたチェーンが使用されています。
クラスプのデザイン
2点目はクラスプのデザインが異なります。
『11.12クラシックハンドバッグ』はダブルCCマークが施された一目でシャネルとわかるロゴが特徴的なのに対して、『2.55』は長方形の端正なラインが特徴的な「マドモアゼルターンロック」が施されています。。
『2.55』の価格
価格変動の推移
1955年の発売以来、『2.55』の価格は値上がり続けています。1990年までの価格上昇はインフレによるものでしたが、1990年以降は急激な値上がりが見られます。
2010年には2850ドルだった価格が、2016年には5000ドルと倍に近い価格改定がなされました。
直近では、長引くユーロ高の影響で2017年に6%~9%の値上げ、2020年5月にはアイコニックなアイテムに限定して5%~17%の大幅な値上げが行われました。『2.55』はその対象で現在の価格は6500ドル(エイジドカーフスキン 16×24×7.5㎝)になります。
中古市場での買取価格が高騰中
販売価格の高騰に比例して中古市場での買取価格も高騰しています。『2.55』は不動の人気を誇り、求める人が後を絶ちません。
また、ここ最近では若い世代にヴィンテージシャネルと呼ばれる2000年以前のバッグをファッショニスタや海外セレブが持ち始めたことで若者を中心に人気が高まりました。たとえ年数が経って古くなっても程よいヴィンテージ感があり、普遍的なデザインと品質の良さは変わらない為、高価買取が期待できます。
シャネルバッグには投資価値がる
定価が2010年より倍以上に値上げされたシャネルバッグは、その価格の上昇率と中古市場において高値で取引されている現状から、高い投資価値があると言われています。
時計や宝石と違って、経年劣化する革製品でこれだけの価値を誇るのは不動のシャネルバッグ人気と、確かな品質によるものです。
使い方やおすすめシーン
『2.55』は発売から50年以上もの長き間、女性の憧れのバッグとして不動の人気を誇っていますし、その価格が高騰していることから持つだけで特別感があり、気分が高揚します。
『2.55』を肩から下げるだけで、コーディネートにクラス感をプラスできます。持つだけでエレガントな女性らしさを際立たせる『2.55』は改まった場面でも活躍します。
また、肩から掛けて持つショルダータイプなのでアクティブに活動する際もおすすめです。
2.55のボディは洗練された長方形の美しいフォルムが特徴的で、マニッシュなパンツスタイルでもフェミニンなドレススタイルでもマッチします。まさに場面もスタイルも選ばない万能なバッグです。
まとめ
『2.55』が伝説のバッグと言われる所以とその魅力をご紹介しました。エレガントでクラシカルな『2.55』は現代の活動的な女性にとってまさに憧れの普遍的なマストアイテムです。価格は年々上昇し続ける一方ですので、いつかはとは言わずに機会があれば手に入れたい一品です。伝説のバッグ『2.55』を肩に下げて、ワンランク上のレディな装いを楽しんでみては如何でしょうか。