グッチとアレッサンドロ・ミケーレ~100年目の楽園~
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アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)は、グッチ(GUCCI)に楽園をもたらしたデザイナー。
ミケーレがクリエイティブ・ディレクターに就任した日から、グッチは花が咲き、鳥が舞い、虎が自由に歩きまわる楽園になりました。
動植物を大胆にアピールしたスタイルは、100年近いグッチの歴史の中でも、画期的なこと。
ミケーレらしい豪放な楽園は、グッチのWの交代劇をきっかけに生まれたものです。
目次
2015年、グッチに起きたWの交代劇
グッチ(GUCCI)は創業1921年、イタリア・フィレンツェ発祥のファッションブランドです。
創業以来メイド・イン・イタリーの革製品にこだわり、ファッションや時計、ジュエリーなども扱っています。
CEOとクリエイティブ・ディレクターのW退任
2015年、グッチにWの交代劇が訪れました。
グッチのCEO、パトリツィオ・ディ・マルコ(Patrizio di Marco)と、クリエイティブ・ディレクターのフリーダ・ジャンニーニ(Frida Giannini)の2人が、ほぼ同時に退任します。
ことにジャンニーニは、後任のクリエイティブ・ディレクターを決めないまま、2015年2月退任の予定を、約1ヶ月早めての退任でした。
新任のCEO・マルコ・ビッザーリ
すでに2014年末に、新任のCEOはマルコ・ビッザーリ(Marco Bizzarri)に決定していました。
ステラ・マッカートニー(Stella McCartney)のCEO、ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)の社長兼CEOをつとめるなど、優れた経営能力で名を馳せた人物です。
ビッザーリは就任早々、新しいクリエイティブ・ディレクターを探すことになります。
グッチというブランドを知り尽くし、強い個性があり、その個性を使ってグッチを輝かせる人物が必要でした。
新任のクリエイティブ・ディレクター・ミケーレ
新任のクリエイティブ・ディレクターに抜擢されたのは、アレッサンドロ・ミケーレ。
ビッザーリが求めていた人物像に、ミケーレはぴったりでした。
ミケーレは1972年、ローマ生まれ。
ローマのファッションアカデミーで学び、フェンディ(FENDI)のシニア・アクセサリーデザイナーを担当。
グッチの当時のクリエイティブ・ディレクター・トム・フォード(Tom Ford)に見いだされ、2002年にグッチに入社します。
2006年からグッチのレザーのデザインディレクター、2011年からはアソシエイト・クリエイティブ・ディレクターを担当していました。
ミケーレは10年以上の勤務経験によって、グッチの良い面も問題点も、すべてを把握しています。
彼だけの特別な美学と世界観を持っていますが、自分を過剰に主張することはありません。
自分がやりたい方向性と、グッチの今ある現実を調和して、最善の結果を出す能力を持っています。
ミケーレがビッザーリに伝えたプランは、ことごとく的を得ていたそうです。
世界のセレブリティが共感。ミケーレのグッチ
ミケーレが考えだしたグッチは、動植物が活き活きと生命を謳歌する、楽園のようなデザイン。
新たなグッチのアピールにふさわしい華やかさで、審美眼に優れたセレブたちの共感を呼びました。
海外でも日本国内でも、セレブたちがミケーレのグッチを着てSNSに登場。
最近では韓国内のみならず、世界中で人気のK-POPアーティストが衣装としてもプライベートでも多く着用していることで度々話題になっています。
ミケーレがデザインしたグッチの魅力は、グッチの売上げ全体に、巨額の貢献を果たします。
グッチの売上げは2014年に35億ユーロでしたが、2015年には40億ユーロまで急上昇。
2017年には62億1120万ユーロという、驚くべき記録を達成しています。
クリエイティブから始まる。ミケーレのグッチの特徴
ミケーレのグッチの特徴は、クリエイティブから発想をスタートしていること。
「どんなデザインの服を着たいか」「今までになかったファッションは何か」など、クリエイティブの側面から、ファッションを考えています。
ファッションの多くが、TPOから発想している
ファッションのアイデアのほとんどは、「それを着て、いつ誰と、どこへ行くのか?」という観点からスタートしています。
ファッションと社会性は関連が深く、その時々の服装によって、いつ誰と、どこで何をするのか、ほとんど決まってしまうからです。
ミケーレは、クリエイティブから始める
ミケーレの場合、TPOについて考えることを、いったんお休み。
「どんなファッションを実現したいか」というクリエイティブから、思考や発想をスタートします。
その方がファッションの自由度やデザインの可能性が拡がる、と考えているからです。
誰にも負けない?!ミケーレの好奇心
ミケーレには、きわだって好奇心が強いという特性もあります。
ミケーレが自分自身で見聞きしたこと、体験したことが、インスピレーションの源泉となっています。
自分が生まれた町・ローマの古代遺跡が好き。最新のファッションが集中するロンドンも好き。
本も映画も、芸術も、動植物も、ほかにも面白いもの、興味深いものはなんでも好き。
グッチ本社のミケーレの部屋には、あらゆる分野のグッズがあふれています。
コレクションを企画する時は、映画を作るように構想するそうです。
尊敬する人も、エリザベス2世女王陛下(Elizabeth II Her Majesty)、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)、エルトン・ジョン(Elton John)など、名前をあげはじめると、きりがありません。
なによりグッチというブランドの特性や歴史、そこで自分が行っている仕事や、仕事仲間が好き。
インタビューで、「ビッザーリは理想のCEO」と断言したこともあります。
ミケーレにとって、グッチは愛するものがいっぱいにつまった宝石箱なのかもしれません。
百花繚乱!ミケーレが作り出したグッチ
グッチガーデン(Gucci Garden)
https://www.gucci.com/jp/ja/store/gucci-garden
花が咲き、鳥が舞い、虎や象などが生命を謳歌する、楽園のようなグッチです。
それまでのグッチは、007のジェームズ・ボンドのような「社交界の大人」をイメージさせるブランド。
動植物がメインテーマのグッチは、セレブたちを驚かせるとともに、熱狂的なトレンドを作りだしました。
ジャポニズム(Japonism)
ミケーレのグッチの中でも、とくにセレブに人気なのが、豪華な刺繍を施したアメカジ風のジャケット。
ストリート感たっぷりのはずなのに、ミケーレがデザインすると、なぜかエレガントに決まります。
絵柄は多種多様ですが、日本風の虎や浮世絵、アニメ柄など、ジャポニズムの影響が見られます。
前CEOパトリツィオ・ディ・マルコと同様、ミケーレも日本好きなのかもしれません。
アニマリエ(animalier)
ミケーレがデザインしたアニマリエは、タイガーやビー(蜂)が人気です。
ビーのアニマリエには、盲目的な愛を意味する「Blind for Love」の文字。
魅力的な言葉選びと、豊穣を意味するビーを組み合わせて、とくに人気のあるアイテムになっています。
シルヴィ(Sylvie)
グッチのアーカイブをヒントに、グッチらしさをいっぱいにつめこんだバッグが生まれました。
バッグのフラップをくるりとめぐるゴールドのチェーンが、ファンにとってはたまらない可愛らしさ。
レザーとグログラン、2種類のショルダーストラップが付属したタイプもあります。
GGブルームス
GGブルームスは、手にするたびに思わず微笑んでしまう、花咲きほこるシリーズです。
グッチのオリジナルキャンバス・GGスプリームキャンバスの素材感も、彩り豊かな花々と好相性。
甘く濃厚なカラーリングが、花の香りや開花の喜びまで物語ります。
インターロッキングG
グッチの代表的なアイコン、インターロッキングGをミケーレがデザインしました。
ミケーレの魅力の一つは、繊細な表現も大胆なアピールも、自由自在にコントロールできること。
インターロッキングGは的確なポイントにアイコンを配置し、品格あるデザインになっています。
GGマーモント
GGマーモントも不動の人気を誇る、グッチの伝統的なエンブレムです。
重厚な素材感と軽やかな曲線がハーモニーしたアイコンは、グッチの大きな魅力。
テレビなどに登場して知名度が高いこと、インスタ映えもすることから、女性の人気が集中しています。
オフィディア
グッチの伝統と、ミケーレの現代的なデザインをミックスしたシリーズです。
レッドとグリーンが織りなすウェブディテールは、馬の腹帯をヒントに、1950年代に発案されたもの。
世界で初めてブランド名を刻印したとされるGGロゴなど、グッチの歴史の豊かさが伝わる名品です。
グッチが創業して以来、ミケーレのグッチガーデンに至るまで、約100年の歳月がありました。
波乱から、捲土重来へ。グッチ100年の歳月
グッチオ・グッチ~グッチの創業者
グッチオ・グッチ(Guccio Gucci)は、1881年、フィレンツェ生まれ。
10代でロンドンに渡り、世界初のラグジュアリーホテル・サボイ(SAVOI)のポーターを経験します。
サボイはアメリカのラグジュアリーホテルをヒントに、ロンドンに開業したハイクラスのホテル。
世界各国の王侯貴族が集結するホテルで働いた経験は、グッチオに大きな影響を与えました。
王侯の多くが大勢の従者を引き連れ、大量の革製の旅行用トランクを使って旅行します。
トランクの一つひとつに紋章やイニシャルが刻印され、持ち主の身分を誇らしげに表示します。
トランクの中には宝石や贅沢品、豪華な素材を使った衣装などがつまっています。
グッチオにとって、そういう贅沢品を見るのも、贅沢品を使いこなす人々を見るのも、その人たちの振る舞いや考え方も、すべてが初めての体験でした。
1921年、グッチオ・グッチ鞄店の開業
1921年、グッチオはフィレンツェにグッチオ・グッチ鞄店をオープンします。
現代まで続く、ハイブランド・グッチの歴史の始まりです。
グッチオには「価格は忘れても、品質は記憶に残る」という考え方があり、優れた品質のバックの販売と、充実した顧客サービスに余念がありませんでした。
ところが第二次世界大戦の折に、グッチの店は初めての試練と向き合うことになります。
試練の一つは、バッグの材料となる革の不足でした。
この試練を、グッチオはコーティングをほどこしたキャンバス地でクリア。
日本から輸入した竹をハンドルにしたバンブーバッグで、革の使用量をさらに減らします。
バンブーバッグは革の節約というより、新素材のユニークなバックとして、現在まで人気が続く大ヒット商品になりました。
このころのグッチには、後年の波乱の予兆がありました。
イギリスの女王・エリザベス2世陛下がグッチの店を訪れた時、女王の従者に勧められてバッグを贈ったものの、「金も払わん乞食はもう来るな」と発言したと伝えられています。
1953年、ニューヨーク支店オープン
グッチオ亡き後、グッチオの息子アルド・グッチが、グッチの世界展開をスタートしました。
1953年、ニューヨーク支店をオープン。1960年代には、パリやロンドンにも進出。
オードリー・ヘップバーン、ジャクリーン・ケネディ、モナコ公妃グレース・ケリーなど、著名なセレブが次々とグッチを愛用します。
アルドはその後も世界各地に店舗を増やし、グッチは繁栄する一方に思えました。
2代目の社長・パオロ・グッチ
グッチ2代目の社長は、グッチオの孫のパオロ・グッチ。
この頃のグッチには、2つめの試練が訪れていました。
創業者グッチオは、自分の店に来店したイギリスの女王に「お金を払わない人は必要ない」という意味の発言をしたことがあります。
そのグッチオの考えをまねたかのように、財産めあての若い女性が、パオロ社長のいとこ・マウリツィオ・グッチに近づき、2人は結婚しました。
パオロが亡くなったあと、女性とグッチ一族は、グッチの経営の独占を巡って争います。
マスコミはグッチの争いを綿密に報道し、グッチのイメージは悪くなる一方。
安価な製品の増やしすぎ、グッチのコピー商品が出回るなど、経営面でも行きづまってしまいました。
結局グッチ一族は、グッチの経営から退くことになります。
新しいCEOには、グッチ・アメリカの社長だったドメニコ・デ・ソーレ(Domenico De Sole)が選ばれました。
メローやフォードなど、グッチを愛するデザイナーたちと共に、捲土重来(けんどちょうらい)を果たす人物です。
一陽来復。グッチを救ったデザイナーたち
「ドーン・メロー」- ブランドイメージを復活
ドーン・メロー(Dawn Mello)は1989年、マウリツィオ・グッチに招かれ、副社長兼クリエイティブ・ディレクターに就任した女性です。
アメリカの高級百貨店・バーグドルフ・グッドマン(Bergdorf Goodman)の社長など、ファッションの小売りや経営の現場で、多くの経験を積んでいます。
当時のグッチは安易な製品を安く大量に販売してしまい、ブランドイメージが低下していました。
メローとCEO、フォードたちが協力して、製品数を大幅に減らし、製品の品質を向上することで、グッチのブランドイメージを復活します。
「トム・フォード」- ロマンチックな新スタイル
1994年、ドーン・メローがトム・フォードを自身の後継に推薦します。
美術史や建築、映画なども学んだうえで、ファッション業界に入ったデザイナーです。
フォードはそれまでのグッチの柔和なエレガンスから離れ、高品質の素材を使ったロマンチックなシルエットを作り出します。
グッチのスーツやドレスで装うだけで、何かが始まる気がする、嬉しい予感を感じさせるスタイルです。
94年に約2億ドルだったグッチの売り上げは、2004年には30億ドルに成長。
VOGUE最高国際デザイナーなど、多くのデザイナー賞を受賞したことでも知られています。
「フリーダ・ジャンニーニ」- 温かく、優しく、美しく
2006年、フリーダ・ジャンニーニがクリエイティブ・ディレクターに就任します。
ジャンニーニは1972年のローマ生まれ。
ローマ・ファッション・アカデミーを卒業し、フェンディのデザイナーを務めてから、2002年にグッチに入社しました。
ジャンニーニはデザイナーになると決めた時から、グッチで働くことを夢見ていたそうです。
グッチはジャンニーニによって、女性らしい温かさや優しさという魅力を手に入れます。
モナコ公妃グレース・ケリーのお気に入りだったフローラも、グッチ伝統のホースビットも、ジャンニーニの手で美しく、現代的に生まれ変わりました。
100年目の楽園へ。CEOがおすすめのグッチ
グッチを救ったデザイナーたちは、現在もそれぞれの現場で活躍しています。
ドーン・メローは、自分の会社である「Dawn Mello&Associates LLC」の社長を務めています。
トム・フォードも2005年、自分のブランドを立ち上げました。
ファッションだけでなくコスメやアイウェアでも、フォードらしいスイートなムードを展開しています。
フリーダ・ジャンニーニは、2015年にパトリツィオ・ディ・マルコと結婚。
ファッション業界に戻るかどうかは、検討中だそうです。
ミケーレはグッチのクリエイティブ・ディレクターとして、精力的に活動中。
まもなく訪れるグッチの100周年に向けて、グッチガーデンの手入れを怠りません。
CEOビッザーリから皆さまへのおすすめは、「GUCCIDIY」だそうです。
グッチのオンラインショップで、バッグやシューズなどの豊富なアイテムを、自由にカスタマイズできます。
グッチ100年の歴史と伝統を、最新のデジタル技術でお楽しみください。
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