エルメスを代表する財布「べアン」の特徴と種類は?その魅力について
「エルメス」は1837年にティエリー・エルメスがパリに馬具工房を開いたことからスタートしました。高級馬具製造の技術を駆使して革小物を制作し、ファッションブランドに転身した180年以上の歴史のあるフランスの老舗ブランドです。
「エルメス」と言えば、絶大な人気を誇る「バーキン」や「ケリー」などのバッグをまず思い浮かべますが、「エルメス」の財布といえば「ベアン」が最も認知度が高いのではないでしょうか。今や、「べアン」はブランドを代表する普遍的な人気を誇るロングセラーアイテムです。
「エルメス」の象徴であるHバックルと美しい上質なレザーのコンビネーションが魅力の「ベアン」。今回はその魅力と特徴、バリエーションをご紹介します。
目次
ベアンの歴史
「べアン」という名前は、フランスの南西部にあるべアン地方に由来しています。
1837年に高級馬具を製造する馬具工房として創業した「エルメス」は、ファッションブランドに転身した後も、その技術の高さを駆使して高品質なアイテムを制作し続けてきました。中でも「エルメス」の上質な皮革と加工技術を手にとって楽しめる財布として誕生した「べアン」は発売から20年以上も経ちますが、その人気は衰えることはありません。
発売当初は「ベアンクラシック」のみでしたが、サイズや仕様、素材のバリエーションを増やし展開しています。
べアンの特徴
「べアン」は「エルメス」の革小物を代表する、財布の中で最も人気のあるコレクションです。
エレガントでシンプルな外観が特徴的で、内側にはクレジットカードを収納するカードポケットと、お札を収納するポケット、小銭を収納するコインパースが備わっています。
財布の正面中央上部には、「エルメス」のシグネチャーであるH型のバックルがあり特徴的で、財布を開閉する際には、レザータブをH型のバックルに収めて使います。
「べアン」は最高品質の革からさらに厳選した上質な革だけを採用して作られていて、素材の種類も牛革からエキゾチックレザーまで豊富に展開しています。サイズや仕様が豊富にある為、好みや用途に合わせて選ぶことができます。
べアンの種類
「べアン」は長財布、折財布のどちらもあり、バリエーション豊富に展開しています。
べアンクラシック
横17.5㎝×縦9㎝×幅1㎝
「べアンクラシック」は、「べアン」の誕生当初からあるデザインで、べアンシリーズの中でも最もポピュラーなタイプです。
お札入れにマチがないスリムなタイプで、長財布が良いけどお財布をコンパクトにして持ち歩きたい方、現金をあまり持ち歩かずカードで買い物をするキャッシュレス派の方におすすめです。
「べアンクラシック」の構造は、内側にカードポケットが5つ、領収書などが入れられる縦長のフラップポケットが3つ、お札入れが1つ、小銭を入れるコインパースが1つ備わっています。
スリムでコンパクトな長財布なので、ジャケットの内ポケットにもスムーズに収納することが出来ることから、女性だけでなく男性にも人気があります。
無駄が全くない洗練されたデザインと最高級の品質、機能性の高さから男女共に本物思考の方に支持されています。
べアンスフレ
横17.5㎝×縦9㎝×幅1㎝
参考上代356,400円
「べアンスフレ」はお札入れに1㎝程度のマチがあり、収納力に優れています。お札が100枚、新札なら150枚まで収納することが出来る為、現金派におすすめです。
「べアンクラシック」と同様で、内側にはファスナー付きのコインパース、カードポケット5つ、フラットポケット2つの仕様となっています。フラットポケットには、ポイントカードやレシートなどをたくさん収納することが出来るので、一つの財布の中で領収書などを管理したい人にもお勧めです。
「べアンスフレ」は、「べアンクラシック」と外観の違いはほとんどありませんが、お札入れにマチがない「べアンクラシック」はマチがないスリムなサイズ感となる為、たくさんのお札を収納することが出来ません。
「べアンスフレ」はその点を改善し、スリムなサイズ感はそのままに、お札がたくさん収納できるといった点で使い勝手が良く、特に女性に支持されています。
べアンコンパクト
横12㎝×縦9.5㎝×幅1㎝
参考上代300,300円
「べアンクラシック」を2つ折りにしてコンパクトに持ち歩きやすくしたのが「べアンコンパクト」です。
札を二つに折って収納するタイプで、H型のバックルにはめてベルトで開閉します。内側のカードポケットは4つ、コインパースが1つ、お札入れ、縦長のフラットポケットが1つ備わっています。
長財布の「べアンクラシック」の伝統的な「H」マークのクラスプにベルトを通すデザインはそのままに、必要最低限のカードとお札、小銭を収納出来る使い勝手の良さが人気の理由です。
べアンミニ
横10.5㎝×縦7㎝×幅2㎝
参考上代192,500円
「べアンコンパクト」よりもさらに小さいのが、「べアンミニ」です。コインパースが1つ、オープンポケットが3つ備わっていて内装は極めてシンプルです。
「べアンミニ」はサイズ感としては名刺入れほどの小ささで、必要最低限の小銭とカードを持ち歩くのにちょうど良いサイズです。
問題なのは、札入れがないことです。マチのあるオープンポケットに札を折りたたんで収納することが出来るのですが、現金派にとっては使い勝手が悪いと感じるようです。
最近は、キャッシュレスが浸透したことにより「べアンミニ」のような小ささを極めたコンパクトウォレットの人気が高まりつつあります。
べアンレクトベルソ
横10㎝×縦10㎝×幅2㎝
「べアンコンパクト」に比べるとやや小ぶりなサイズの「べアンレクトベルソ」。すでに製造が終了している為、入手が困難な希少モデルです。
「べアンレクトベルソ」はコインケースが独立して作られたタイプの両開きのお財布のことを指します。
コインケースが外側にあるのが特徴で、コインケースの開閉はフラップ内側のスナップボタンで行います。「べアンレクトベルソ」の内側にはカードポケットは8つ、札入れ1つ、フラットポケットが2つ備わった仕様となっています。
現金もカードもどちらも持ち歩くのに最適で、尚且つコンパクトなので使い勝手が良く、廃盤となった今でも根強い人気を誇っています。
べアンの素材
べアンも「バーキン」や「ケリー」同様、素材のバリエーションが豊富です。
ヴォー・エプソン
現在はヴォー・エプソンと呼ばれていますが、元々はクシュベルと呼ばれていました。
2003年にクシュベルの後継として登場したヴォー・エプソンは、雄の仔牛の革で、細かい型押しが施されています。全体的に張りがあって、固めの質感の為、型崩れしにくく、傷がつきにくい素材です。丈夫で耐久性に優れている為、扱い安さが人気です。
かっちりとした質感の為、フォーマルでドレッシーな雰囲気があり、さらに程よく光沢感があり発色が良いのがヴォー・エプソンの特徴です。
外観の美しさと、耐久性が優れている為、ヴォー・エプソンは、「バーキン」や「ケリー」などのバッグや、その他の革小物にも多用されています。
ボックスカーフ
ボックスカーフは、生後〜6ヶ月の雄の仔牛の革です。非常にキメが細かく滑らかな肌触りが特徴です。
ボックスカーフは、動物の皮からタンパク質や脂肪を取り除いて革に加工する「なめし液」に浸す時間を短くすることで、革本来の質感と硬さをより感じることができる素材です。革の表面にはガラス加工が施されている為、艶感があります。
傷がつきにくく高級感のあるボックスカーフは、財布だけでなくバッグや革小物でも採用されている素材です。
エキゾチックレザー
ハイクラスで高級感のある財布を持ちたい方には、エキゾチックレザーがおすすめです。「べアン」にはオーストリッチとアリゲーターの2種類のエキゾチックレザーが展開しています。
オーストリッチ
オーストリッチは、南アフリカやオーストラリアが原産地のダチョウの革です。クロコダイルと同様、最高級素材とされていて、限られたごく僅かな生産数の為、非常に希少価値が高いレザーです。
オーストリッチは、発色が良くさまざまなカラーバリエーションが展開しています。
オーストリッチの革の表面は、柔らかい質感で、羽を抜いた跡の凹凸のクイルマークとよばれる水玉の模様が見られます。クイルマークの入り方は一つ一つ個体差があり、その革の表情は唯一無二の独特の魅力があります。
「エルメス」は希少なオーストリッチの革の中からさらに厳選して、クイルマークの模様が均一でバランスをとれた部分のみを採用して製品化しています。そして、製品化できる職人も限られてる為、オーストリッチの「べアン」は大変希少なアイテムとして人気を博しています。
アリゲーター
アリゲーターはアメリカのミシシッピ川流域に生息するワニのことです。「べアン」で展開しているレザーの中でも最も高級な革です。
アリゲーターはクロコダイル(ニロティカス・ポロサス)に比べると斑模様が少し大きめで、スポットと呼ばれる点模様がないことが特徴です。発色が良く、ピンクやオレンジなどの鮮やかな色でもアリゲーターなら美しく仕上がります。
アリゲーターには2種類の仕上げの方法があり、革本来の油分を石で研磨し摩擦によって引き出した光沢のあるリセ仕上げと、フェルトで磨きあげてつや消しの加工を施したマット仕上げの2種類があります。
リセ仕上げとマット仕上げのどちらを選ぶかは好みですが、リセ仕上げは使い込むほどに艶感のある光沢がなくなりマットな質感に経年変化し、逆にマット仕上げは使い込むほどに油分を吸収して艶感が出てきます。アリゲーターは型崩れしにくく、経年変化で革の表情の変化を楽しむことが出来る唯一無二の素材です。
オーストリッチ同様、希少で上質なアリゲーターの革の中から斑模様が細かく、均一して美しい部分の革のみを厳選して製品化されている為、非常に高額となります。
「エルメス」の財布の中でも、最も高級な素材であるアリゲーターはクラス感があり、所有することがステイタスです。それ故に絶大な人気を博しています。
まとめ
エルメスを代表する「べアン」は、エレガントでクラス感のあるデザインと最高品質の革のコンビネーションが美しくて魅力的な財布です。
男女共に絶大な人気を誇り、エルメスの財布と言えば「べアン」というぐらい認知度が高く誰もが憧れる最高クラスの財布です。
持つだけでワンランク上の自分になれる「べアン」、是非ワードローブに追加してみては如何でしょうか。