エルメスの年間テーマとは?それに伴って限定で発売されたカデナをご紹介
「エルメス」は、ティエリー・エルメスが1837年に創業した180年の歴史のあるフランスの高級ブランドです。
創業当初は高級馬具を製造する工房としてスタートし、その優れた技術で作り出された製品は当初から高い評価を得ていました。
20世紀には、いち早く移動手段の変化に伴いファッションブランドに転身。その優れた馬具製造技術を用いてバッグや財布、革小物などのファッションアイテムを製造して著しく成長しました。
「エルメス」の製品は、全てにおいて卓越した職人の手によって生み出されています。最高級の厳選された素材と、製造技術の高さによって生み出された製品は、人々を魅了し続け、「エルメス」ブランドは絶大な人気を誇るラグジュアリーブランドの中でも格上の存在となりました。
「エルメス」は創設150周年となる1987年以降、ブランドの年間テーマを毎年定めていて、年間テーマに沿ったデザインをモチーフにしたアイテムを発売しています。
ラグジュアリーブランドのトップに君臨する「エルメス」が発表するテーマは、その年のトレンドに影響を与える為、ファッション業界から非常に注目されています。
今回は、絶大な人気を誇る「エルメス」から毎年発表されるテーマと、そのテーマに伴って限定発売されたカデナについてご紹介したいと思います。
目次
エルメスの年間テーマとは
「エルメス」では創設より150周年を記念した1987年より毎年、「年間テーマ」を定めて、それに伴ったアイテム(バッグやカレ、革小物など)を発売してきました。
フランス語で「年間テーマ」は「Le thème de l’annèe」と呼ばれています。
毎年発表される「年間テーマ」に沿って新しい製品が発売されます。定番の「エルメス」らしさにテーマが加わることでオリジナリティのあるエッセンスが加わり、独創的で魅力的な限定製品が展開されます。エルメスファンは新たな年間テーマに沿った新作が発表されることを毎年心待ちにしています。
「エルメス」の年間テーマの発表を心待ちにしているのは、エルメスファンだけではありません。
高級ブランド業界を牽引する存在である「エルメス」の年間テーマは、ファッション業界にとっても重要でその年のトレンドに影響がある為、多くの人が注目しています。
エルメスの年間テーマ一覧
- 1987年 ”Feux d’ Artifice “ 花火
- 1988年 ”Exotisme” エキゾチズム カデナ「エレファント」
- 1989年 ”Vivre la France” フランス
- 1990年 ”Air Libre” アウトドア
- 1991年 ”Extreme Hermes” 遠い国でのエルメス カデナ「ランタン」
- 1992年 “La Mer” 海 カデナ「ペリカン」
- 1993年 ”Le Cheval “うま カデナ「ペガサス」
- 1994年 ”Le Soleil” 太陽 カデナ「ひまわり」
- 1995年 ”La Route” 道 カデナ「カタツムリ」「コンパス」
- 1996年 ”La Musique” 音楽 カデナ「ハーブ」
- 1997年 ”I’Afriqua” アフリカ カデナ「ライオン」
- 1998年 ”I’Larbre” 木 カデナ「ジョウロ」
- 1999年 ”Dans les Etoile” 星 カデナ「流れ星」
- 2000年 ”Premiers pas dans le Siecle “新世界への第一歩 カデナ「クラシックH」
- 2001年 “A la Cecouverte de la Beaute du monde” 地球の美 カデナ「地球」
- 2002年 “La Main “手 カデナ「ハンド」
- 2003年 “La Mediterranee “地中海 カデナ「地中海」
- 2004年 “La Fantasie” ファンタジー カデナ「ハート&キー」
- 2005年 “Grand fleuve” 大河 カデナ「カバ」
- 2006年 “Paris “パリの空気・風 カデナ「帆船」
- 2007年 “Annee de la Danse” ダンス カデナ「ペガサス」
- 2008年 “Fantaisies Indiennes” 魅惑のインド カデナ「蓮」
- 2009年 “Lechappee belle “美しき逃避行 カデナ「トランクケース」
- 2010年 “Conte et raconte” 語り継がれる物語 カデナ「ブック」
- 2011年 “La main de l’artisan” 現代(いま)に生きるアルチザン
- 2012年 “Le temps devant soi” “時”の恵み
- 2013年 “Chic le sport! ” スポーツは素敵!
- 2014年 “Les metamorphoses de l’objet” メタモルフォーズ(変身)
- 2015年 “Invitation a la Flanerie” フラヌール いつでもそぞろ歩き
- 2016年 “Nature at full gallop” 自然・軽やかなギャロップ
- 2017年 “Le sens de l’objet” オブジェに宿るもの
- 2018年 “A vous de jouer! “演じる、遊ぶ、プレイフルな人生!
- 2019年 “In the pursuit of dreams “夢を追いかけて
- 2020年 “Le geste innovant “イノヴェーションの動き
- 2021年 “Himan Odyddey” オデッセイ・長い冒険旅行
2021年の年間テーマは?
「エルメス」が2021年に掲げている最新の年間テーマは、「Himan Odyssey オデッセイ 長い冒険旅行」です。
古代ギリシャの長編叙事詩である「Odeysseia」から着想を得ています。「Odeysseia」の主人公オデッセウスが10年間旅した体験を記した物語です。長い旅の間に、徐々に良い方向に向かうようにという願いが込められています。
年間テーマに沿ったカデナ
「エルメス」では年間テーマを発表するようになった1987年より、そのテーマに沿ったバッグやカレ、革小物などの数々の新製品や新しいカラーを発表するようになりました。
1988年には、年間テーマを具現化した限定カデナを発売。限定カデナは2010年まで(1989年と1990年を除く)毎年発売されていて、その種類は全部で22種類あります。
限定カデナには、テーマ名と年号が刻印されているものもあり、エルメスファンは毎年限定カデナが発売されることを心待ちにしていました。
2010年の「ブック」を最後に、限定カデナは発売されていませんが、復活を待ち望んでいる声も多く聞かれます。
カデナの使い方
カデナはフランス語で「南京錠」と言う意味です。「ケリー」や「バーキン」などのバッグに付属でつく錠前として知られています。
今回ご紹介するカデナは、1988年〜2010年まで毎年エルメスの年間テーマから着想を得た様々なモチーフの限定カデナです。キーで開閉するタイプの南京錠とは別に、スクリュー式またはバネ式を採用してキーで開閉する必要をなくし、飾りとして作られたものです。
用途としては、バッグに飾りとしてつけても良いですし、鍵をフォルダーしてキーリングとして使っても良いですし、革紐をつけてペンダントにするのもおすすめです。
素材はゴールドのメッキのもの、シルバーのパラジウムコーティングのもの、シルバーのものなど様々です。
1988年 Exotisme エキゾティズム カデナ「エレファント」
1988年は、亜熱帯地域の動植物やクロコダイルを多様に製品に取り入れました。その年の年間テーマは、レザーの原産国に思いを馳せて、ブランドの原点に立ち返る異国への旅をイメージした「エキゾティズム」です。
「エキゾティズム」は異国情緒という意味があり、外来的なイメージを表現した「エレファント」をモチーフに採用しました。エルメスの年間テーマを具現化した記念すべき初の限定カデナがこの「エレファント」です。
1992年 de la mer 海 カデナ「ペリカン」
”海”が年間テーマの1992年に発売された限定カデナは「ペリカン」です。
大いなる海を冒険し、新たな可能性を見出す海の鳥がモチーフに採用されました。
1993年 Le Cheval うま カデナ「ペガサス」
1993年の限定カデナは、「エルメス」の原点でありブランドイメージを象徴する動物”馬”がモチーフです。
更なる高みを目指して次のステージへ高く舞い上がる意味を込めて「ペガサス」を限定カデナに採用しました。
原点に立ち返り、ブランドの飛躍を願う年間テーマに沿っています。
1999年 Dans les Etoile 星 カデナ「流れ星」
20世紀最後の記念すべき年となる1999年は、”美しい蒼い地球を堪能できる星の世界へエルメスと共に”が年間テーマで、この年は日本で「星を巡る旅」が開催されました。
宇宙で輝く美しい星が、カデナにそのままデザインされました。
2002年 La Main 手 カデナ「ハンド」
2002年の限定カデナは職人にとって一番の道具である「手」です。
「エルメス」の伝統的な職人による卓越した製造技術をもっとアピールしていこうという姿勢を示した年間テーマに沿ってデザインされました。
2003年 La Mediterranee 地中海 カデナ「地中海」
2003年の限定カデナは、テーマである「地中海」をそのままモチーフに採用しました。
アフリカとヨーロッパを繋ぐ大地の中心である「地中海」。古くから多くの人々がこの海を渡って文化の交流が行われてきました。
「地中海」の偉大さにオマージュを捧げた年間テーマに沿って、「地中海」そのままを限定カデナのモチーフに採用しました。
2004年 La fantasie ファンタジ カデナ「ハート&キー」
2004年の限定カデナはハートとキーがモチーフです。
全てにおいて必要不可欠な「ファンタジー」。製品を創作する上で自由奔放なファンタジーの要素が加わった新生「エルメス」の誕生を示す年間テーマから、着想を得て「ハート&キー」がカデナに採用されました。
限定カデナまとめ
限定カデナをいくつかご紹介致しました。
前述した通り、限定カデナは全部で22種類あり、その希少性から全てを揃えることは困難となっています。
一時期は、限定カデナを巡る争奪戦も繰り広げられていましたがその人気ぶりも落ち着き、2010年の「ブック」を最後に発売されておらず、エルメスファンからは復活を待ち望んでいる声が上がっています。
年間テーマは今後も継続して毎年発表されることが予想されるので、その内年間テーマに沿った限定カデナの販売が復活するのでは、と期待しています。