ロレックス唯一のクロノグラフ「デイトナ」がこれほどまでに人気がある訳
「ロレックス」の中でも最も人気の高い、唯一のクロノグラフ「デイトナ」。数ある多くの時計の中でも「キング・オブ・クロノグラフ」と評されています。
正式名称は「ロレックス オイスター パーペチュアル コスモグラフデイトナ」、誕生より60年以上の歴史があります。
近年、「デイトナ」の人気はとどまるところを知らずその希少価値は上がり続ける一方です。男性の憧れの時計「デイトナ」その人気の秘密に迫ります。
目次
デイトナの歴史
「ロレックス」がクロノグラフの製作を始めたのは1920年代のことです。当初は一般的なケースに他社の製造したクロノグラフムーブメントを搭載していました。1933年には「デイトナ」の全身となる「コスモグラフ」と名付けられた時計が誕生しました。
デイトナ前身モデルのプレ・デイトナ
1950年代後半から「デイトナ」が誕生する1963年まで製造されたRef.6238を別名「プレ・デイトナ」と呼びます。Ref.6238は文字盤のROLEXの文字の下に「CHRONOGRAPH」と記載されていて、タキメーターが「デイトナ」と違ってベゼルではなくダイヤルに記載されています。
3つのインダイヤルは3時と6時と9時の位置に配置されていて初代「デイトナ」と外観はほとんど変わりません。ムーブメントは、バルジュー製キャリバーCal72Bが搭載されています。
Ref .6238は「デイトナ」が誕生する1960年代前半まで製造されました。当時はそれほど人気がなかったRef.6238ですが、現在ではデイトナの原型として注目されその希少価値が高まっています。
コスモグラフ デイトナ誕生
1963年、後に「キング・オブ・クロノグラフ」と称される「コスモグラフ デイトナ」が発表されました。
その背景には、1959年にフロリダにオープンしたサーキットの「デイトナ・インターナショナル・スピードウェイ」のオフィシャルタイムピースを務めたことがあります。そのことからモータースポーツとの関係性が強まり、既存モデルの「コスモグラフ」に「デイトナ」の名を組み合わせて「コスモグラフ デイトナ」が誕生しました。
「デイトナ」はその名の通り「宇宙」と「モータースポーツ」をコンセプトに開発された「ロレックス」のスポーツコレクションモデルです。計測機能のクロノグラフを搭載していて、ベゼル上にタキメーターを配したデザインが特徴的で、表記も200までとなりました。よりカーレース用モデルとして生まれ変わった「コスモグラフ デイトナ」は、発売当初の売れ行きは思わしくなかったのですが、モータースポーツ人気もあり1960年代後半頃から徐々に認知されるようになりました。
1988年代まで製造された「デイトナ」にはバルジュー社製手巻きムーブメントが採用されています。手巻きの「デイトナ」は現在ではアンティークロレックスの最高峰として時計愛好家から支持されていて、中古市場で1000万円前後の高額で取引されています。
デイトナのパーペチャル化
1988年ゼニス社の傑作クロノグラフ・ムーブメント「エル・プリメロ」をベースにして、「デイトナ」は第4世代となるRef.16520からパーぺチャル化(自動巻)されました。ベゼルは金属製に統一され、サファイアクリスタルの風防が採用されたことで100mまで防水性能が高まり、パワーリザーブは54時間。より実用性の高い時計に進化しました。
2000年まで「デイトナ」はゼニス社のキャリバーを搭載し続けていました。
デイトナのマニュファクチュール化
2000年には、完全自社製クロノグラフムーブメントを開発し、「デイトナ」は第5世代にしてようやくマニュファクチュール化を成し遂げました。
Ref.116520は2000年から2016年までの間に渡り製造されました。現行モデルの前世代にあたるモデルがRef.116520です。Rolexの技術者たちが約10年に渡り研究し開発したクロノグラフムーブメントcal.4130を搭載しており、それに伴いパワーリザーブは54時間から72時間に。ハック機能が搭載され、垂直クラッチ式クロノグラフが採用されたことで精度が大幅に向上しました。「ロレックス」が自社開発したクロノグラフムーブメントは高性能で完成されており、時計愛好家に支持され大きな話題となりました。
「ロレックス」念願のマニュファクチュール化は、「デイトナ」人気を加速させました。
現行モデルのデイトナ
現行モデルの第6世代「デイトナ」Ref.116500LNは2016年の3月にバーゼル・ワールドで発表されました。
ムーブメントは第5世代と同じCal.4130を引き継いでいます。
現行の「デイトナ」は今までプラスチックと金属で展開していたベゼルを、衝撃に強いセラミック製に改良しました。ベゼルのタキメーター印字部分に特殊コーティングを施し、耐久性が増したことで非常に注目を浴びました。改良が加えられたブラックセラクロムタキメーターベゼルがRef .116500LNの最大の特徴です。
ステンレススティールのRef.116500LNの定価は2021年4月現在1,387,100円ですが、市場では新品価格が250万円から300万円で取引されていて価格が高騰しています。ブラックの文字盤よりもホワイト文字盤の方がどちらかというと人気が高いです。
デイトナの特徴
「デイトナ」は直径40㎜、厚さ12.5㎜のケースで無駄のないデザインが魅力です。定価はステンレススティールモデルで税込1,387,100円と、スポーツモデルの中でも高額な価格設定となっていますが、希少性による付加価値が加わり市場相場は定価の倍以上となっています。
「デイトナ」は「ロレックス」の腕時計の中でも唯一、クロノグラフとタキメーターが搭載されています。
レース用のモデルとして開発された「デイトナ」のクロノグラフは、時間を計測する機能で、文字盤の中に積算計と呼ばれる小さな時計が配置されています。3時側にあるのが30分、6時側が秒針、9時側に12時間の積算計が配置されています。
タキメーターは時速を計測することができる機能です。例えば、レース時に1キロ過ぎた時点でストップのプッシュボタンを押すとクロノグラフの秒針がベゼルの上の数字を指し、平均速度を計測することが可能です。また、この機能を応用してコピー機などの機械の生産率を計算することも可能です。プッシュボタンはネジ込み式リューズを採用していて、ネジを解放しないと押すことができない仕組となっており、防水性に優れています。
「デイトナ」のリューズは高い機密性を誇るトリプルロックリューズが採用されていて、水が時計内部に侵入することを完璧に防いでくれます。
現行のデイトナには暗闇でダイヤルを美しく照らす夜光塗料クロマライトが採用されていて、ダイヤルを照らして暗闇での視認性を高めてくれます。
ムーヴメントは2000年にデイトナ専用として開発されたCal.4130を搭載しています。圧倒的高性能なこのムーブメントは、72時間のパワーリザーブが可能で、クロノグラフの針飛びを解消した垂直クラッチ構造です。2000年以降に製造された「デイトナ」は自社製ムーブメントを搭載したことでメンテナンス性が向上したことにより、万が一の故障に対応しやすくなりました。
「デイトナ」は、デビュー当時はイエローゴールドとステンレスモデルのラインナップでしたが、1988年以降はコンビモデルが追加されました。その後、ホワイトゴールドモデル、ピンクゴールドモデルが追加、誕生50周年にはプラチナモデルが加わりました。
「デイトナ」はスポーツウォッチとしてだけでなく、ファッションに合わせて豊富な素材から自分にあったモデルを選ぶことが出来ることで幅広い層から支持されています。
デイトナが人気の理由
「デイトナ」は「キング・オブ・クロノグラフ」と称されるだけあって、高機能で耐久性、視認性、防水性全てをとっても最高峰のスポーツウォッチであることに間違いありません。世界中から圧倒的な需要があり、その人気はとどまるところを知りません。
機能性の高さ、ブランドの認知度の高さが背景にあることは言うまでもありませんが、なぜそれほどまでに人気があるのでしょうか。人気の理由を解説します。
入手が極めて困難であること
「デイトナ」は元々の生産数が少ないため、国内の正規代理店でも在庫を保有していることが稀でなかなか実物を見て購入することが出来ません。それは、徹底された品質管理と「デイトナ」の複雑機構が理由です。複雑機構であるが故に、製造できる職人が限られていて、幾度ものテストを重ねた上で製品化される為、生産数が極めて少ないことが希少性を高める要因となっています。
直営店で買えないとなると並行輸入品を購入する方法もあるのですが、生産数が少ない為に海外で商品を買い付けて仕入れること事態が難しく、価格が高騰します。現行のステンレススティールモデルの場合ですと、並行輸入品の新品価格相場は黒文字盤で約280万円、白文字盤で約300万円と定価の2倍以上のプレミアム価格となっています。
手に入れることが難しければ難しいほど欲しくなる購買心理から、ますます需要に対して供給が追いつかない事態に。世界中から圧倒的な需要を誇るため為替や社会情勢の影響を受けることがなく、「デイトナ」の相場は高騰し続けています。
リセールバリューの高さ
時計愛好家や富裕層に見受けらていた投機目的で時計を購入するといった行為が、最近では一般ユーザーにも見受けられるようになりました。
この傾向は以前から見受けられましたが、現行モデルRef.16500LNのローンチが大きな話題となったことで急激に投機目的で購入する層が増えました。
不景気の中でも、身につけて活用しながら持ち運ぶことができる資産が「デイトナ」と言う考えが広まり購入意志を決定する要因に。リセールバリューの高さを考慮して選ぶ一般ユーザーが増えたことにより需要が拡大しました。
リセールバリューの高さという付加価値がついたことが、「デイトナ」の価格高騰の要因となっています。
ステータスの象徴
前述したように、「デイトナ」は希少価値が高くて入手することが困難です。
「ロレックス」唯一のクロノグラフでメカニックな無駄のない普遍的なデザインが男心をくすぐります。
高性能で防水性、耐久性にも優れている非常に実用的な時計であること、そして何より資産価値があること。以上の理由から所有することに意味があり、ステータスを感じられる最高の時計だからです。
デイトナを定価で手に入れる方法
在庫を保有している並行輸入店で購入するとこはできても、定価の2倍近くとなるとかなり高額です。できれば定価で購入したいと誰もが考えます。
直営店で「デイトナ」を運よく購入出来る可能性は極めて低いですが、全くないわけではありません。
購入する方法としては、
- 店舗に足繁く通うこと
- 「ロレックス」の販売員から信頼される顧客になること
- 転売目的はNG
以上の3点です。ロレックス側からしても転売目的で購入するユーザーへの販売は避けたいところ。「ロレックス」の優良顧客であるということを販売員に認知してもらえれば、運が良ければ入荷のタイミングで声がかかるかもしれません。
まとめ
「デイトナ」は「ロレックス」の時計の中でも最も人気が高く、所有することでステイタスを感じることのできる男性物の腕時計です。その資産価値の高さから、近年では投機目的で購入する一般ユーザーが増え、人気に拍車をかけています。
「デイトナ」は時代に合わせてモデルチェンジを繰り返していますが、無駄のないクロノグラフの機能を重視したデザインは1963年に登場して以来、大きく変わることがなく普遍的な魅力があります。
時を経て進化し続け、最も人気の高い時計の一つである「デイトナ」から今後も目が離せません。