※この記事は2015年1月に執筆した記事を、2018年8月の財務省関税局通達の記事を受け加筆しています。
「STOP金密輸」
2015年から金の延べ棒を空路、密輸しようとして税関で見つかった件数が急増しており、金にかかる消費税を脱税した金額は、2016年6月までの1年間に2億3000万円余りと、この10年間で最も多かったことが分かりました。
年々訪日外国人も増え、今年には2016年811件・約2.8トンが、翌年2017年1-9月だけで976件・4.5トンと増え続けています。
報道機関からも多数の記事が有るため、皆さんも少しずつ把握出来ているかとも思っています。
上記が金地金密輸の仕組みなのですが、これ、とんでもない事が判ります。
消費税8%が無限ループで毟り取られている
例えば1kgを本日国内で買取りした場合、リファスタでは4,397,000円となります。
このうち消費税は325,703円です。(計算方法は4,397,000÷1.08)
しかし密輸業者は8パーセントを除いた4,070,000円程(もちろん現地通貨だが)で現地で購入しているのです。
これを密輸で不当に約320,000円受取り、また海外へ金が回っていき戻ってまた国内に戻って売却。。。
金のレートが一緒だと仮定するのであれば、未来永劫1kg当たり32万を毟り取られていく。
これを、2017年1-9月で976件・4.5トンという事は年間6トン=6,000キログラム。
となると、、、、???
なんと摘発したものが仮に不当に流通していたら、約19億円の僕らの血税が海外に流れていたことになります。
しかしこれは摘発された氷山の一角です。
これ以上のお金が間違いなく流れている。。。
ほんの数年前では船の密輸や空港でハンドキャリーに紛らせて…などですが、現場では全く違います。
非常に手の込んだやり取り
今まではブローカー経由で日本人個人が持込むケースがほとんどでしたが、現在では正規に売ろうとして日本で法人を作る外国人が多数います。
しかも大体決まって法人の謄本発行日に持ち込んでくる。
僕らはこの様なケースを未然に防ぐために、お問合せの段階で海外製のインゴットや金製品をお持込み頂くと仰られる方には、必ず通関手続きを行い『携帯品・別送品申告書』を税関に提出した事と、消費税納付書のご提示をご案内しております。
理由としては上記の通りの「消費税分の利ザヤ」目的だからです。
そこを買取屋から突かれれば自ずと「このお店は税務署にこの件を話すのかな?」と思われるからかと思います。
皆さんが気にする「金地金取引に関する支払調書制度」は2012年1月より導入。
一度の金地金の取引にて200万円を超えるものに関しては、買取業者が管轄の税務署に支払調書を報告すると言うもの。
該当品目に当たるものは
● 金・プラチナのインゴット(金の延べ棒・ゴールドバーとも呼ばれるグットデリバリーバー)
● 金・プラチナの塊(シリアルの無いインゴットや、製品前の塊の状態など)
● 金貨(世界各国のもので勿論日本の貨幣金貨や記念金貨も含む)
となります。
ただ皆さんご存知ないのが、それ以外に「法定調書」と言うのがあり、数年に一回、管轄の法廷調査官が当該買取店の古物台帳と総勘定元帳を付け合わせしに来るんですね。
簡単に言うと、金額が多い人から「この売却額を申告しているか」と言ったもの。
具体的な調査対象の金額のラインはここでは言う事は出来ませんが、買取にて得た売却益の種類は大きく分けて2つ。
前述の該当品目の「金地金」と、アクセサリーやジュエリーである「生活用動産」。
「金地金」は通常売るのであれば1度きり、と考えますので【譲渡所得】。(この課税方法は詳しく[インゴットや金塊の買取]ページをご覧ください。)
事業者としての売買となると【事業所得】。
営利目的として継続的に、となると【雑所得】に該当します。
で、皆さんに一番近い所にある、所謂「生活用動産」の指輪やネックレスなどのアクセサリー類は、一個又は一組で利益が30万円以下のものについては非課税となります。
ただし30万円以上を超えるものに関しては取引状況に応じて、金地金同様の課税対象となります。
今年の5月1日から9月30日のリファスタでのお買取をいただいたお客様の、一度にお支払いした金額の平均は、
男性:190,000円
女性:67,000円
となるため、殆どのお客様は非課税となるのがわかるかと思いますのでご安心を。
※宜しければ独自調査報告のページ[日本に眠っている宝飾品の推定埋蔵量]もご覧ください。
今回の話である、消費税の脱税に関しても法定調書での調査にて、一度きりではなく常習的に行っている方から煙が上がったものが発端だと僕は思います。
健全なリユースに影響がないように。
空港にある税関支署で摘発されるケースも多いかと思いますが、もちろん全てがそこで発見はされない訳で、結果的には換金し、数年経った後に足がつくと言う訳です。
しかし今の手口では恐らくは密売の着地企業を起業して散々売却を行い、消費税納税義務が生じる2年以内に会社を休眠し、本人は現地に帰ってお咎めなし。
日本から何十億・何百億といった血税を毟り取ったあとに。
この件、本当に憤りを感じます。
またこの密売の件は、今後の課税対象区分の拡大や、買取店の買取顧客への過剰な本人確認手続き等に拍車を掛けるのかなとも思っています。
買取業者にしてみれば、買取物が多くなればなるほど良いのだけれど、こう言ったニュース・事件を一般の方が目にして、買取依頼を縮小するとなると僕らには死活問題となる。
健全に売却される方に影響のないようにして欲しいものです。
リポート:
リファスタ代表:杉
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