ドル実効為替レートとドル建て金価格の関係

このグラフからわかることは、ドル実効レートが上昇すると、ドル建て金価格は下がり、ドル実効レートが下降すると金価格は上昇するという関係は、今までに解説してきた通りのことになります。
つまり金とドルの関係には90パーセントの相関関係がある、と以前に書いた通りになりますが、疑問に思う方は多いと思います。
簡単にその疑問の多くを要約すると、1990年代から2000年の前半に大きくドルが上昇をしているのに金の下げが甘い、と感じる方は多いと思います。

一方で2006年以降は、金とドルの相関系が非常に相似していると感じる方も多いと思います。
つまり、近年に行くのに従って、金とドルの相関関係があると感じる方が多いと思います。
ただ、ドル建て金価格とドルの関係は、ドルが上昇すれば、金は下降し、ドルが下降すれば金は上昇するという関係性にあるということがおわかりになると思います。
1990年から2000年前半までの話
この時期は、ドルの価格が下落をしても、なかなか金の価格が下がりませんでした。
この理由は、金がこれ以上下がると、産金コスト割れが行われるということからです。
産金コストとは要するに金を生産するコストのことで、このころは1トロイオンス300~350ドルと一般的には言われていたのです。
その下限の値段まで来ていましたので、それ以上金の価格が下がった場合、金の生産はつくれば作るほど、赤字になってしまいますので、金の価格が下がりづらかっただろうと思われます。
要は、ドルは上昇したけど、金の価格は生産コストの面で下げいっぱいの局面になったということです。
2006年、リーマンショック以降の金

リーマンショックというのは別名、アメリカ債務危機とも呼ばれており、要するにアメリカが借金の返済でクビが廻らなくなったということも意味しています。
通貨の王さまである、ドルが借金を返済できない見込みがあったのですから、そのドルをもっていても、紙切れになる可能性があるので、人々はドルを売って金を買うのです。
その結果の帰結がつづいたのです。
2016年にドルはピークを打った?

上記のグラフをみると、ドルの価格は2002年に次ぐ、史上最高値を記録しています。
しかし、2002年の金価格は若干上昇しています。
これは以前に、2003年に金とドルの関係が相関しなくなった年ということを言っていることと一致します。
つまり、ドルの価格が上昇すれば本来、金の価格というのは、下落するはずなのですが、値段が上昇してしまったので、その相関関係が崩れてしまったことを意味します。
しかし、それ以降はドルが下落していくのに従って、金は上昇していきました。
2016-17年にかけても一緒の現象が起こっています。
2016年にドルの上昇のピークを迎えているのにも関わらず、金はちっとも下がりません。
むしろ、それ以降、上昇してしまっているのです。
その論理的な背景

上記はアメリカの財政赤字、1994/1月からのものになります。
よくみると2002年から財政赤字が少しずつ増えていき、それにつれて金の価格も上昇しています。
2016年にしても同様で、2016年後半に財政赤字が増えています。
しかし、金の価格はそれほどまでに上昇をしていません。
なぜなら、ドルの価格に相関関係があるというのが、数値的に証明されていますから、ドルが上昇すれば金は売りと投資家は判断しているのです。
でもここ最近は、金とドルの相関関係がそれほどにない、ということが昔に比べるとない、ということはみなさんも目視で感じることでしょう。
要は、金とドルの関係性は年々減少をしていき、逆に金とアメリカ財政赤字の相関関係が増しているということに気づいた方も多くいらっしゃると思います。

こちらはアメリカの財政赤字のGDP比であって、近年の金の動きと、財政赤字の関係が密接になっているように感じませんでしょうか?
こうなる理由

今年に入り、ドル高になる、ということはずっと解説をしてきましたが、ドル高であれば金は今までだと下がるはずです。
しかし、アメリカ政府はトランプ大統領やムニューシン財務長官は2月に『ドル高にこれからはしていく』と宣言をして、実際にドル円にしても4月が104円だったものが現在110円になっています。
つまりドル高になっています。
これは今までのセオリーで言えば、金にとっては売り材料になります。
一方で財政赤字は、1月に減税政策をやっていますので、赤字は増え続けています。
これは金にとっては買い材料になります。
今まで金の世界では、ドルと金は反作用するというのが常識だったのですが、2016年くらいから金の価格というのは、アメリカの財政赤字に連動し始めているのです。
ですから、今ドル高になって、6/25からの週はドル高によってドル建て金価格は下がっています。
今までは、これが正解の動きでした。
しかし、長い目でみれば財政赤字は膨らんでいっているので、ドルの裏付けが金と考えると本来は金価格が上昇しなければいけないのです。
1年間のアメリカの財政赤字

上記のグラフは2018年から一気にアメリカの財政赤字が増えていることを示しています。
ですが、2月からアメリカ政府はドル高にすると宣言し、実際に4月からドル高になってきました。
つまり、このドル高というのはマガイものなのです。
なぜなら、アメリカの財政赤字が増えるのであれば本来はドル安にならなければいけないものが、ドル高になっているのですから、これはマーケットが間違えているのです。
そのドル高につられて金が売られているのですから、本来は上昇しなければいけないものが売れているというのが現実です。
こう考えていくと、金はまだまだ買いになる可能性があります。
ドル高円安構造はどこかで崩壊する

このロジックが本当かどうかはまだ、検証しなければいけませんが、恐らく今まであったら金の価格は下がらないといけなかったのですが正解になります。
でもこのドル高は政策でゆがめられた価格になるので、正しく反応するのは、財政赤字になると考えるべきでしょう。
このドル高政策は、やっていることは全く日本と同じで、日本も借金まみれなのに円安に行くという暴挙を安倍政権はやっているのです。
借金の多さというのは本来、円高材料なのに無理やりに円安にしているのです。
トランプさんがやっているのは安倍さんの物真似なのです。
だから、両者は仲が良いのでしょう。
こんな市場の需給構造を無視したようなやり方が永続する訳がありません。
ドル高円安構造はどこかで崩壊すると思います。

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