パラジウム急騰の原因
パラジウムと言うと、20世紀末に起こった東京商品取引所でのファンドの買い占めによる急騰を思い出す方も多いのではないでしょうか。
今回は、パラジウム急騰の原因と今後の展開を予測していきます。
※なお、大本となるデータはWorld Gold Councilから用いています。
パラジウムは、アメリカがロシアと結んでいる核兵器廃棄条約を一方的に廃棄したことから急騰しました。
主に南アフリカとロシアで世界生産の8割を占め、ロシアとの関係悪化から「輸入できないかも」という思惑で値段が急騰したのです。

2017年1月から比べると、50%程度価格が上昇していますので、急騰と言っても過言ではありません。
また、10月の末には1032ドルだったものが11月2日には1062ドルになっているのですから、すさまじい急騰です。
参考までにドル建てで30ドルの上昇は、日本円でドル円を113円とすると、グラム当たり109円上昇したことになります。
金などは、ドルの上下動が一番の価格決定要因になりますが、パラジウムも同様に主な価格の決定要因になります。
ただし、金の生産量に対して白金の生産量は1/3、その白金の生産量の1/3がパラジウムになりますので、量が極めて少ないのはおわかりになるでしょう。
金の生産が100とすれば、パラジウムの生産は11ほどしかなく、需給環境も大きく影響をします。
今回のパラジウムの場合は、世界的な需給がタイトなことから上昇が起きています。
パラジウムの需給と中国・東南アジアの大気汚染

パラジウムの主な用途の中に、自動車の排気ガス用触媒があります。
これが同じ白金属のプラチナと大きく違うところとなります。
東南アジアの朝のラッシュなどに遭遇した方はおわかりになると思いますが、排気ガスで空気が真っ白、息を吸うのも苦しい状態です。
バイクで通勤する人にマスクは必須アイテムで、時間の経過とともに頭がくらくらしてきています。
この状況を東南アジア政府や中国などは、問題視しているのは言うまでもありません。
では、日本の朝のラッシュにそのようなことはあるかと言えば、それはありません。
理由は昭和50年代に日本も光化学スモッグなどの空気汚染に苦しみ、結果、自動車排気ガスに厳しい規制が敷かれたからです。
日本を走る自動車には、環境規制が敷かれているので、排気ガスでいっぱいと思っていても、東南アジアほどではありません。
環境対策とパラジウム

東南アジアや中国の自動車の排気ガスにより、空気汚染は今後どうなるかと言えば、健康被害が出るので、規制されていくのは間違いないでしょう。
つまり日本やアメリカ同様、空気汚染を起こさない車を作ることが求められていくことになるはずです。
大気汚染を防ぐためには、日本やアメリカでは具体的に、2つの方法が取られました。
具体的には、エンジンを回すためにガソリンを発火するときの空気の浄化、そしてガソリンの品質を替えるという方策です。
ガソリンの改質にはここでは触れませんが、エンジンを回すためにガソリンに発火したときに出る有害なガスを浄化する触媒として主にパラジウムが使われるのです。
一部プラチナも使われることがあるのですが、有効なのはパラジウムになります。
つまり今回の急騰は、アメリカによるNIFの廃棄によってロシア製のパラジウムが世界に出回らなくなる懸念と説明されますが、実際は環境汚染対策に今後、大量のパラジウムが消費されるために需給がタイトになっているのです。
パラジウムの今後

自動車業界は、ヨーロッパが2040年までにガソリンカーを禁止して電気自動車(EV)に、中国も2030年までにという政策目標を立てています。
電気自動車の普及は目覚ましいものがありますが、この政策目標に届くのは早くても12年後です。
その間、大気汚染を放置しておくのかと問われれば、健康被害が出ますので、そうもいきません。
現状、排気ガス汚染に有効な対策としてのパラジウムの代用品は見つかっていません。
参考までにプラチナの電気自動車の電池に使われる触媒は、もう少しすれば炭素に取って代わることでしょう。
つまり、生産の限られているパラジウムの争奪戦になることが予想されます。
価格は需給面ではまず下がらない
と予測します。




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