「とんぼ玉」「アンティークビーズ」ファン必見!古代ガラスヒストリー第5回

今手に入れたい!価値を失わないガラスアイテムとは?

古代ガラスについての記事も今回が最終回。

 

エジプト・メソポタミア文明の秘宝だったガラス製作は、紀元後まもなくローマで発明された吹きガラス製法によって大量生産が可能となりました。

当時の遺物が21世紀の今「ローマンガラス」「古代イリデッセンス・ガラス」としてもてはやされています。

 

その後もガラス工芸は、ヨーロッパやアジア各地で花開き、現在も多彩なガラスが制作されています。

ガラスは衝撃に弱く割れやすいことから、高額アイテムを敬遠する人もいるかもしれません。

しかしそのもろくはかない特徴もガラスの魅力を引き立てているといえます。

前述のローマンガラスが人々の心をとらえるのも、何千年ものあいだ土中で破損することなく「銀化」によって魅力を増した不思議さにひかれているところが大きいでしょう。

 

またガラスアイテムは、絵画や彫刻などのファインアートや宝石ジュエリーと異なり、かなり時代が古いものも手に届く価格帯のアイテムが多くそろうことも魅力です。

 

さて、今手に入れたい!価値を失わないガラスアイテムとは?

 

最終回となる今回の記事では、比較的手に入れやすい、おすすめガラスアイテムをピックアップしました。

銀化が美しい「ローマンガラス」

入手可能な場所

また香港やバンコクでは、アフガニスタン出土のローマンガラスが豊富に売られています。

チェックポイント

ローマンガラスは後述のとおり、薄手のものがほとんどです。

厚みがあって稚拙なデザインと感じるものは、割けたほうが無難です。

人気のあるデザインは正倉院の白瑠璃碗に似た「切子碗」など。

取り扱い注意点

ガラスの材料が限られていたのか、ローマンガラスは「うす玻璃」ほどの非常に軽く薄いものが多くなっています。

詰め物を入れただけで簡単に割れてしまうことが多く、注意が必要です。

また銀化した部分も非常にはがれやすくなっている事も覚えておきましょう。

水分などは必要なく、衝撃を与えないように保存・設置することが重要です。

「ラリック」「ガレ」などの価値あるアンティークガラス

入手可能な場所

骨とう品店、アンティークショップ、国内外オークションで入手可能です。

特に西洋骨董、ガラス工芸に詳しい店を選びましょう。

チェックポイント

ラリック、ガレと共に生前当時から多くのコピーが作られてきため、真贋判定には注意が必要です。

保証書を発行してもらえる信頼できるショップで購入することが安心できる方法です。

コピー品の多くはチェコスロヴァキアで作成されてきました。

現在ではルーマニアや中国などでも作られています。

  1. ディテールにち密さが欠けること。
  2. 本来作品に使われていないカラーであること(例えばラリック作品にウグイス色の作品はありません)
  3. サインが異なっていること(例えばラリックは[Paris」は使用しなかった。またがれのルーマニア製コピーにはどこかに「Tip」とは言っている)

これらの条件に該当する者はコピーの可能性が高いと思われます。

取り扱い注意点

ラリックは通常連続文様で全体が覆われているため、衝撃を与えないよう注意が必要です。

ガレもまた表面装飾の損傷や摩耗を避けるように保管場所に気を配ることが大切です。

「シャネル」ほか人気コスチュームジュエリー

入手可能な場所

骨とう品店、アンティークショップ、国内外オークションで入手可能です。

またリユース、リサイクルショップなどでも手に入れることができます。

チェックポイント

すでにコスチュームジュエリーとして評価の安定しているブランドやデザイナーの作品を選びましょう。

取り扱い注意点

20世紀からスタートした「コスチュームジュエリー」は、セッティングそのものは本物のジュエリーと同じクオリティ。

金具は比較的上部ですが、宝石部分は高度の低いガラスなどが使われているため、破損しないよう注意が必要です。

 

そして国内のリユースマーケットをチェックするのもおすすめです!

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隕石ガラス(テクタイト・モルダバイト・リビアングラス)

テクタイト

テクタイトとは隕石衝突の際に生成されたガラスの総称です。

下記の「モルダバイト」「リビアングラス」のような色を持たず黒色のガラスです。

成分が普通のガラスと全く同じであることから、隕石衝突時の土や砂のガラス成分が解けて生成されたと考えられています。

非常に分布が限られていること、3500万年以前のものが見つからないことが大きななぞとなっています。

モルダバイト

チェコスロバキアで採集されるテクタイトです。

透明感と深みのある美しいグリーンが特徴です。

リビアングラス

「死の砂漠」としておそれられるリビア砂漠には、エジプト最後の秘境と呼ばれる大砂丘群「グレート・サンド・シー」があります。

この場所に散らばるカナリーイエローの大小のガラスが、「リビアングラス」と呼ばれる隕石ガラスです。

古来貴重な宝石として珍重され、ツタンカーメンの遺品の中にもリビアンガラスで彫られた美しいスカラベの胸当てが見つかっています。

 

その後歴史にうずもれたリビアングラスでしたが、1932年に再発見されました。

以来、アクセスの困難さをものともせず多くの地質学者が調査を続け、今日では「隕石がリビア砂漠の砂に衝突した際に生成された」という説が有力になっています。

価値あるガラスは財産になる!

紀元前5000年前の古代エジプト・オリエントの時代から、21世紀の現在に至るまでの約7000年間ものあいだガラスは多くの人々を魅了してきました。

工業製品としても、アート工芸品としても、私たちの生活に欠かせない存在となっています。

そして古代の人々が遺したローマンガラスやとんぼ玉は、長い時を経た現在も貴重な宝物であり続けています。

古代ガラスは何千年もの悠久の時間の流れ、古代ガラスを通して古代の人々の生きるさまを教えてくれます。

参考文献・サイト

日本の文献

谷一尚「ガラスの比較文化史」「ガラスの考古学」「世界のとんぼ玉」「古代ガラス 銀化と彩り」

吉水常雄「古代ガラス」「正倉院ガラスは何を語るか – 白瑠璃碗に古代世界が見える」

ほか

海外の文献

Julian Henderson「Ancient Glass: An Interdisciplinary Exploration」

ほか

参考サイト

奈良文化財研究所 https://www.nabunken.go.jp/

東京国立博物館 https://www.tnm.jp/

中近東文化センター http://www.meccj.or.jp/

GIA https://www.gia.edu/JP/

ほか


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